平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

天国への登山~モーツァルト ピアノ協奏曲20番

2018-07-06 05:35:59 | 芸術
「疾走」という言葉があります。足の遅い自分には想像できない言葉ですが、競馬場でサラブレッドが全力で駆け抜ける姿は疾走そのもの。でも、音楽で疾走というとモーツァルトなのです。

モオツァルトのかなしさは疾走する


音楽評論家・小林秀雄の残した有名な言葉→こちら。しかし、彼が評論で書き残したモーツァルトの曲はわずか13だとか。楽理的な分析なしに、感性でモーツァルトを語るには詩魂が足らなかったのかもしれません。

最近、モーツァルトのピアノ協奏曲がやたらに聴きたくて、図書館でコピーしたマレイ・ペライアやグレン・グールド盤を聴いてみましたが、どうにも物足らない。それでミロードでクララ・ハスキルの弾く、20番(ニ短調 K466)と24番(ハ短調 K491)が入ったCDを買ってきました。1960年パリでの録音で相当に古い。

録音が古いので音も高域が良くないのですが、演奏は本当に凄い。適当に流しているところがなくて、丹念に解釈して、それでいて嫌味なくモーツァルトを表現している。だから、何度も聴いているうちに、その深さに引きこまれていく。たとえば、20番。

20番は不安に満ちた第一楽章と、まろやかで優しい第二楽章が美しいですが、第三楽章の一転した激しさに面食らわされます。だからといって、バランスを取るために第一楽章から激しく演奏すると台無しになる。最初から最後まで一貫した解釈が必要なのです。

それで、僕が気がついたのは第一楽章の山登り感。登って登ってエンヤラヤーというリズム。山を登るのに疾走しているのです (;´Д`)ハァハァ

ところが、第二楽章になると、景色が全く違ってしまう。

(^ω^) 一生懸命登ったから疲れたね―
(・∀・) じゃ休憩しようか
(´~`)モグモグ 景色もいいし、おにぎり美味しいね―

と、その時、急に雲が真っ黒になって風雲急を告げる感じ

ガラガラドッカーン ⌒(。A。)⌒c(`Д´)⌒(。A。)⌒━━!!

(゚д゚)! いま上から何か落っこちていったよ
( ´゚д゚)(゚д゚` )ネー 凄い落下だったね

Σ( ̄ロ ̄lll) 今のは天国への階段を踏み外した堕落者だよ

みんな、油断しないでよそ見しないで怠けないで登ろう(^ω^)
 
ということで、皆は無事に天国の階段を登り切ったのでした。めでたしめでたし (^=^;

クララ・ハスキルは、この録音の一ヶ月後に急死するのですが、それはブリュッセルの駅の階段での事故だったそうです。天国への階段というインスピレーションを与えてくれたハスキルが、よもや階段での事故で亡くなっていたとは言葉がありません。

なお、24番の方も別の意味で疾走なのですが、第二楽章は子供のような純粋さに満ちています。でも全体を通しての重さを受け止めて聴くことの出来る人は少ないかも (_ _;)

     平御幸(Miyuki.Taira)
コメント (11)
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