縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
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与那国島、そして沖縄の基地問題について

2015-02-26 01:20:13 | 最近思うこと
 先週の日曜、2月22日、我が国最西端の沖縄県与那国島で自衛隊配備の賛否を問う住民投票が行われた。
 結果は賛成632票に対し反対445票と配備賛成が多数を占めた。有権者数は1,276人(なんと中高生など未成年96人や永住外国人5人も含むとのこと)で、投票率は85.74%の高さ。しかし、この結果に法的拘束力はなく、町議会では反対派が多数を占めることから、まだ紆余曲折があるかもしれないという。

 与那国では、2008年に町議会が自衛隊誘致を可決して以来、町は賛成・反対で二分されてきた。賛成派は人口減少が続く島の活性化を期待し、一方の反対派は監視レーダーによる電磁波が人体に与える健康被害の懸念を訴えていた。電磁波の影響はよくわからないが、おそらく人口わずか1,700人の町に、多くのよそ者(150人規模の自衛隊員とその家族)が来ることで島の穏やかな生活が乱されることを恐れたのであろう。
 ところで、島の“活性化”とは何か。早い話、島に金が落ちるということだ。それは自衛隊員が生活費として支出する金額だけではない。自衛隊基地は町有地に作られるため、町には賃料が入る。また町は国からの特別交付税も期待しているだろう。なにせ町は自衛隊誘致にあたり“迷惑料”として10億円を要求していたくらいだから(因みに国はこれを拒否)。

 しかし、これは何も与那国の自衛隊に限ったことではない。沖縄の米軍基地でも事情は変わらない。沖縄については、江戸時代の薩摩藩による侵攻、明治政府による日本編入、太平洋戦争での激戦、そして米国の統治等、その歴史的経緯から感情的に語られることが多い。これは多分にマスコミの責任だと思う。例えば、辺野古移設反対は沖縄県民の総意、米軍基地縮小は沖縄県民の悲願といった表現をよく聞くが、果たして本当だろうか。
 先の沖縄県知事選では辺野古移設反対の那覇市長・翁長氏が、移設容認の仲井眞知事に勝利したが、その得票数は各々361千と261千。100千票の大差ではあるが、投票率は64.13%であり、よって翁長氏にしても全有権者数の1/3の票を獲得したに過ぎない。少数意見も尊重すべきとする民主主義国家において、1/3の意見により民意が示されたとするのは乱暴すぎないだろうか。

 沖縄が米軍基地の恩恵を受けていることを考えれば、県民皆が基地反対でないことは明らかだ。沖縄の米軍基地の2/3は借地であり、自治体や3万人の地主に対し年間1,000億円近い賃料が日本政府(注:米軍ではない)から支払われている。この賃料を含め、基地での雇用、工事の発注等沖縄の米軍基地がもたらす経済効果は年間2,000億円以上という。
 さらに、基地が存在することの補償的意味合いで、毎年3,000億円もの沖縄振興予算が沖縄の公共工事等に投入されている。これでは、直接の基地の従業員は勿論、地主や建設業者等も米軍基地に反対なわけがない。米軍基地が縮小するなら、代わりに自衛隊に来て欲しいというのが彼らの本音かもしれない。
 
 誤解しないで欲しいが、僕はだから沖縄の米軍基地が現状のままで良いと言っているわけではない。個人的には、沖縄に米軍の海兵隊は要らないと思うし、それ以上に、まずは治外法権を認める日米地位協定を早急に見直すべきだと考えている。そして、情に流されることなく、何が沖縄にとって良いのか、冷静かつ客観的に考える必要があると思う。