福音歳時記 東方三博士の礼拝
キリストは何処にいます 今此処に汝の言葉のうちにこそ
「イエスがヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムにお生まれになったとき、東方の博士たちがエルサレムに来て「お生まれになったユダヤ人の王はどこにおられますか。私たちはそのしるしの星がのぼるのを見て、拝みに来ました」(マタイによる福音書2:2-3)
ここに言う「博士たち(マーゴイ)」とは、占星術や医術の博士ととるのが一般的であるが、ラテン教会の公現節の典礼では、古くから彼等を「王」と呼んでいるので、西欧の古典絵画の中では「三王礼拝図」とも呼ばれる。
詩編71-10に「王たちの贈り物」の様子が描かれ、イザヤ60:3-4に「主の栄光が現れるとき、王たちがそのもとに歩み寄る」と書かれている預言の成就とみる伝承に従ったと思われる。
ニコラス・クザーヌスは公現節の講話で、この「何処に居ます?」という言葉を引用して、「此処こそがイエス("Ubi" est Jesus)」と答えている。
2000年前のベツレヘムに生まれた「ユダヤの王」の在所への問いとしてではなく、今此処、そして何処に於いてもキリストを信じる者は、「イエス・キリストに於いて(in Christ)」言葉を語るという意味であろう。