前回のエントリーで携帯電話を最近解約したことを記したが,私の場合,それによって年間で約2万円の節約となった。ここ1~2年は通話,メールとも利用頻度が非常に少なくなっており,またWEB閲覧なども全く利用していなかったため,世間一般の方々に比べれば全然大した額ではありません。これがウチの長男なんかになると,デザイン関係の諸活動でかなり頻繁にiPhoneを利用しているようで,毎月のケータイ支出は1万円近い(あぁメマイがする!) それでも,少ないは少ないなりに そうやって無駄なお金を節約できるのは嬉しいことだ。さて,この剰余金をどうしましょうかね。当然家計に全額繰り入れでしょうが!などという身も蓋もないツッコミは無視させていただいて,そのうちの一部について,前々からずっと気になっていた電子書籍専用端末の購入資金に充当することにした(結局またデジ物かぃ!)
で,その端末機種ですが,コボじゃない,ソニーでもない,ガラパゴスなんかじゃ勿論ない。迷うことなくキンドルKindleに決めたのであります。それも,ラインアップのなかで最下位のPaperwhite,価格は何とナナキュッパ。実に安いじゃありませんか。
最初,アマゾンco.jp.のサイトで同製品を注文したのだが,人気機種につき品切状態が続いており入荷予定は年が明けた1月13日だという。そんなに待てないなぁ,何とか早く入手できる方法はないか知らと実店舗における販売情報をネットでいろいろ調べてみたが,今すぐ直接購入できそうなところは都心方面などの店に限られ,それはそれで買いに出掛けるための交通費がバカにならない。なかで,「カメラのキタムラ」だけはネット販売&実店舗受け取りが可能であるという。おー,この店なら当盆地内にも3店舗あるゾ,というわけで速効でポチッとして,その2日後には目出度く入手することが出来た次第である。それが12月10日のことだった。
以来,毎晩 Kindleを携帯して寝床に入る日々が続いております。
いちばん最初にダウンロードしたのは,内田樹の『寝ながら学べる構造主義』の無料サンプル本だった。サンプルゆえ当然ながらサワリの数ページしか見ることができないわけだが,操作方法や使用感を知るためなので別にそれはそれで構わなかった。フォントをいろいろ換えたり,ジャンプしたり,辞書検索をしたりして,Kindleの使い勝手は概略把握することができた。ちなみに,同書のKindle版を購入しようとすると価格は578円(紙の本の20%off)ということで,これは少々高すぎるように思う。実際のマーケットにおいては,一時は過分にもてはやされていた「内田本」は既に旬を過ぎてしまったようで(御本人の劣化とともに?),最近ではBOOK OFFの100円本コーナーでもしばしば見掛けるくらいだ。それはさておき,Kildle本の価格は出版社ごとに決められているというが,小説やエッセイ等だと この価格設定ではそうそう売れないんじゃないかな? 専門書,学習書などはまた別だろうが。
操作要領がわかってからは,次に,版権の切れた無償本をダウンロードしていった。宮澤賢治の『春と修羅』を1集から3集まで落としたのを皮切りに,萩原朔太郎,林芙美子,坂口安吾,太宰治,芥川龍之介,寺田寅彦,西田幾多郎などなど,無料であるのをいいことに節操もなく次々とダウンロードしている。私設図書館の開設,そして寝床図書館の充実。いやー,楽しいなぁ。
それから次には海外のほうにも少しばかり目を向け,まずは サマセット・モームの『Of Human Bondage』をダウンロードしてみた。こちらも当然0円である。この本は遙かな昔,まだハイティーンだった頃に新潮文庫(中野好夫訳)で読んで感動し,一時期のお気に入りだった。そして,モームの文章は簡潔明瞭で平易であると聞き及んで,ペーパーバックを入手して原書でも読んだ。英語力の極めて乏しいオチコボレ高校生ではあったけれども,事前に訳本に親しんでいたゆえ,原文のほうもソレナリニ分かったつもりになって,作者の「生の声」を聞き,それを自らに受け入れた気になって悦に入っていたものだった。そんな昔の幼い感覚が,半世紀近くの歳月を経た今,寝床のなかでコソバユイように蘇ってきたりする。何という時代でしょうか。長生きはするものだ。
現在のところ,有償購入した書籍はサン=テグジュペリの『Le Petit Prince』1冊だけである。価格は100円ポッキリと安かった。洋書の価格設定は概して安いようだ。こちらもまた,ずっと昔,20代の始め頃だったろうか,フランス語独習テキストとして割と熱心に読んだことがあったので,数10年を経た現在でも かなりのフレーズを覚えており,さまざまな場面で目を細めたりニンマリしたり,得も言われぬ懐かしさを覚えたのである。
そんなことをしながら,夜のひとときを楽しんでいる今日この頃,まことにツツマシヤカなジンセイでございます。ボロは着ててもココロの錦(またかぃ!) あぁ,そんなこんなで今年もそろそろ終わろうとしている。 ク・ル・タン・パッス・ヴィット! でもチョット,長生きのし過ぎだろうか。 ダロウカ?