クソッタレ! と,いきなり冒頭から言わせていただく。標題の事案に対する私の素直な反応だ。もちろん,その品のない言辞を発する相手は神奈川県教育委員会なんかじゃない。県政のトップに相も変わらずノウノウと居座っている腹黒恵比寿,もといクロイワ某に対するものである。何度言ったところで暖簾に腕押しで詮無いことかも知らんが,それでも言うべきことは断固として言わねばならぬ。 クソッタレ!
つい先程のことになるが,PCに向かって机上作業をしている折に,ネットのニュース配信で次のような記事を読んだ。それは私にとって まさに晴天の霹靂であった。
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◆「県立図書館の閲覧・貸し出し廃止、川崎は廃館」と県教委方針
県内屈指の専門書を有する県立図書館2館について、県教育委員会は7日、横浜市内の1館に図書所蔵機能を集約し、閲覧・貸し出しサービスは廃止する方向で検討していることを明らかにした。川崎図書館は廃館となる見通し。県緊急財政対策に基づく施設見直し計画の一環で、今後は市町村立図書館の機能を補完する事業に特化させる方針だ。都道府県立図書館を県民が直接利用できなくなるケースは例がないという。(以下略)
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本当かよ! 思わず記事を何度も読み返しましたね。もしこれが本当であれば,ああ,何という愚行であろうか! 県の財政事情が非常に厳しいことなんて,それこそ この10数年来のデフレ経済下においてずっと継続的に引きずってきた,いわば苦しいなかで苦しいなりの,といった「既定路線」だったではないか。そりゃ,あらゆる面で行政事業の見直し等は当然必要ではあろうけれど,いきなり県立図書館2館を閉鎖&廃館というのはないだろう。
かりに千歩ないし万歩譲って,川崎の方を廃館にして横浜・紅葉坂へと統合することは止むなしとしよう(それとて膨大な経費と労力,無駄と損失が発生することは明らかであるが)。しかし「閲覧・貸出サービス廃止」というのは何であるか! バカ言ってんじゃないよ。 お前はレンホーか! お前はタナカマキコか!
いや,少し冷静になろう。取りあえず今現在の状況はどうかといえば,神奈川県立図書館においては図書資料を1度に10点,3週間まで貸出が可能である(ただし県内に在住・在学・在勤している者に限る)。これは専門図書館を拠り所としている人々にとっては大変に有益かつ有難いシステムだ(私もその恩恵に浴している一人です)。特に川崎図書館,ここは理工学系専門図書館として全国的にみても特筆すべき存在といってよいと思う。蔵書数は20万冊程度ということだが,その蔵書内容ときたら,質の高さ,優れた専門性において他の公共図書館でここに敵うところはまずないだろう。しかもこれが,例えば一部の恵まれた大学図書館などに見られるように,それこそ金にものをいわせて稀少な資料書籍を手当たり次第にワンサカ掻き集め,かつそれらの大部分は外部に対して閉鎖的で自らの裡に秘匿したままにしておくといった類のところとは異なり,本県の限られた予算のなかで,恐らくは図書館職員のたゆまぬ努力により,長い年月にわたって地道に着実に貴重な蔵書の充実が計られ,それらを広く一般に開放しているのだ,と個人的には理解している。実際,図書館カウンターにおける司書の方々の対応ぶりは,それぞれの該博な知識を背景とした懇切丁寧かつ適切なアドバイス等,いつだって実に気持ちの良いもので,パブリック・サービスの手本といってもよいくらいだ(決して褒めすぎには当たらないと思う)。そのような人的資産を含めた長年築き上げられてきた図書館システムが,今,崩れ去り,消えようとしている。 どんだけ邪悪な企てが仕組まれたのかぃ!
私事ながら,県立川崎図書館とは開館して間もない頃からの,かれこれ半世紀以上にもおよぶ長い付き合いである。私の小・中学校時代の自宅が図書館から徒歩5分もかからない場所で,さらに,通った中学校は図書館のすぐ隣というか背中合わせに立地していたのだ。また,中学では図書委員をやった時期もあったので,本の閲覧のみならず,図書館運営システム等のことを学ぶためにも通い,司書の方からいろいろと御指導を受けたりもした。
高校・大学時代は,個人的興味が別方面に移ったこともあって少々疎遠になってしまったが,会社勤めを始めてからは再び川崎図書館にしばしば通うようになった。そのときは,理工系,とくに生物・自然関係の図書資料のリファレンス,閲覧,貸出が主たる目的だった。どちらかといえば工学系の図書が充実している図書館なのだが,生物学関係などの分野でも,時にビックリするような貴重な図書,例えば大正時代,昭和初期などに刊行された隠れた名著がさりげなく所蔵されていたりもした。また,一部の図書には,著名な古書店のシールが貼付されたままになっているのを見出すこともあり,あぁ,司書さんはあの古本屋でこれを入手したんだな,苦労して探し出したのかなぁ,などと,訳もなく嬉しくなったりしたものである。加えて,現在ではどうだか知らんが,かなりの部分が貸出禁止の「常置本」ではなくて貸出可能なものであったことも大変有難かった。
今回提示された計画によれば,県立図書館は基本的に閉鎖的書庫として位置づけ(正倉院か!),その蔵書の閲覧ないし貸出は市町村の公共図書館等を通じて行う,ということにするらしい。確かに現在でも,かなりの時間と手間はかかるものの,市町村図書館を通じて県立図書館蔵書(常置本を除く)を貸出することは可能である。そのシステムを拡充させるということか。それで事業経費を少しでも削減したいということなのか。しかし,常置本の閲覧はどう扱われるのだ。いやそれ以上に,専門司書によるリファレンスはどうなるのだ! 現在の市町村図書館におけるカウンター業務の現状,パートのオネェサン&オバサンがテキパキと(なかにはタラタラと)流れ作業をこなしている,それはまるでコンビニのレジのようでもあるのだが,そのような現状を見るにつけ,本県における公共図書館の未来に対して すこぶる暗澹たる思いを抱かざるを得ないのである(いえ,決してパートのオネェサンたちを非難しているのではアリマセンが)。
ここ数年は,私自身の諸般の事情により川崎図書館を訪問していない。紅葉坂の方には昨年末に久し振りで出掛けたが,周辺の様子がすっかり様変わりしていて,時の流れをシミジミ感じたものだった。ああ,そろそろ川崎の方にも行きたいなぁ。そうだ,フォールディング・バイクで小田急・登戸駅まで輪行して多摩サイ経由で行くのもいいなぁ。帰りには昔懐かしい川崎の旧市街をウロウロしたりして。。。などと思っていたところに,本日の禍々しいニュースである。 頼むよ。これ以上アワレナ老人をイジメナイデ下さいよ! と,振り上げた拳をどこに下ろせばいいのか。
繰り返すが,クロイワ某は何をしておる!