以前に、デッサンにおいてリンゴは石膏のブルータスより難しいと書きましたが、特に木炭デッサンは至難です。というのも、リンゴの赤は明度が低く、モノクロに変換すると黒くなります。要するに、明度が低いためにトーンが見えにくいのです。
デッサンは、トーンの変化を描くことで立体感を表現するのが基本です。従って、トーン変化の見えにくいリンゴは、最も難度が高いことになります。受験用のデッサンなら、線の強調やトーンの強調というテクニックで誤魔化せますが、それは本質から外れた邪道です。
僕が新美の2年目にデッサン科に居た時、裸婦のデッサンで誉められた初心者がいました。和歌山の橋本市の瓦屋の息子で、ボンボンなので青山あたりのマンションを借りていました。大柄で金日成タイプのポチャポチャした男です。一度だけ実家に遊びに行ったことがあるのですが、名前もすっかり忘れました。(追記 坂口か阪口だったような)
さて、その男が描いたものはテクニックゼロ。初心者だから当然ですが、裸婦を穴が空くほど見つめて必死に描いた結果、人体の微妙なトーンを忠実にトレースすることに成功していたのです。彼にとって後にも先にもこの一枚だけでしたが。
この年は驚くことが多く、秋には日本画に戻った僕は、静岡の寺の息子の描いた白菜の着彩に感心しました。平沢という苗字でしたが、名前は忘れました(追記 お寺にふさわしい名前だと思った記憶が)。一浪で、線が細く長髪で、バンドにいそうな優男で、その描かれた白菜は柔らかくて色も自然でした。僕は野菜が苦手なので、玉ねぎとピーマン以外は描くのは嫌いです。
その白菜は天才的で、一躍天才の称号を得た彼でしたが、やはりこの一枚きりで後が続きませんでした。初心者のように必死に見てトレースするだけではダメなのです。デッサンも着彩も、自分の中で技術を極めなければ、絵描きとして完成することはないのです。
ただ、技術が全てではなく、誰かの名言に「見たように描く。感じたように描く。知ったように描く。」とあったように、描きたいものを描ける技術があればよいのです。人にはトレーシング能力とフィードバック能力があり、英語のヒヤリングでもこの二つが作用しています。トレーシング能力とは、聴いた音を物理的に聴き取る能力。フィードバック能力とは、過去の記憶と照らし合わせて照合作業をする能力です。
僕の耳はトレーシング能力で劣っており、ガルパンの台詞でも全く聞き取れないところが何箇所もあります。例えば、10話の5分頃で、秋山殿がポルシェティーガーを見て「これっ、○○戦車なんですよね」と興奮するシーン。僕には「軍用戦車」と聞こえるのですが、どうも「レアな戦車」という意味のことを言っているようです。この耳では英語の成績が上がらないのは当然です。秋山殿が何て言っているか聞き取れる人は書き込むニダ。
絵の世界も、この二つの能力でデッサン力が決まるのです。物理的に明暗などのトーンや色彩を感知する能力はトレーシング。空間や立体感など、能が蓄積した空間把握力に照らし合わせて表現するのはフィードバックです。僕はフィードバック能力が高いので、目が衰えてもそれなりにデッサン力を維持できているのです。フィードバック能力とは要するに経験値です。
ということで、読者にリンゴのデッサンをさせたので僕もやってみました。部屋が暗くて、途中から蛍光電球を左の壁に一個追加したので、光源が部屋の中央と左の二箇所になっています。それで影が二つ出来るわけですが、しかも100Wクラス(消費電力20W)の蛍光電球を3つ揃えた中央がメインの、立体表現が難しくて絵にならない全光です。部屋が暗い理由ですが、蛍光電球のデータを見たら、光量が70%に落ちる時期です。買った直後と比べて、電球一個分も暗くなっていたのです。蛍光灯の寿命は嘘ということになります。
デッサンは順番に、26日早朝(寝る前)に描き始めて30分後(朝5時38分)、50分後(朝5時56分)、一時間と少し休憩して手を入れた(朝7時44分)直後の写真です。27日は、朝に少し手を入れてハイライトを入れ(朝9時58分)、11時前にハイライトを消す感じで斜め十字にガーゼで軽く叩きをかけて一段落、最後の撮影(午後17時51分)は買い物から帰ってからです。読者の参考になるように、どうやって描いたか分からないというレベルまでは描いていません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/0a/a2358a2a1ee6236d9af9b42c0432497e.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/66/f3deea095f00647b4c75391b653f53a6.jpg)
リンゴのデッサン 木炭
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/58/1e1d4afbbb106811545e051f08b8c6a6.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/07/c2b9fd8bc1fcb3a483a5b5c53a01727d.jpg)
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/6a/2211054122ec15987d6f22f7ca6ccd42.jpg)
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エフライム工房 平御幸
デッサンは、トーンの変化を描くことで立体感を表現するのが基本です。従って、トーン変化の見えにくいリンゴは、最も難度が高いことになります。受験用のデッサンなら、線の強調やトーンの強調というテクニックで誤魔化せますが、それは本質から外れた邪道です。
僕が新美の2年目にデッサン科に居た時、裸婦のデッサンで誉められた初心者がいました。和歌山の橋本市の瓦屋の息子で、ボンボンなので青山あたりのマンションを借りていました。大柄で金日成タイプのポチャポチャした男です。一度だけ実家に遊びに行ったことがあるのですが、名前もすっかり忘れました。(追記 坂口か阪口だったような)
さて、その男が描いたものはテクニックゼロ。初心者だから当然ですが、裸婦を穴が空くほど見つめて必死に描いた結果、人体の微妙なトーンを忠実にトレースすることに成功していたのです。彼にとって後にも先にもこの一枚だけでしたが。
この年は驚くことが多く、秋には日本画に戻った僕は、静岡の寺の息子の描いた白菜の着彩に感心しました。平沢という苗字でしたが、名前は忘れました(追記 お寺にふさわしい名前だと思った記憶が)。一浪で、線が細く長髪で、バンドにいそうな優男で、その描かれた白菜は柔らかくて色も自然でした。僕は野菜が苦手なので、玉ねぎとピーマン以外は描くのは嫌いです。
その白菜は天才的で、一躍天才の称号を得た彼でしたが、やはりこの一枚きりで後が続きませんでした。初心者のように必死に見てトレースするだけではダメなのです。デッサンも着彩も、自分の中で技術を極めなければ、絵描きとして完成することはないのです。
ただ、技術が全てではなく、誰かの名言に「見たように描く。感じたように描く。知ったように描く。」とあったように、描きたいものを描ける技術があればよいのです。人にはトレーシング能力とフィードバック能力があり、英語のヒヤリングでもこの二つが作用しています。トレーシング能力とは、聴いた音を物理的に聴き取る能力。フィードバック能力とは、過去の記憶と照らし合わせて照合作業をする能力です。
僕の耳はトレーシング能力で劣っており、ガルパンの台詞でも全く聞き取れないところが何箇所もあります。例えば、10話の5分頃で、秋山殿がポルシェティーガーを見て「これっ、○○戦車なんですよね」と興奮するシーン。僕には「軍用戦車」と聞こえるのですが、どうも「レアな戦車」という意味のことを言っているようです。この耳では英語の成績が上がらないのは当然です。秋山殿が何て言っているか聞き取れる人は書き込むニダ。
絵の世界も、この二つの能力でデッサン力が決まるのです。物理的に明暗などのトーンや色彩を感知する能力はトレーシング。空間や立体感など、能が蓄積した空間把握力に照らし合わせて表現するのはフィードバックです。僕はフィードバック能力が高いので、目が衰えてもそれなりにデッサン力を維持できているのです。フィードバック能力とは要するに経験値です。
ということで、読者にリンゴのデッサンをさせたので僕もやってみました。部屋が暗くて、途中から蛍光電球を左の壁に一個追加したので、光源が部屋の中央と左の二箇所になっています。それで影が二つ出来るわけですが、しかも100Wクラス(消費電力20W)の蛍光電球を3つ揃えた中央がメインの、立体表現が難しくて絵にならない全光です。部屋が暗い理由ですが、蛍光電球のデータを見たら、光量が70%に落ちる時期です。買った直後と比べて、電球一個分も暗くなっていたのです。蛍光灯の寿命は嘘ということになります。
デッサンは順番に、26日早朝(寝る前)に描き始めて30分後(朝5時38分)、50分後(朝5時56分)、一時間と少し休憩して手を入れた(朝7時44分)直後の写真です。27日は、朝に少し手を入れてハイライトを入れ(朝9時58分)、11時前にハイライトを消す感じで斜め十字にガーゼで軽く叩きをかけて一段落、最後の撮影(午後17時51分)は買い物から帰ってからです。読者の参考になるように、どうやって描いたか分からないというレベルまでは描いていません。
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リンゴのデッサン 木炭
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エフライム工房 平御幸
ガルパンの秋山殿のセリフですが、「レア戦車」と聞こえました(・∀・)ゞ
写真のアップありがとうございます。
先生のデッサンは、無駄のない、「上善は水の如し」
と表現されるような感じを受けます。
自分でやってみると、どうしても書き込みすぎてしまうので、
練習したいと思います。参考にさせていただきます。
物を見るときに、つい先入観を持って見てしまうので、なかなか見たままにというのは難しいと思いました。
トレーシング能力はかなり劣っているという自覚があり、秋山殿の台詞は、最初は台詞そのものを聞き逃してしまい、もう一度注意して聞きなおしたところ、ンヨ戦車(又はウヨ戦車)と聞こえました。残念..。
デッサンの経験も知識もないので、ハイライトを入れた後にハイライトを消すというのがちょっと驚きでした。
どのように聞こえたのか、時間軸で説明するように。例えば次のように半角カタカナと全角カタカナを交えて
これって(haA ←ため息を吸い込んだ音)、レアーーーーせんしゃなんですよね
訓さん今晩は。
どこが描きすぎているのか、描きすぎるとは紙がボロボロになるまで仕事をすること。まだ全然足りない。
ほんとさん今晩は。
聞こえたという人が一人しかいない現状では、やはり聞こえないほうが真っ当な日本人かも。
意図的なハイライトは調子(トーン)が飛んでハレーションを起こしているに等しいので、光が影の部分に自然に流れるように、ガーゼで叩いてハーフトーンを作ります。叩くといっても、木炭を伸ばす感じです。
ゆかりんは、「これ、(息吸って)レア戦車なんですよね♪」って言ってます。
ゆかりんセリフ集ありました↓
12分24秒のところで言ってます!
http://www.nicovideo.jp/watch/sm19925595?group_id=35503540
問題は言っているかどうかでなくて、聞こえるかどうかです。聞こえる人が圧倒的に少ないのでは?
ということで、聞こえない人も「聞こえない」と書き込むニダ
りんごのデッサンすごいと思いました。
蛍光灯の明るさも影響あるのですね・・・
聞き取りは苦手ですが、秋山殿のセリフを数回聞いたら、スイカさんと同じ、レア戦車とも聞えました・・・
秋山殿のセリフは他の方同様、
「これっっ、(息吸って)レア戦車なんですよね!!」と聞こえました。。。
リンゴの立体感や空間の奥行きのある感じが素晴らしいなと思います。
秋山殿のセリフは『これって、(ヒッと息を吸って)レア戦車なんですよねU+203C』と聞こえます。
再度失礼します。
昼に聞いた時は、何度か聴いても、どうしても「レア」とは聞こえなかったのですが、「これ-(息を吸い込む)-レア戦車」という構成になっていると頭に入れて聞き直したら、レア戦車と聞こえました。
昼と音声が変わったのではないかと思えるくらいで、不思議というか自分の耳が信じられない感じです。
こういう台詞が発せられるというのが前もって分かっていなければ、私は聞き取れないだろうと思いました。