昨日のことである。夕方,当盆地の北側山麓に位置する蓑毛から県道70号を自転車で下ってきた私は,国道246号・名古木(ナガヌキ)交差点にて赤信号のため停止した。最近では大分日が短くなってきたが,そのときはまだ5時を過ぎた頃だったので周囲は十分に明るかった。信号待ちをしながら何げなく左の方に目をやると,国道246号の善波トンネル方面からの緩い下り坂を一台の自転車がゆっくりと下ってきて交差点をそのまま直進して渡ろうとした。と,そのとき,後続のクルマが その自転車に対して急にクラクションを鳴らしたのだ。ププッ,プーーッ! という,それは実に剣呑で癇にさわる,いわば警告的かつ威嚇的なホーンに聞こえた。何故に?
クラクションを発したそのクルマは,湘南ナンバーのプリウス,ボディーカラーは薄青色(後で調べると「フロスティーグリーンマイカ」などというバカっぽい名前が付けられているようだ),そして乗車していたのは高齢の男女二名,要するにジジィとババァだ。それに対して,後ろから急にクラクションを鳴らされた自転車の方は,草臥れたママチャリ,というか古い実用車に乗った痩せ気味の老人である。両者はほぼ同年配で,年齢は60代後半から70代前半といったところだろうか。
私がボンヤリとその光景を眺めていた限りでは,自転車の走り方に特に非があったようには見えなかった。別に迷走していたわけでもなく,普通に車道の端のほうを「ややゆっくりめ」に,それでも下り坂ゆえソレナリのスピードは出ていたように思うのだが,後続のプリウス・ジジイにとっては,その「幹線道路ゆっくり自転車走行」自体がフラフラ危なっかしいものと感じて癪に障ったのだろうか。それとも,私の視点からは確認できなかったが,実際には その自転車は道路センター方向に多少「ふくらんで」走っていたということなのか。そして,その状況で危険回避のために急ブレーキを踏んだりすれば後続車に追突されるかも知れぬといったことをプリウス・ジジイは恐れたのだろうか。しかし,だからといって そんな場所でいきなりクラクションを鳴らすもんじゃない。しかも相手は自転車ではないか。道路交通法を何と心得ているのだ,バカタレ・グルマが! 小洒落た「エコ・カー」なんぞに乗って NOx,PMの排出は控えめにして(エヘン),街中をいつもクルマでスイスイと移動したりして,優雅な老後の日々を暮らしている満願成就のジンセイ,といったステイタスなのかも知らんが,もしその晩節を汚したくないのであれば,そのエコ・カーとやらにより決してヒトを殺めることなく,むしろ進んで釜を掘られるがいい!!
おっと,少々コトバが乱れてしまった。少々どころではないか。いやメンボクナイ。
気を取り直して続けると,あるいは こうも考えられる。その両名は元々お互いに知った仲であって,今しがたまで何かの集まりで同席しており,その後散会して同じ方向へと帰る途中,プリウス・ジジイが自転車老人に対して ちょっとした別れぎわの挨拶のつもりで後ろからクラクションを鳴らしたのかも知れない。ププッ,プーー!は そういう音調に聞こえなくもない。ただし,そのときのクラクション音に対する自転車老人の一瞬ビクッとしたようなリアクションから推測すると,やはりその可能性はかなり低いだろう。いや仮にそうだったとしても,そもそも交差点のそんな場所で後ろから不意打ちのようなクラクション挨拶なんぞ,それこそ常軌を逸した行動だ。道路交通法違反による罰則(2万円以下の罰金又は科料)といったレベルの話で済む問題ではない。それはすなわち,自らが世間知らずのマナー知らずのバカタレであることを周囲に晒している行為なのですよ。
だいたい,クルマを運転している連中の95パーセント(=ほとんど全て)は,自らが安全シールドに覆われた殻中にヌクヌクと閉じこもっているがゆえに,クラクションという大音量発生装置が「対クルマ」用のそれであり,しかも非常時,緊急時にのみ使われるためのシグナルであることをしばしば忘れている。それは決して「対ヒト」「対自転車」用に使用すべきものではないのだ。具体的な音量レベル(デシベル)がどの程度なのかは当方詳らかでないが,生身の人間がごく間近で耳にする音,被爆する騒音として,それはあまりに大きすぎる。ある種の騒音はときとして凶器になることは これまでに多くの社会的事件が示してきたところである。そう,やはりこれも「キチガイに刃物」の付帯事項であるのだろう。道路を通行する人や自転車に対するクラクション炸裂,それはクルマに乗る者の奢り以外のなにものでもない。ヤドカリの法則,現代ニッポン社会における道路交通ヒエラルキー,階級制度の不条理をつくづく感じざるを得ないのである。 奢れるジジイは久しからず!
はぁ,と溜息ひとつ。 再び気を取り直して別の話を少しだけ,付け加えておく。
それは同じくナガヌキ(名古木)で,本日の夕方のことだ。やはり自転車で自宅を出た私は,住宅街を抜け,金目川に沿った轟坂を一気に下って国道246号に入り,その後246号を上り方面へと走って 名古木の交差点で右折した(当然,2段階右折であります)。右折したのち,下り車線に設けられている左折専用路の横断歩道を渡り,そのまま歩道を少し進んで県立秦野曽屋高校前の脇道に移ろうとした。
すると,その舗道の傍でロードバイクのオネエサンが一人しゃがみ込んでいた。だいぶ疲れた様子で,日陰でしばし涼みながら休んでいるという感じだった。付近に連れは見当たらず,傍らに自転車が一台あるだけだった。お互い目が合うと 先方から軽く会釈をしてきた。年の頃は20代~30代か(よくワカラン),なかなか美形のオネエサンであった。白を基調とした洒落たウェアに身を包み,薄いピンク系のヘルメット,そして傍らの壁には 恐らくかなり高額であろう(よくワカラン)綺麗なロードバイクが凭せかけてあった。C'est parfait!(完璧だ!)って感じである。一方,私ときたら オンボロMTBに着たきりスズメの草臥れたTシャツ,七分ズボン,キャップといったいでたちで,両者の差は歴然としておりましたけれども,さはさりながら,お互いスポーツ自転車同士という共通点はかろうじてあるがゆえ,こちらも軽い会釈を返し,といって別に言葉を交わすことなどはせずに,そのまま通り過ぎたような次第でありました。
ああ,ブームなんだなぁ,と改めて思いましたですね。それも「自転車スタイル」という,いわば様式美をとりわけ重んじるブームだ。お金のかかるブームだ。何はともあれ,まずはカッコを決めねばならない。そのオネエサンも それこそチャラチャラ自転車雑誌の表紙モデルが抜け出たようだ,といっても少しも違和感のない外見で,今日は撮影ですか?と問うてもいいくらいだった。昨今話題の「山ガール」などもそうだが,今日びの若い娘っ子たちは,まことに見目麗しき姿を惜しげもなく自然のなかに晒している。まるで御芝居のようにComme au théâtre! ウラヤマシイ限りである。平和なニッポン社会である。 で,そのロードバイク・ガールのカンジンの走りっぷりについては残念ながら不明だけれども,まぁそれは想像しないでおきましょう。恐らく今日はヤビツ峠から下ってきたのだろう。一人ヤビツだったのかな,あるいは遅れている連れをそこで待っていたのかな。これからどちらまで帰るのかは知らねども,多分は国道246号を走ってゆくのだろう。大型トラックやら観光バスやら大小の石鹸箱(ワンボックスワゴン)やらの接近遭遇には十分注意して下さいね。なかには日頃ローディー達を目の敵にしているキチガイ・グルマも走っているわけであるからして,まちがってもヤツラの餌食になることのないよう,安全第一を旨として御無事でお帰り下さい。
以上,現場からでした(違うって!)
クラクションを発したそのクルマは,湘南ナンバーのプリウス,ボディーカラーは薄青色(後で調べると「フロスティーグリーンマイカ」などというバカっぽい名前が付けられているようだ),そして乗車していたのは高齢の男女二名,要するにジジィとババァだ。それに対して,後ろから急にクラクションを鳴らされた自転車の方は,草臥れたママチャリ,というか古い実用車に乗った痩せ気味の老人である。両者はほぼ同年配で,年齢は60代後半から70代前半といったところだろうか。
私がボンヤリとその光景を眺めていた限りでは,自転車の走り方に特に非があったようには見えなかった。別に迷走していたわけでもなく,普通に車道の端のほうを「ややゆっくりめ」に,それでも下り坂ゆえソレナリのスピードは出ていたように思うのだが,後続のプリウス・ジジイにとっては,その「幹線道路ゆっくり自転車走行」自体がフラフラ危なっかしいものと感じて癪に障ったのだろうか。それとも,私の視点からは確認できなかったが,実際には その自転車は道路センター方向に多少「ふくらんで」走っていたということなのか。そして,その状況で危険回避のために急ブレーキを踏んだりすれば後続車に追突されるかも知れぬといったことをプリウス・ジジイは恐れたのだろうか。しかし,だからといって そんな場所でいきなりクラクションを鳴らすもんじゃない。しかも相手は自転車ではないか。道路交通法を何と心得ているのだ,バカタレ・グルマが! 小洒落た「エコ・カー」なんぞに乗って NOx,PMの排出は控えめにして(エヘン),街中をいつもクルマでスイスイと移動したりして,優雅な老後の日々を暮らしている満願成就のジンセイ,といったステイタスなのかも知らんが,もしその晩節を汚したくないのであれば,そのエコ・カーとやらにより決してヒトを殺めることなく,むしろ進んで釜を掘られるがいい!!
おっと,少々コトバが乱れてしまった。少々どころではないか。いやメンボクナイ。
気を取り直して続けると,あるいは こうも考えられる。その両名は元々お互いに知った仲であって,今しがたまで何かの集まりで同席しており,その後散会して同じ方向へと帰る途中,プリウス・ジジイが自転車老人に対して ちょっとした別れぎわの挨拶のつもりで後ろからクラクションを鳴らしたのかも知れない。ププッ,プーー!は そういう音調に聞こえなくもない。ただし,そのときのクラクション音に対する自転車老人の一瞬ビクッとしたようなリアクションから推測すると,やはりその可能性はかなり低いだろう。いや仮にそうだったとしても,そもそも交差点のそんな場所で後ろから不意打ちのようなクラクション挨拶なんぞ,それこそ常軌を逸した行動だ。道路交通法違反による罰則(2万円以下の罰金又は科料)といったレベルの話で済む問題ではない。それはすなわち,自らが世間知らずのマナー知らずのバカタレであることを周囲に晒している行為なのですよ。
だいたい,クルマを運転している連中の95パーセント(=ほとんど全て)は,自らが安全シールドに覆われた殻中にヌクヌクと閉じこもっているがゆえに,クラクションという大音量発生装置が「対クルマ」用のそれであり,しかも非常時,緊急時にのみ使われるためのシグナルであることをしばしば忘れている。それは決して「対ヒト」「対自転車」用に使用すべきものではないのだ。具体的な音量レベル(デシベル)がどの程度なのかは当方詳らかでないが,生身の人間がごく間近で耳にする音,被爆する騒音として,それはあまりに大きすぎる。ある種の騒音はときとして凶器になることは これまでに多くの社会的事件が示してきたところである。そう,やはりこれも「キチガイに刃物」の付帯事項であるのだろう。道路を通行する人や自転車に対するクラクション炸裂,それはクルマに乗る者の奢り以外のなにものでもない。ヤドカリの法則,現代ニッポン社会における道路交通ヒエラルキー,階級制度の不条理をつくづく感じざるを得ないのである。 奢れるジジイは久しからず!
はぁ,と溜息ひとつ。 再び気を取り直して別の話を少しだけ,付け加えておく。
それは同じくナガヌキ(名古木)で,本日の夕方のことだ。やはり自転車で自宅を出た私は,住宅街を抜け,金目川に沿った轟坂を一気に下って国道246号に入り,その後246号を上り方面へと走って 名古木の交差点で右折した(当然,2段階右折であります)。右折したのち,下り車線に設けられている左折専用路の横断歩道を渡り,そのまま歩道を少し進んで県立秦野曽屋高校前の脇道に移ろうとした。
すると,その舗道の傍でロードバイクのオネエサンが一人しゃがみ込んでいた。だいぶ疲れた様子で,日陰でしばし涼みながら休んでいるという感じだった。付近に連れは見当たらず,傍らに自転車が一台あるだけだった。お互い目が合うと 先方から軽く会釈をしてきた。年の頃は20代~30代か(よくワカラン),なかなか美形のオネエサンであった。白を基調とした洒落たウェアに身を包み,薄いピンク系のヘルメット,そして傍らの壁には 恐らくかなり高額であろう(よくワカラン)綺麗なロードバイクが凭せかけてあった。C'est parfait!(完璧だ!)って感じである。一方,私ときたら オンボロMTBに着たきりスズメの草臥れたTシャツ,七分ズボン,キャップといったいでたちで,両者の差は歴然としておりましたけれども,さはさりながら,お互いスポーツ自転車同士という共通点はかろうじてあるがゆえ,こちらも軽い会釈を返し,といって別に言葉を交わすことなどはせずに,そのまま通り過ぎたような次第でありました。
ああ,ブームなんだなぁ,と改めて思いましたですね。それも「自転車スタイル」という,いわば様式美をとりわけ重んじるブームだ。お金のかかるブームだ。何はともあれ,まずはカッコを決めねばならない。そのオネエサンも それこそチャラチャラ自転車雑誌の表紙モデルが抜け出たようだ,といっても少しも違和感のない外見で,今日は撮影ですか?と問うてもいいくらいだった。昨今話題の「山ガール」などもそうだが,今日びの若い娘っ子たちは,まことに見目麗しき姿を惜しげもなく自然のなかに晒している。まるで御芝居のようにComme au théâtre! ウラヤマシイ限りである。平和なニッポン社会である。 で,そのロードバイク・ガールのカンジンの走りっぷりについては残念ながら不明だけれども,まぁそれは想像しないでおきましょう。恐らく今日はヤビツ峠から下ってきたのだろう。一人ヤビツだったのかな,あるいは遅れている連れをそこで待っていたのかな。これからどちらまで帰るのかは知らねども,多分は国道246号を走ってゆくのだろう。大型トラックやら観光バスやら大小の石鹸箱(ワンボックスワゴン)やらの接近遭遇には十分注意して下さいね。なかには日頃ローディー達を目の敵にしているキチガイ・グルマも走っているわけであるからして,まちがってもヤツラの餌食になることのないよう,安全第一を旨として御無事でお帰り下さい。
以上,現場からでした(違うって!)