豚インフルエンザ「H1N1」の感染が拡大している。29日、世界保健機関(WHO)はパンデミック(世界的大流行)に備える警戒レベルを、フェーズ4から「パンデミック直前の兆候」を意味するフェーズ5へと引き上げた。メキシコに加え米国でもヒトからヒトへの2次感染が確認されたからである。
ところで、「H1N1」の意味をご存じだろうか。
そもそもインフルエンザ・ウイルスには大きくA型、B型、C型の3種類ある。そのうち新型インフルエンザとして大流行を起こす可能性があるのはA型と言われる。このA型ウイルス遺伝子のタンパク質、HA(ヘマグルチニン)とNA(ノイラミニターゼ)の変異が問題なのである。HAで16、NAで9の変異が確認されており、よって全体では16×9、つまり144の変異の組み合わせ、亜型が考えられる。「H1N1」というのは、HAが1番目の亜型、NAが1番目の亜型を意味するのである。
もっとも、よく冬に流行するソ連型インフルエンザも同じ「H1N1」である。インフルエンザ・ウイルスの変異は多様なのである。変異の起きた場所や内容によって、感染性や毒性などウイルスの性質は大きく違ってくる。豚や鳥のインフルエンザがヒトに感染するよう変異したり、同じ亜型でも感染性や毒性に違いがあったりする。こうして生まれた新しいウイルスにヒトは抗体がないため、パンデミックが起こり得るのである。
翻って、かねて話題の鳥インフルエンザ。型は「H5N1」、強毒性である。WHOの警戒レベルはフェーズ3。鳥からヒトへの感染は確認されているが、基本的にヒトからヒトへの感染はない。専門家の間では「H5N1」によるパンデミックが起きるかどうかではなく、いつ起きるかが問題とまで言われている。
全世界で4000万人以上の死者が出たというスペイン風邪(1918年)、死者200万人のアジア風邪(1957年)に100万人の香港風邪(1968年)、いずれも鳥インフルエンザである。
今回の豚インフルエンザは弱毒性であり(今のところ?)、おそらくここまでの事態にはならないだろう。きたるべき鳥インフルエンザに備えた、良い予行演習になった、と笑って言える日が早く来ると良い。
しかし、豚インフルエンザの経緯を見て、懸念される点が二つ。一つは初期動作の問題。意図的に情報を公開しなかったSARSにおける中国の対応とは事情が異なるが、豚インフルエンザが発生したメキシコの対応もいただけない。13日にオアハカ州の女性が強いインフルエンザの症状で亡くなったが、メキシコ政府がそれを新型インフルエンザだと認めたのは、なんと23日。この間、政府は何の対策も講じず、豚インフルエンザの感染拡大を招いたのであった。(更に、オアハカ州に隣接するベラクルス州では4月の初めに同様の症状が確認されていたとの噂もある。)
もう一つはウイルスが空を飛ぶということ。ウイルスに感染した人が飛行機で移動することにより、新型インフルエンザは瞬く間に世界中に広まってしまう。今回は弱毒性ゆえ症状の目立たないことが却って災いしているかもしれないが、既にメキシコ、米国からイギリス、スペイン、ドイツ、それにお隣の韓国にも新型ウイルスは飛び火している。
やれやれ。ウイルスに、国は選んだ方が良いですよ、飛行機は危ないから止めた方が良いですよ、などとお願いはできないし、まったく困ったものである。
まあ、先のことで悩んでも仕方がない。まずは目の前の豚が問題。明日はマスクと消毒薬と備蓄の食料でも買いに行こう。(そうだ、トンカツ食べよう♪)
ところで、「H1N1」の意味をご存じだろうか。
そもそもインフルエンザ・ウイルスには大きくA型、B型、C型の3種類ある。そのうち新型インフルエンザとして大流行を起こす可能性があるのはA型と言われる。このA型ウイルス遺伝子のタンパク質、HA(ヘマグルチニン)とNA(ノイラミニターゼ)の変異が問題なのである。HAで16、NAで9の変異が確認されており、よって全体では16×9、つまり144の変異の組み合わせ、亜型が考えられる。「H1N1」というのは、HAが1番目の亜型、NAが1番目の亜型を意味するのである。
もっとも、よく冬に流行するソ連型インフルエンザも同じ「H1N1」である。インフルエンザ・ウイルスの変異は多様なのである。変異の起きた場所や内容によって、感染性や毒性などウイルスの性質は大きく違ってくる。豚や鳥のインフルエンザがヒトに感染するよう変異したり、同じ亜型でも感染性や毒性に違いがあったりする。こうして生まれた新しいウイルスにヒトは抗体がないため、パンデミックが起こり得るのである。
翻って、かねて話題の鳥インフルエンザ。型は「H5N1」、強毒性である。WHOの警戒レベルはフェーズ3。鳥からヒトへの感染は確認されているが、基本的にヒトからヒトへの感染はない。専門家の間では「H5N1」によるパンデミックが起きるかどうかではなく、いつ起きるかが問題とまで言われている。
全世界で4000万人以上の死者が出たというスペイン風邪(1918年)、死者200万人のアジア風邪(1957年)に100万人の香港風邪(1968年)、いずれも鳥インフルエンザである。
今回の豚インフルエンザは弱毒性であり(今のところ?)、おそらくここまでの事態にはならないだろう。きたるべき鳥インフルエンザに備えた、良い予行演習になった、と笑って言える日が早く来ると良い。
しかし、豚インフルエンザの経緯を見て、懸念される点が二つ。一つは初期動作の問題。意図的に情報を公開しなかったSARSにおける中国の対応とは事情が異なるが、豚インフルエンザが発生したメキシコの対応もいただけない。13日にオアハカ州の女性が強いインフルエンザの症状で亡くなったが、メキシコ政府がそれを新型インフルエンザだと認めたのは、なんと23日。この間、政府は何の対策も講じず、豚インフルエンザの感染拡大を招いたのであった。(更に、オアハカ州に隣接するベラクルス州では4月の初めに同様の症状が確認されていたとの噂もある。)
もう一つはウイルスが空を飛ぶということ。ウイルスに感染した人が飛行機で移動することにより、新型インフルエンザは瞬く間に世界中に広まってしまう。今回は弱毒性ゆえ症状の目立たないことが却って災いしているかもしれないが、既にメキシコ、米国からイギリス、スペイン、ドイツ、それにお隣の韓国にも新型ウイルスは飛び火している。
やれやれ。ウイルスに、国は選んだ方が良いですよ、飛行機は危ないから止めた方が良いですよ、などとお願いはできないし、まったく困ったものである。
まあ、先のことで悩んでも仕方がない。まずは目の前の豚が問題。明日はマスクと消毒薬と備蓄の食料でも買いに行こう。(そうだ、トンカツ食べよう♪)