平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

バッハのクリスマス・オラトリオ

2008-12-24 14:00:22 | 芸術
 今宵はクリスマス・イヴということで、僕の好きなバッハのクリスマス・オラトリオを紹介します。

 この曲に出会ったのは芸大2年の今頃です。冬休みの帰省をせずに芸大寮で過ごしていたとき、NHKFMの「バロック音楽のたのしみ」のクリスマス週間の特集で、カール・リヒー盤を聴いたのです。この時に録音したテープが良くなかったので、次の年にもエアチェックを待ち構えていたのですが、使われたレコードは同じなのにひどい雑音で、保存状態が悪かったのだと思い、ガッカリした記憶があります。今回は、「朝のバロック」と改称してからの03年に放送されたエリオット・ガーディナー盤(CD DVD)です。こちらの方が空間は感じられますが軽いですね→weihnachts-oratorium.mp3(右クリックでリンク先を保存 音はビットレートが低いのでそれなりです)。

 クリスマス・オラトリオというのは、ドイツでのクリスマス期間、すなわち12月25日から新年1月6日の三王の礼拝の祝日(Dreikoenige)までの13日間に歌われるカンタータ(Kantate器楽伴奏付の声楽作品)の総称の事です。プロテスタントの礼拝に用いられる教会カンタータが主流なので、カンタータと言えば教会カンタータを連想する人が多いようです。バッハのクリスマス・オラトリオは全6部からなっていますが、特に第1部が演奏されます。それは、イエスの誕生の喜びを歌ったものなので、クリスマスに最も相応しいからでもありますが、曲の出来映えも第1部が最高だと思います。

 第1部の冒頭はティンパニーとトランペットによる、「幕開け」を強調した主題によって始まります。僕はこの部分を大音量で聴くのが大好きですが、今は音を出せる環境にないのが残念です。合唱部(1,5,7,9曲目)の対訳付きの歌詞はこちらのサイトでご覧下さい。合唱部を含めた全体の構成は次のようになっています。

1. 合唱:歓呼の声を放て、喜び踊れ
2. 福音史家(ルカによる福音書):その頃皇帝アウグストより勅令出で
3. レチタティーヴォ(アルト):いまぞ、こよなく尊い花婿
4. アリア(アルト):備えせよ、シオンよ、心からなる愛もて
5. コラール:いかにしてかわれは汝を向かえまつり
6. 福音史家:しかしてマリヤは男の初子を生み
7. コラール(ソプラノ)とレチタティーヴォ(バス):彼は貧しきさまにて地に来たりましぬ---たれかよく この愛を正しく讃えん?
8. アリア(バス):大いなる主よ、おお、強き王
9. コラール:ああ、わが心より尊びまつる嬰児イエスよ
参考 日々雑録 または 魔法の竪琴

 第4曲目(11分頃)のアンネ・ゾフィー・フォン・オッターのアルトで歌われる「備えせよ、シオンよ、心からなる愛もて」が特に美しく、このパートを聴くだけで感動します。2曲目の福音史家(エヴァンゲリスト)の朗読に続き、第3曲目のアルトによるレチタティーヴォと進みます。これにアリアが加わるのが教会音楽の形式「レチタティーヴォとアリア」となっています。エヴァンゲリストを『能』にたとえれば、面(おもて)を付けないでストーリーを語る間狂言(あいきょうげん)のような感じです。

 独逸語は聴き取りも難しいのですが、僕はBGM風に聴いています。ドイツ語と書くよりも、独逸語と書いた方が、ドイツ語の性格を端的に表していて面白いですね。モーツァルトの『魔笛』で、パパゲーノの歌にホイサッサと対訳が出るのですが、実際にもホイサッサと発音しているように聞こえます。もしかしたら、日本人と同じイスラエル系の言葉かも知れませんね。

完全対訳はこちら

     エフライム工房 平御幸
コメント (2)
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