香川照之が歌舞伎役者へ・・・息子を歌舞伎の世界に入れたいと考えていることは知っていましたが、思い切ったことをしたものです。
でも、澤瀉屋の歴史を考えればこれが一番良かった気もします。
亀ちゃんが父段四郎ではなく、叔父の猿之助を継ぐ。
おそらく猿翁になると思います。
猿之助の実子の子が団子を継ぎ、亀ちゃんの猿之助を継ぐ。
いずれ亀ちゃんの子が段四郎を継ぐということでやっと入れ替わるかんじなのでしょうか?
香川は中車を継ぐとは思いもしませんでした。結構な名跡です。
一時は右近が猿之助を継ぐのでは?としきりにいわれていた時期もありましたので、門弟の中で実力派の役者さんたち(春猿、笑三郎、笑也等)のことが心配です。
今までどおり脇をしっかり固めていくとは思いますが。
香川と猿之助は絶縁というか、香川が俳優の道に進んだ当初に猿之助に会いたいと出向いて門前払いされたのは有名な話です。
血筋もあるでしょうが、それがバネになって今の香川があるといってもいいでしょう。
亀ちゃんは中学生の頃から舞台を観させてもらってます。
とても真面目で浮ついたところがなく、芸一筋の子でした。
話は逸れますが、同じようなタイプに現・尾上松緑がいます。
彼も祖父二代目尾上松緑に容貌が似ていて、夭折した父辰之助のような伊達男振りはないけれど、堅実な舞台を観せてくれる。
祖父と父を立て続けに亡くした境遇も猿之助に似ていて、平成の三之助と言われながらも地味に落ち着いたのは後ろ盾の無さでしょうね。
でも、芸は他の二人とは格段の差を見せる実力派。
亀ちゃんの話しに戻るけれど、当時からいつか荒事を観て見たいと思わせるパワフルさも持ってましたし、父段四郎の男っぽさを受け継いだ容貌なので、女形も演じる叔父猿之助とはやや傾向が違っていましたがそれも一門にとって有益だったようです。
高校生になると進学のことがあったために舞台はほとんど上がっていなかったと思います。
学問の澤瀉屋に恥じない学歴は香川も同様です。
香川の歌舞伎役者を私は思い描けない。
豪快な左團次さんみたいな役者になって桁外れなことをやってくれればいいとも思うけど。
猿之助が倒れて久しい今、澤瀉屋が揺ぎ無いものとして存在し続けるためには香川の登場は心強いかもしれない。
歌右衛門が亡くなって、私は時代の区切りが付いたと思っています。
この混沌としてしまった歌舞伎界の流れを、澤瀉屋が変えてくれればと願うしそうであって欲しいと思います。
猿之助がケレンに挑戦したように、歌舞伎界のために良かれと思うことは躊躇せずに挑んで欲しいと思うのです。