元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

フレックスタイム制における遅刻・早退・欠勤の概念とは!!

2021-11-20 16:24:46 | 社会保険労務士
 フレックスタイムは出退社が自由だが一定のルールはあるので遅刻等は人事管理の対象に!!

 フレックスタイム制とは、従業員が出社及び退社時間を自由にできる制度のことで、 分かり安く2月の28日の日数の例を取ると、その1か月の間に、一定の労働時間(ここでは法定の最大限の労働時間とする。)の週40時間×4週=160時間働けばいいということで、そうすればちゃんと1か月の分の給料はもらえるということになります。ただし、あまりかってきままに、いつ出退社してもいいとなると統制がとれなくなり、例えば、夜中出社する輩も出てくるかもしれません。一般には、出退社が自由にできる幅のある時間と(これを「フレキシブル時間」と呼びます)逆に必ず出社していなければいけない時間帯を設ける(これを「コア時間」と言います。)ことが多いようです。例えば、
  8:00       11:00=========15:00       20:00
  ⇐ フレキシブルタイム ⇒⇐    コアタイム  ⇒⇐ フレキシブルタイム ⇒     のようにします。

 このフレックスタイム制は、2019年4月以降は、ある期間内に一定の労働時間働けば(例としてあげた2月の28日の場合は160時間)良しとするところの、この当該期間(これを「精算期間」と呼んでいます。)が1か月から3か月まで拡張されましたので、例えばお子さんのいる家庭で夏休み期間にこどもと一緒に過ごす時間を取れるように調整することが可能となり、従業員には十分使いやすくなりました。また、出勤や退社時間をずらすことによって、最近問題となる密になることを避けることができます。このように、フレックス時間を活用すると従業員に喜ばれることができますので、管理者としては一度検討する余地はありそうです。

 さて、このフレックスタイムは、一般にいう「遅刻」や「早退」という概念はあるのでしょうか。一般には、遅刻・早退をした場合には、その働かなかった時間は賃金から差し引かれる対象となるでしょう。しかし、フレキシブルタイムの場合は、フレックスタイム中に出社すればいいわけですから、この時間の遅刻はありえませんが、コアタイムにいなかったらこれは普通にいう「遅刻」となります。コアタイムには、出てこなければならない時間にいないわけですから、これは遅刻でしょう。ただ、その時間にいなくても、1か月に働いた時間の総数が160時間(2月の28日の場合)であれば、給料差し引きはないわけです。

 ここでなんでコアタイムを設けるかと言うとその間に皆が出てきて、相談したり、係で打ち合わせをしたり、会議をしたりする時間のために設けていることになります。そういったことができなくなり、ルール違反のそしりは免れません。上司としては注意・指導することになります。また、これが続くようであれば、昇給・賞与やはたまた昇格に響いても文句はいえないでしょう。

 では一般にいう「欠勤」はどうでしょう。1か月の間に160時間(2月の場合の例)働けばいいわけで、1日に働く時間を多くすれば、出勤しない日があっても、十分に1か月に働かなけばならない時間160時間は確保できることになります。しかしながら、これも出勤・退社する時間が自由に決められるということだけであり、就労日であれば全く出てこないことはあり得ません。やはり、打ち合わせ等のために、就労日に全く出勤しないことはありえないわけでして、これも遅刻や早退同様ルール違反であり、「欠勤」として、人事管理の対象となってもやむをえないことになります。

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