ブック・オフの店内で,若い女性に声をかけられる...

2013年05月20日 | 本屋さん
 我らが貧民の友(またかぃ!) ブック・オフでのエピソードなどを少々。

 一昨日夕方のやや遅い時間,自転車活動の途中でブックオフ某店に一寸立ち寄った。休息がてらボンヤリ本棚のあちこちを眺めていると,店内の一隅で,年の頃20代と思われる女性が踏み台にちょこんと座り,何やらひとりブツブツ言いながら本を読んでいるのが目に留まった。なんだか変な感じだな,と思っていると,あやや,お互いの目があってしまった。そして,唐突に こう言われた。

 「おじさん,大学の先生みたいだね」

 おっと,いきなり先生パンチ,もとい先制パンチをくらった感じである。(何故に?) こちらとしては咄嗟に返す言葉に詰まったままでいると,その女性はさらに,手に持っていた本を私に向け,表紙のタイトルを指さして聞いてきた。

 「これ,何て読むか わかる?」

 その本は,岩波の『星の王子さま』,それもハードカバーのオリジナル版だった。無邪気に試されているのかナ?と思いつつも,とりあえずは素直に返答した。

 「それは,ホシノオージサマ,でしょ。」

 「そうだよね。 じゃあ,これは?」

 同じく表紙に記されている《Le Petit Prince》という原題のタイトルを指で示した。

 しかしながら,もしここで こちらが真っ正直に「それはフランス語で ル・プチ・プランス,と読むんだよ。この本を書いたのはフランス人だからね。」などと返答しようものなら,その後お互いの会話がさらに盛り上がってしまいそうな気もして,そしてブックオフ店内のような場所において そういったオソロシイ展開はできれば避けたいと思いましたがゆえに,いちおう無難にこう答えておいた。

「うーん,それは判らないなぁ。そういうのはお店の人に聞けば教えてくれるよ」

 そして,その返答を区切りとして敵前逃亡,別の場所で本を探すような振りをしてソソクサとその場をあとにした。

  恐らくは軽度の知的障碍,ないし精神のどこかを病んだヒトなのだろう。中途半端な対応をされるよりは一方的に無視を決め込んでくれた方が彼女にとってはよかったのかも知れない。なのに敢えて二,三の言葉を交わしてしまったのは,つい最近読んだ五木寛之先生の養生本に書かれていた『ボケ防止のために,一日最低知らない人2人と話を交わす,というキマリを設ける云々』といった文言が当方のアタマのどこかに引っかかっていたせいだと思う。老いてなお人生修行,か? カタジケナイ,ではないか,メンボクナイ。

 オネーチャンの人生とジジイの人生とが,そんな風にして束の間交錯したわけであります。 あぁ,生きるってのも タイヘンだなぁ。

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