村上春樹は「ノルウェイの森」しか読んだことがなく、「ダンス・ダンス・ダンス」も読みかけただけだったが、2/14のバレンタインデーに厚揚げの入った切干大根を作って食べた彼のエッセイは好きだ。
「情けない・・・」と書いているが、そんなことはない。
チョコをもらうでもなく、切干大根を自身で買って煮物を作る。
きっぱりとしてていいと思う。
バレンタインデーにあるべき姿として、推奨してもいい程に。
そして、チョコのチの字も言わずに一緒に黙々と食べる奥様も好感度大である。
エッセイと言えば、先日紫綬褒章を受勲した林真理子女史のものは初期から読んでいる。
今年の大河の原作者だが、もともとはエッセイからデビューしている。
物書きというのは、自らを晒すときに控えめになったり、受け狙いになったりする。
どちらも、己の印象を悪くしたくない気持ちが見え隠れするのがいやらしい。
しかし、林女史は己も妬み、嫉み、僻みを赤裸々にした。
誰もが心の中に住まわせているものをさらけ出したことに共感を生んだと言える。
それは初期の女性を主人公にした物語に色濃く表れている。
「戦争特派員(ウォーコレスポンデント)」「ファニーフェイスの死」「本を読む女」「女文士」。
今は芸能界やセレブ系、もしくは歴史ものに寄っているが、私は初期の恋愛ものや女性の魂の欲求を根深く書いたものが好きだ。
女史自身は自己顕示欲や上昇志向が強い、見方によっては嫌な女かもしれないが、故に世に出た作品も数多い。
女流作家には林芙美子、宇野千代のように一種の癖があるほうが流行作家に成り得るのかもしれない。
目出度く私も祖母になり、先月末からしばらく仕事を休んで娘のサポートにあたっている。
常々「会社を休んで本を読んでいたい」などと思っている私にとってこの自宅待機は願ってもない機会なのだが、初日でそれが大いに甘いことを知った。
お孫の世話はひたすら体力勝負である。
「比類なきジーヴス」は半分読んで、今回は挫折した。
再開のめどは立っていない。