ひょんなことから絶望に打ちひしがれた,ワタシ

2009年05月15日 | 日々のアブク
 時々,思わず,クソッタレ! と言いたくなることがある。誰に対してなのか? 多分,それは或る特定の対象に向けてというよりも,不特定多数の世間一般に対して,あるいは,昨今の世界にハビコッテいる「このまっくらな巨きなもの」に対してなのだろうと思う。いい年こいて全然人間できていないが,こればっかりは生まれついてのサガということで,如何ともしようがない。多分は永遠に未完成のままで,やがて消えゆく我が身かな,ということになるのでありましょう。 んなわけで,最近のクソッタレ案件をひとつ,以下に記録しておく。

 話は今から半年近く前に遡る。拙宅からほど遠からぬ某地域における環境アセスメント評価書案が一般に公表された。そして,ひょんなことから,というか諸般の事情から,私の本来の守備範囲(営業品目)である「水生生物」の項について,その評価書案の内容を一市民の立場でひととおり検証するハメになった。それで,約40ページほどの該当部分を細かくチェックしてみたのだが,その内容ときたらそれはもうヒドイものであった。ささいな誤記,不備などを含めて逐一挙げていたら,マチガイはそれこそ100項目を優に超えるというテイタラクである。これはまさに完全なる税金の無駄遣いではないか。そしてその税金には,ごくごく微細ながらもワタクシ自身の血税も含まれているわけであるからして,この状況をして単に,クソッタレ!と言い放って無視して済ませるわけにもゆくまい。ということで,一応12ページほどの詳細かつ具体的な意見書をしたためて担当部署に提出した。ちなみに,評価書案に記載された内容を検証するために既往文献探索ならびに事業対象地域の現地踏査等を行ったものだから,まる2日間がそれで潰れました(決してヒマな時期ではなかったのだけれど。。。)

 約2ヶ月後に,意見書に対する事業者見解書が公表された。昨日,その「見解」とやらに遅まきながら目を通したのだが,これがまたヒドイものであった。そして再び,クソッタレ~!と,今度はハッキリ声に出して叫んでしまいましたですよ(仕事場の中で,ですけどネ)。そしてその後,少々オオゲサな言い方をすれば,私は絶望に打ちひしがれてしまったのである。真理とは,正義とは一体なんなのだろうか。この世には神も仏もあるものか。灰打ち叩くウルメ一枚。何のオノレがサクラかな。サクラかな。 (ダメダ,こりゃ)

 経緯説明のための具体的例証として,数多の誤りのなかからほんのひとつだけ,以下に挙げておく。順序立てて述べると,まず,先に提出された評価書案の「底生動物出現種リスト」のなかに,次のような記載があった。

------評価書案--------------------------------------
 学名:Anisogammaridae sp. 和名:アゴナガヨコエビ科の一種
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 これは要するに,学名が「Anisogammaridae sp.」,和名が「アゴナガヨコエビ科の一種」という「生きもの」が調査地域内で確認された,ということを示している。ここで,調査担当者の生物分析能力が未熟であるがために,この「生きもの」を種ないし属レベルまで同定することができずに科レベルの段階で止めおかれていることに関しては敢えて追求しないことにしよう。それ以前の根本的な誤りとして,記載されたリストにおいては学名と和名とが一致・対応していない,その点が問題である。これはスペルミスなどというイージーミスとは異なる。すなわち,この生物リストを記載した調査担当者は,淡水生物のことを知らないヒト,といって語弊があれば,甲殻綱ヨコエビ目について無知なヒト,さらに遠慮して申せば,少なくとも淡水産ヨコエビ類に関するイイカゲンな知識を持ったヒトであることは明らかである。あるいは百歩譲って,生物知識のないオペレーターさんがリストを作成する段階で書き間違えたのであるとしても,最終的に然るべき専門家が校正チェックしていれば,そんな誤りにはすぐに気付いたはずである。 かくのごとき御粗末さ,杜撰さに対して,私は意見書において概ね次のように記した。

-------住民の意見------------------------------------
 学名欄の「Anisogammaridae sp.」が正しければ,和名をアゴナガヨコエビ科としたのは間違いで,正しくは「キタヨコエビ科」としなくてはならない。なおこの場合,分布域から考えて出現種はアゴトゲヨコエビJesogammarus spinopalpusであろうと思われる。 あるいは,和名欄の「アゴナガヨコエビ科の一種」が正しいのであれば,学名は「Pontogeneiidae sp.」としなくてはならない。この場合,ヤマトヨコエビStemomoera japonicaが該当するかも知れないが,調査地域の環境からすると,その可能性は低い。
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 それに対して,事業者の出した見解は以下のとおりである。

-----事業者の見解-------------------------------------
 記載の誤りでした。予測評価書では「キタヨコエビ科」に訂正します。
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 あーあ,たった一言で済まされてしまった。これじゃぁまるで,「東京都知事=東国原英夫,としたのは記載の誤りでした。正しくはイシハラシンタロー,と訂正します」といった類の見解をシレッと示されたようなものデハナイカ! 絶望に打ちひしがれたワタクシの気持ちも,ちったあ御理解いただきたく存じます(誰にだ?)。 嗚呼,まこと世の中にブツブツの種は尽きまじ。かくして戦いはさらに続いてゆく。

 最後に もいちど。 クソッタレ~~~!!
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