月はそこにいる

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三津五郎丈ではなく八十助丈としてお見送り

2015-02-26 23:04:28 | days

「美味しいやきとり食べたいねーー!」となり、ヅカ友と呑み会。
地元のやきとりが美味しいお店に行くと、お正月に来た時は満席だったのに2月の平日ともなると、人もまばら。
お互い職業婦人なので、割とお安めなお店を選ぶ事にしているのだけど、ここはコスパも素晴らしいし、スタッフの青少年達も長く居着くみたいで、活気のある中にもホワリ・・・とりた空気があってお気にいり。

さて、彼女のご贔屓のジェンヌさんはなかなか芸達者で。
地味だけど与えられた役をきっちりとこなしていくタイプ。
彼女とのツーショット(お茶会や食事会で撮影)を見せてもらうたびに、役と華やかな素の容姿にギャップがあって素敵と思ってしまうのです。

そんなヅカ呑みの間にもチケットの抽選結果は有り、彼女はご用意して頂けず、私はどうにか・・・というのもS席は無理だと思ったので、そこを外したのが勝因?
でも、彼女はたくさん伝手があるのであまり落ち込んでおらず、お酒が進んでいきます。


そして、寝坊して検定試験をスルーした息子にも期末テストはやってくるわけで。
今回は最終日の夜にペトロールズのライブがあるのでなんとか私に脅され、(チケットオクに出すよ!)、すかされ(終われば長岡さんに会えるよ)、どうにか頑張った。

酒井順子女史のエッセイを読む。
未婚、子ナシ女性(自分を含め)を堂々と「負け犬」と称した女史ももうすぐ五十歳に手が届く。
高校性の頃からマーガレット酒井のペンネームで「olive」(休刊)に寄稿していた時代から幾星霜。
口はばかられることや、揶揄(毒ですね)を気配りのあるワードマジックでなんとなくさらりと納得させていた手法は健在。
同じ匂いを岸本葉子さんにも感じるのですが、あの方はエッセイと言うより、自分の生活振り自慢みたいで、ロハスな林真理子女史風。



そんなときに飛び込んできた坂東三津五郎丈の訃報。
ニュースを目にするたびに涙が止まりませんでした。

三津五郎ではなく、八十助。
勘三郎ではなく、勘九郎。
勘九郎は勘太郎で、猿之助ではなく亀治郎。
自分が一番観ていた頃の名跡がしっくりきます。
なので、ここでは八十助。

菊五郎が巳之助を立派な役者にすると弔辞を読んでくれたこと。
梨園はほとんどどこかで血縁はあるので、少しは安心できます。
あとは巳之助の頑張り次第ですね。

私は近藤サトが後妻に入ったのが八十助の間違いだったと思ってます。
寿ひずるさんも婚家との確執に苦しんだけれど、男子を生んでいることでは八十助側はよしとしたんでしょう。
梨園の外の人は梨園の旧時代からのルールに悩み、苦しむんでしょうね。

よく言われるのが「芸の肥やし」。
あちこちで浮名を流そうと、仕方がないことを理解出来ないのが最たるものだと思います。
近藤サトも肥やしのひとりだったはずなのに、何を勘違いしたのか妻の座に。
自分がその他大勢だと割り切れなかった、頭の悪さ故です。
その犠牲になったのが先妻との三人の子供たちです。
特に巳之助は実母を捨てた父の跡など継ぐものか、と子供心の思っても当然でしょう。

挙句、子供を生んじゃダメって言われたから離婚するって・・・
八十助に尽くし、子供達を大切に育てたいといえば、少しは違ったものの、明らかに自分の生んだ子を後継にしたい気持ち丸出し。
あの離婚会見は呆れましたね。
ただ、この離婚で祖父の後妻と同じことにならなかったのが救いです。

ついでですけど、あの頃「料理の鉄人」でカレーを作るっていうのがあったんですが、彼女は着物に割烹着(だったかな)ではんぺんやお麩の入った珍妙でこれ見よがしな和風カレーを作ってて、実況アナに「さすが梨園の妻」とか言われて喜んでたんですよ。
梨園に嫁ぐっていうのが彼女の中ではステイタスだった?

スキャンダルも多い梨園ですが、獅童や松也、愛之助が挙げられるのは当然ですよね。
彼らをガードするものが何もないから。
大きな名跡を継ぐ人はまわりがしっかり守ります。
なので、上記の三人はお気の毒ですけど、人身御供みたいなものですね。

勘九郎が亡くなった時、ふたりの「棒しばり」がもう観られないのだな・・・と思ったけれど、勘太郎と八十助が踊ってくれて。
勘太郎と巳之助が踊る時代が来るのかわからないけれど、先代の大和屋と中村屋の二人が楽しくって仕方ない!と顔を見合わせて踊ったように彼らが踊ってくれればと思うのです。



八十助から勘九郎が繋がってしまい、「小山三ひとり語り」を読んでます。
小山三さんは現役最高齢の歌舞伎役者。
中村屋三代に使える大番頭で、女形として活躍。

体調を慮って、玉三郎が同じ舞台に立ったとき、小山三に背を向けて倒れるところを反対に倒れて小山三の異変に備えたという件に感動。
勘九郎が亡くなって、勘太郎が襲名するときに小山三が親代わりに各楽屋を回ったとき、八十助が「しっかりやってあげて、よく面倒見てやっておくれ」としっかり手を握ってくれたと。

歌舞伎って芸を競い合うのも大事だけれど、相手とうまく調和して舞台を最高のものに作り上げる職人のような気構えも大事なんだと思います。


そんなこんなで、4月は毎週観劇予定と相成りました。





実写版「ジョーカー・ゲーム」

2015-02-06 16:37:58 | days

「ジョーカー・ゲーム」は予想以上の面白さ。


原作のスパイ養成機関である「D機関」の特徴が織り込まれている箇所のつなげ方が上手い。

嘉藤(亀梨和也)をスカウトするシーンはXX(ダブルクロス)の冒頭だし、彼が仲間にからかわれるカードゲームのシーンは「ジョーカー・ゲーム」。
脱出のシーンは「ロビンソン」、ストーリーのなぞらえは「幽霊(ゴースト)」。

昭和12年頃を設定しているのに外地が舞台なので、時代がかった古臭さを感じないのと軍部の描写が最小限に抑えられているのがいい。
武野大佐役の 嶋田久作は、いくら目を凝らしてもあの「帝都物語」の魔人・加藤保憲そのもので懐かしくなった。
とはいえ、タイトル通りこの映画はオープニングから「ジョーカー・ゲーム」だ。
騙し、騙されのエンドレス。
スクリーンはそれを体現するかの様なノンストップアクション。
とにかく、嘉藤が逃げる、逃げる、逃げる・・・!


さて、嘉藤をスパイとして送り込んだのは「D機関」の創設者であり、魔王と呼ばれる「結城中佐(伊勢谷友介)」。
軍服に軍コートを纏い、ステッキをついていながらもあの姿勢のよさ。
(ステッキ姿も実はジョーカー・・・詳しくは原作をどうぞ)
伊勢谷も大分無駄な映画に使われたけど、私は「ハチミツとクローバー」の森田とこの結城はいいと思う。
伊勢谷って今年大河に出ているけど、演技が上手いわけでもないし、かと言ってひどく悪いわけでもなくて。
ただ、彼の出演はその演技力以外のところを買われている感じはある。
原作にない結城の片腕の神永(小澤征悦)も存在感あり。



原作を分かっていても、ハラハラさせられたシーンはたくさんある。
実際、スリーパーが現れると分かっていても、つい手を握り込んでしまったし。
時計塔のクライマックスシーンはコナンか?!って普通は突っ込むところだけど、
「ジョーカー・ゲーム」の世界をここまで堪能してるので、そんな暇もなく。

ラストは、リン(日本名:マリコ/深田恭子)がスパイ達からスパイ道具を奪って颯爽と逃げていく。
それを、笑顔の諦め顔で見送る嘉藤。
彼らの乗った車を、鼻を明かされた英国情報部が追跡・・・でエンド。

実写化は期待してしまうけど、この構成が限界かなとも思う。
他にも、単独で実写して欲しい原作のストーリーはあるけど、それだと興業的にどうか?って話になってくる。

それから原作を知らなくても、スパイアクションとして十分楽しめるけど、読んでいたほうが時折「あれ、これって・・・?」と思えるシーンが随所にあるのでより楽しめる。
私も最初の方で「?」って思ったところがラストでドンデン返しだっだし。
コミック版では「Dの魔王」が出てるので、そちらも可。


エンディングに流れる主題歌の「Dead or Alive」も歌詞がいい。
♪挑んだGAMEはリセットできない 背負う闇も連れて

スパイ養成機関は実際に先の大戦の時にあった「陸軍中野学校」がモデル。
有名なのは後期に退校した小野田寛郎氏がいる。
フィリピンに残置諜者として送られ、まさにD機関でもいうスパイとして10年、20年生きる・・・を実践した。
当時の上官の武装解除を得て、投降し帰国した。

原作で読んで欲しいのは「パラダイス・ロスト」の「追跡」。
結城の生い立ちなのだけど、読後は混乱する。
どこまでも、「ジョーカー・ゲーム」なのだった。