現代人は疲れているという声をよく聞きます。イライラして切れるのが早い、自覚症状のないストレスが溜まっている人が増えているのです。その原因に、社会構造、職場や学校などの人間関係、携帯電話などの電磁波、自然が減った環境、などが考えられるのですが、僕は最大の要因が音にあると思っています。
僕は色々な不幸を見てきて、地獄に堕ちた人が騒音という環境で暮らすのが偶然ではないと感じました。何故ならば、神の声は細くて小さく、耳を澄まさなくては聞こえてこないからです。対して、精神異常者が聴く幻聴はとても大きな声なのです。悪魔の声は大きく、神の声が小さいなら、人は神を求めるために静かな環境を作らなくてはならない道理です。しかし、多くの人は耳を澄ますという大事なことを日常から排除してしまっているのです。そういう意味では、音に情熱を燃やすオーディオマニアには一理あるのです。
でも、音楽を聴くためのオーディオですが、そこには神経を逆なでさせる要因が隠されています。それは、ハイファイ(High Fidelity=忠実再生)の幻想です。音響機器メーカーのヤマハのキャッチフレーズであるナチュラルサウンドも同じ意味です。ハイファイというのは、低域から高域までフラットな周波数特性を持たせた装置のことです。主に、トランジスタ製アンプの代名詞みたいなものです。意地悪な表現をすると、それまでの真空管アンプは特性がフラットではなかったのです。
では、この特性がフラットなハイファイのどこに問題があるのでしょう?それは、出力信号を逆相にして入力に戻すNFB(Negative Feed Back)という回路技術です。NFBを大量にかけると、どのアンプも特性はフラットになります(NFBを増やすと増幅度は減る)。しかし、マイナス効果として位相(音楽信号のプラスとマイナス)が回転して、位相ズレが生じます。また、微細な信号が失われると考えられています。
アンプの値段は昔に比べて格段に安くなりましたが、その理由はオペアンプIC(オペレーショナルアンプ)の開発にあります。一個百円程度で、昔のアンプ数万円分の回路を構成できるのです。しかし、オペアンプは増幅度が一万倍という途方もない特性を持ち、これを音楽を聴くために用いる数十倍程度の増幅度に落とさなくてはなりません。それで、大量のNFBをかけ、増幅度を落としながら特性をフラットに出来るのです。今のアンプは、携帯プレーヤーから十万円程度のアンプに至るまでも、この爪先大のオペアンプが使われているのです。
このように、オペアンプが氾濫し、人々は位相がずれた音楽信号を否応なく聴かされることになりました。それで、音楽を聴くと疲れる、あるいは無意識に音楽から遠ざかる、などの人々が増えているのです。僕はこれを、音苦症候群と呼んでいます。では、この症候群から解放される方法はあるのか?その方法を次回の「2.高域が命で」提示します。
エフライム工房 平御幸
僕は色々な不幸を見てきて、地獄に堕ちた人が騒音という環境で暮らすのが偶然ではないと感じました。何故ならば、神の声は細くて小さく、耳を澄まさなくては聞こえてこないからです。対して、精神異常者が聴く幻聴はとても大きな声なのです。悪魔の声は大きく、神の声が小さいなら、人は神を求めるために静かな環境を作らなくてはならない道理です。しかし、多くの人は耳を澄ますという大事なことを日常から排除してしまっているのです。そういう意味では、音に情熱を燃やすオーディオマニアには一理あるのです。
でも、音楽を聴くためのオーディオですが、そこには神経を逆なでさせる要因が隠されています。それは、ハイファイ(High Fidelity=忠実再生)の幻想です。音響機器メーカーのヤマハのキャッチフレーズであるナチュラルサウンドも同じ意味です。ハイファイというのは、低域から高域までフラットな周波数特性を持たせた装置のことです。主に、トランジスタ製アンプの代名詞みたいなものです。意地悪な表現をすると、それまでの真空管アンプは特性がフラットではなかったのです。
では、この特性がフラットなハイファイのどこに問題があるのでしょう?それは、出力信号を逆相にして入力に戻すNFB(Negative Feed Back)という回路技術です。NFBを大量にかけると、どのアンプも特性はフラットになります(NFBを増やすと増幅度は減る)。しかし、マイナス効果として位相(音楽信号のプラスとマイナス)が回転して、位相ズレが生じます。また、微細な信号が失われると考えられています。
アンプの値段は昔に比べて格段に安くなりましたが、その理由はオペアンプIC(オペレーショナルアンプ)の開発にあります。一個百円程度で、昔のアンプ数万円分の回路を構成できるのです。しかし、オペアンプは増幅度が一万倍という途方もない特性を持ち、これを音楽を聴くために用いる数十倍程度の増幅度に落とさなくてはなりません。それで、大量のNFBをかけ、増幅度を落としながら特性をフラットに出来るのです。今のアンプは、携帯プレーヤーから十万円程度のアンプに至るまでも、この爪先大のオペアンプが使われているのです。
このように、オペアンプが氾濫し、人々は位相がずれた音楽信号を否応なく聴かされることになりました。それで、音楽を聴くと疲れる、あるいは無意識に音楽から遠ざかる、などの人々が増えているのです。僕はこれを、音苦症候群と呼んでいます。では、この症候群から解放される方法はあるのか?その方法を次回の「2.高域が命で」提示します。
エフライム工房 平御幸