![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/96/6fc86b3281ef94324d046fe2eed60b87.jpg)
好天に恵まれた土曜日,日中の気温もかなり上昇して今日は夏日になるでしょうと朝の天気予報は告げていた。 んじゃ,ということで,朝起きたあと敷布団を二階の南向きベランダに干すことにした。ハズカシナガラ,ここ暫くフトンなんぞ全く干すことがなかった。恐らく今年の初仕事である。
午後三時頃になってベランダに出て布団を取り込もうとしたとき,そのフトンの表面にカゲロウが1尾,張り付くように止まっているのに気がついた。おや,これは珍しい来客だ。 よぉく目を凝らしてみると,それはアカマダラカゲロウUracanthella punctisetaeの雄の亜成虫subimagoであった。オレンジ色の優雅な姿を示したままでじっと動かず,その脆弱な前翅と長い尾を微かに風に揺らしている。せっかくなのでデジカメを持ち出して1枚パチリしてしまった。一寸気取ったフライフィッシャーであれば「ハッチアウトしたアカマダラのダンを確認!」などと嬉々としてノタマウのかも知らんが,当方あいにくそちら方面には疎い無粋者であるゆえ,余計な思惑ないし想像力の入り込む余地はない。ただ,カゲロウ類の幼虫が羽化して亜成虫から成虫へと変化してゆく束の間の営みの美しさ・儚さは,それなりに承知してオリマス。
ちなみに,拙宅は葛葉川(金目川水系の一次支川)から直線距離にして約100mほどの場所にある。昨今では生活排水,産業排水,ゴミの不法投棄等ですっかり汚れてしまい,地元住民にさえほとんど見向きもされなくなった悲しい姿を晒しているが,そのようなドブ川水路のごとき小河川にも,無数の小さな生命の営みが日々繰り返されているのである。あぁ,もうカゲロウが羽化する季節になったのだなぁ,と改めてシミジミ納得した次第である。
そうか,東北地方の各地の美しい河川にも,これから少しずつ遅い春が訪れて,川辺に沿ったサクラの木には花が咲き,河川敷の荒蕪地には黄色い花,白い花が咲き乱れ,そうしてさまざまな種類のカゲロウも羽化をはじめて水辺を盛んに飛び交うのだろうな。やがてウグイやアブラハヤ,ヨシノボリなどの魚たちも産卵を始めるだろう。季節は巡り,水辺の生の賑わいが自然に,ごく自然に繰り返される。それらは被災した人々の心を少しでも癒すことになるのだろうか? ダロウカ?