最近,インターネットのあちこちのサイトで展開されている『買ってはいけない』(株式会社金曜日発行)をめぐる論争がなかなかおもしろい。私自身は比較的早い時期(2刷)に同書を購入したソコツ者であるが,一読して,例のヒゲオヤジ(船瀬某)とその同類の相も変わらぬ同工異曲が鼻につき,狼少年もとい狼中年,調子に乗って好き勝手に喚いてるなぁ,などと直感した。けれども悲しいかな,個々の科学的事実に関する具体的な実証データをほとんど持ち合わせていなかったため,単に胡散臭さが読後に残っただけであった。
そして現在「ヒゲオヤジとその仲間たち」がネット内において,その科学的知識のイイカゲンさ,事実の隠蔽とデータ改竄の恣意性,論旨展開の杜撰さ等々を鋭く指摘され,ひいては彼らの人間的貧困さをコケにされているさまを眺めるのは大変愉快である。何にせよ,ニンゲン偉ぶっちゃイケマセン(本人らはそれでもなお宗教的迫害者気取りなんでしょうけどね)。
いずれにしても,このウンコ本によって株式会社金曜日は数億円に及ぶ利潤をあげ,目一杯傾いていた社屋を一時的にでも持ち直すことが出来たのであろう。週刊金曜日という偏狭な雑誌に実に相応しい再建策といわざるを得ない。かくのごとき僥倖(地獄で仏あるいは天国で閻魔大王)を含め,今回の顛末はすなわち本多勝一老人の体質である。温泉キャスター好々爺の体質である(落合惠子の体質ではないと思う)。他人事ながら口惜しい限りだ。ちなみに我が恥をさらせば,ジャーナリズムにおける多種多様な情報・見解を広く収集しておきたいなどという分不相応の目論見のもとに週刊金曜日を1993年の創刊からちょうど2年間定期購読していたこと,そのことが今でも悔やまれる次第だ。
似たような例をもうひとつ。
週に8,000部(推定)しか売れない週刊金曜日とは異なり,毎日8,000,000部(推定)もの部数を売り上げていると思われる天下の朝日新聞のその1面に,数日前,『建設省のウソ』なんていう腐れコラムが載っていた。署名は《幹》とあった。内容は,建設省が最近発表した(らしい)長良川河口堰の4年間に及ぶモニタリング調査報告書の内容はまったく事実に反し,データを自分に都合よく解釈したものに過ぎないと断言し,いわゆるお役所サイドの悪辣さ,厚顔無恥ぶりを次のように断罪している。『真実を隠し,国民をだます。建設省の河口堰をめぐる言動は,その点で,薬害エイズで厚生省,金融で大蔵省がやってきたことと共通している』
ところで,この《幹》なる御仁がウソだウソだと大声で喚く根拠がどこにあるかというと,どうやら財団法人日本自然保護協会(NACS-J)が発表した見解(それは5年に及ぶ“厳密な独自調査"の成果であるらしい)を,あたかも大本営発表を聞く無辜の民草のごとく全面的・盲目的に信用しておるだけのようだ。少なくとも,自ら検証してウソを暴いたという様子は見られない。ま,ともかくここは反体制・反権力の意匠をまとっていれば無知な読者にはウケルだろう。新聞は,なかでも1面コラム記事などは何よりもまずインパクト勝負,ウケてナンボじゃけん。そのエラブッタ物言いはなかなかの見物である。
ひとつだけ例を挙げておこう。「アユの遡上量」の変化について,こんな風に書いている(原文のまま)。
◆建設省の見解
「アユは順調に遡上」。堰の両端に設けられた幅10mの魚道をさかのぼった数を観測し,今年は600万匹を超えたという。
◆《幹》の見解
でも,堰ができる前は何1000万匹もが,幅600mの河口を遡上していたはずだ。
この無知な幹オジサン(あるいは幹オバサンか?)の考えた理屈は,河口堰建設前には川幅600mのところをアユが遡上していたが,河口堰が出来た結果,アユが上れる場所は両岸の魚道の20mだけ,すなわち,たったの30分の1(!)に狭まってしまった。従って,昔はきっと何1000万匹ものアユが遡上していたに違いあるまい,とそんなところか。ここで,河口堰建設後のアユ遡上数は実態調査に基づく結果(事実)であるのに対して,建設前の遡上数として挙げられた数字は調査をまったく伴わない単なる推測(空論)である。ところで幹オジサン,アユって魚は,まるでフランス・デモみたいに,道幅(川幅)いっぱいになってワイワイと遡上するとでも思っているのだろうかね(そんなことはない。岸沿いのごく限られた場所を遡上するんですってば)。一度,長良川までちゃんと足を運んで,付近の川漁師にでも直接聞いてごらんなさい。
デスクワーカーの脳天気な勘違い,非科学的なこじつけ,歪んだ正義感,要するに“初めに反体制ありき"にすぎない。さすが本多勝一老人が定年までツツガナク勤めあげた新聞社の社員ではある。多分はヒゲオヤジなどともオトモダチなんだろう。
もう一度申しましょう。ニンゲン偉ぶっちゃイケマセンぜ!
そして現在「ヒゲオヤジとその仲間たち」がネット内において,その科学的知識のイイカゲンさ,事実の隠蔽とデータ改竄の恣意性,論旨展開の杜撰さ等々を鋭く指摘され,ひいては彼らの人間的貧困さをコケにされているさまを眺めるのは大変愉快である。何にせよ,ニンゲン偉ぶっちゃイケマセン(本人らはそれでもなお宗教的迫害者気取りなんでしょうけどね)。
いずれにしても,このウンコ本によって株式会社金曜日は数億円に及ぶ利潤をあげ,目一杯傾いていた社屋を一時的にでも持ち直すことが出来たのであろう。週刊金曜日という偏狭な雑誌に実に相応しい再建策といわざるを得ない。かくのごとき僥倖(地獄で仏あるいは天国で閻魔大王)を含め,今回の顛末はすなわち本多勝一老人の体質である。温泉キャスター好々爺の体質である(落合惠子の体質ではないと思う)。他人事ながら口惜しい限りだ。ちなみに我が恥をさらせば,ジャーナリズムにおける多種多様な情報・見解を広く収集しておきたいなどという分不相応の目論見のもとに週刊金曜日を1993年の創刊からちょうど2年間定期購読していたこと,そのことが今でも悔やまれる次第だ。
似たような例をもうひとつ。
週に8,000部(推定)しか売れない週刊金曜日とは異なり,毎日8,000,000部(推定)もの部数を売り上げていると思われる天下の朝日新聞のその1面に,数日前,『建設省のウソ』なんていう腐れコラムが載っていた。署名は《幹》とあった。内容は,建設省が最近発表した(らしい)長良川河口堰の4年間に及ぶモニタリング調査報告書の内容はまったく事実に反し,データを自分に都合よく解釈したものに過ぎないと断言し,いわゆるお役所サイドの悪辣さ,厚顔無恥ぶりを次のように断罪している。『真実を隠し,国民をだます。建設省の河口堰をめぐる言動は,その点で,薬害エイズで厚生省,金融で大蔵省がやってきたことと共通している』
ところで,この《幹》なる御仁がウソだウソだと大声で喚く根拠がどこにあるかというと,どうやら財団法人日本自然保護協会(NACS-J)が発表した見解(それは5年に及ぶ“厳密な独自調査"の成果であるらしい)を,あたかも大本営発表を聞く無辜の民草のごとく全面的・盲目的に信用しておるだけのようだ。少なくとも,自ら検証してウソを暴いたという様子は見られない。ま,ともかくここは反体制・反権力の意匠をまとっていれば無知な読者にはウケルだろう。新聞は,なかでも1面コラム記事などは何よりもまずインパクト勝負,ウケてナンボじゃけん。そのエラブッタ物言いはなかなかの見物である。
ひとつだけ例を挙げておこう。「アユの遡上量」の変化について,こんな風に書いている(原文のまま)。
◆建設省の見解
「アユは順調に遡上」。堰の両端に設けられた幅10mの魚道をさかのぼった数を観測し,今年は600万匹を超えたという。
◆《幹》の見解
でも,堰ができる前は何1000万匹もが,幅600mの河口を遡上していたはずだ。
この無知な幹オジサン(あるいは幹オバサンか?)の考えた理屈は,河口堰建設前には川幅600mのところをアユが遡上していたが,河口堰が出来た結果,アユが上れる場所は両岸の魚道の20mだけ,すなわち,たったの30分の1(!)に狭まってしまった。従って,昔はきっと何1000万匹ものアユが遡上していたに違いあるまい,とそんなところか。ここで,河口堰建設後のアユ遡上数は実態調査に基づく結果(事実)であるのに対して,建設前の遡上数として挙げられた数字は調査をまったく伴わない単なる推測(空論)である。ところで幹オジサン,アユって魚は,まるでフランス・デモみたいに,道幅(川幅)いっぱいになってワイワイと遡上するとでも思っているのだろうかね(そんなことはない。岸沿いのごく限られた場所を遡上するんですってば)。一度,長良川までちゃんと足を運んで,付近の川漁師にでも直接聞いてごらんなさい。
デスクワーカーの脳天気な勘違い,非科学的なこじつけ,歪んだ正義感,要するに“初めに反体制ありき"にすぎない。さすが本多勝一老人が定年までツツガナク勤めあげた新聞社の社員ではある。多分はヒゲオヤジなどともオトモダチなんだろう。
もう一度申しましょう。ニンゲン偉ぶっちゃイケマセンぜ!