この夏、ザルツブルクに行った。今日は、そのとき祝祭劇場のガイドツアーで聞いた話を紹介したい。
僕らがザルツブルクを訪れたのは、『サウンド・オブ・ミュージック』ゆかりの場所を訪ねるのが一番の目的(映画の説明は、以前“マイ・フェイヴァリット・シングス”に書いたので、そちらをご覧頂きたい)。やはり音楽祭の行われた場所、祝祭劇場の「フェルゼンライトシューレ」は外せない。というわけで、ガイドツアーに参加したのだった。
で、ガイド氏曰く、「ザルツブルクの人は、『サウンド・オブ・ミュージック』をほとんど知りません。ドイツ語圏では全然人気ないですね。」
えっ、僕は一瞬耳を疑った。あのミュージカルの最高傑作『サウンド・オブ・ミュージック』を知らない?ロジャース&ハマースタインの名曲の数々や、ジュリー・アンドリュースの美しい歌声を知らないって?信じられない。
が、ガイド氏の説明を聞くと、なるほど、と合点の行く話だった。
大きく三つの理由があるというが、一言でいえば、実話を脚色したハリウッド映画だから、ということになる。
まず、位置関係が目茶苦茶である点。この建物の横にあの建物が出てくるのはおかしい、といったかわいいものから、そもそもザルツブルクからスイスまで400kmもあるのに山を越えて歩いて行くなんてありえない、といった驚愕の事実も。さらに、家族が力を合わせて山を登る感動のラストシーン、あの山はドイツとの国境にある山で、なんと山を下っていくとヒトラーの山荘に出るという、笑うに笑えない話まである。これでは、地元の方は映画に没頭できない、安心して観ていられないのである。
二つ目は、誰も「エーデルワイス」なんか知らないということ。映画の中では、この曲がオーストリア国民の心の歌、愛国歌として歌われているが、実はロジャース&ハマースタインの創作である。ナチスとの併合に抵抗するかのように、フェルゼンライトシューレの観客全員がトラップ大佐と「エーデルワイス」を唱和する感動の場面があるが、その撮影は、まずエキストラに「エーデルワイス」を教えることから始まったという。やれやれ。
最後の理由はなかなか重い。それは、オーストリアはドイツに一方的に併合されたのではなく、オーストリア国民が自ら進んでドイツとの統合を選んだということ。映画では、一部の人間はドイツとの併合に積極的であるものの、他の多くは反対だけれど何もできない、逃れようがないと考えているように描かれていた。しかし、それは違う、史実に反するというのだ。
うーん、オーストリアって凄いな、過去の過ちを過ちとして今の世代にきっちり教えているんだ。
日本だと、太平洋戦争を起こしたのは軍国主義だった昔の日本で今の日本とは違う、といった感じで、どこか遠い国、違う世界のことのように思っている人が多いのではないだろうか。意識の断絶。
僕は、同じように第二次世界大戦を起こした国に生まれた人間として、恥ずかしい気持ちがした。卑屈になることはないと思うが、やはり事実は事実として受け入れるべきであり、その上で次へと進むしかないのであろう。
逆に、オーストリアやドイツの方には、どこか遠い国の話として、フィクションとして、是非『サウンド・オブ・ミュージック』を楽しんで頂きたい。本当に素晴らしい映画なのだから。
僕らがザルツブルクを訪れたのは、『サウンド・オブ・ミュージック』ゆかりの場所を訪ねるのが一番の目的(映画の説明は、以前“マイ・フェイヴァリット・シングス”に書いたので、そちらをご覧頂きたい)。やはり音楽祭の行われた場所、祝祭劇場の「フェルゼンライトシューレ」は外せない。というわけで、ガイドツアーに参加したのだった。
で、ガイド氏曰く、「ザルツブルクの人は、『サウンド・オブ・ミュージック』をほとんど知りません。ドイツ語圏では全然人気ないですね。」
えっ、僕は一瞬耳を疑った。あのミュージカルの最高傑作『サウンド・オブ・ミュージック』を知らない?ロジャース&ハマースタインの名曲の数々や、ジュリー・アンドリュースの美しい歌声を知らないって?信じられない。
が、ガイド氏の説明を聞くと、なるほど、と合点の行く話だった。
大きく三つの理由があるというが、一言でいえば、実話を脚色したハリウッド映画だから、ということになる。
まず、位置関係が目茶苦茶である点。この建物の横にあの建物が出てくるのはおかしい、といったかわいいものから、そもそもザルツブルクからスイスまで400kmもあるのに山を越えて歩いて行くなんてありえない、といった驚愕の事実も。さらに、家族が力を合わせて山を登る感動のラストシーン、あの山はドイツとの国境にある山で、なんと山を下っていくとヒトラーの山荘に出るという、笑うに笑えない話まである。これでは、地元の方は映画に没頭できない、安心して観ていられないのである。
二つ目は、誰も「エーデルワイス」なんか知らないということ。映画の中では、この曲がオーストリア国民の心の歌、愛国歌として歌われているが、実はロジャース&ハマースタインの創作である。ナチスとの併合に抵抗するかのように、フェルゼンライトシューレの観客全員がトラップ大佐と「エーデルワイス」を唱和する感動の場面があるが、その撮影は、まずエキストラに「エーデルワイス」を教えることから始まったという。やれやれ。
最後の理由はなかなか重い。それは、オーストリアはドイツに一方的に併合されたのではなく、オーストリア国民が自ら進んでドイツとの統合を選んだということ。映画では、一部の人間はドイツとの併合に積極的であるものの、他の多くは反対だけれど何もできない、逃れようがないと考えているように描かれていた。しかし、それは違う、史実に反するというのだ。
うーん、オーストリアって凄いな、過去の過ちを過ちとして今の世代にきっちり教えているんだ。
日本だと、太平洋戦争を起こしたのは軍国主義だった昔の日本で今の日本とは違う、といった感じで、どこか遠い国、違う世界のことのように思っている人が多いのではないだろうか。意識の断絶。
僕は、同じように第二次世界大戦を起こした国に生まれた人間として、恥ずかしい気持ちがした。卑屈になることはないと思うが、やはり事実は事実として受け入れるべきであり、その上で次へと進むしかないのであろう。
逆に、オーストリアやドイツの方には、どこか遠い国の話として、フィクションとして、是非『サウンド・オブ・ミュージック』を楽しんで頂きたい。本当に素晴らしい映画なのだから。
それもちょっと違うというか片手落ちというか
オーストリアの住民投票がドイツによる併合に傾いたのは政権がイタリアファシストのムッソリーニとカトリックの支援で生まれたオーストロファシズムあるいは教圏ファシズムともよばれたりするドレフス=シュシュニック体制だったからですね
ファシズムベースに中世ドイツ的伝統とカトリックによる国にしようとした
議会制廃止や反対勢力弾圧などおきまりのことやってますからね。
こうなってくると、爵位をもっていて、熱心なカトリックで家庭教師にカトリックの修道士を呼ぶ…ゲオルグ・フォン・トラップも体制側(支持者)であることがわかります(実際支持者だからナチスに目をつけられた)
そういうこともあるもんだから、オーストリア人でもあったヒトラー、ナチスにたいしてドイツより拒否反応がすくないという事実もありますね
2013年3月にオーストリアの世論調査機関の出した調査結果では、ナチス禁止の法がなければイデオロキーとして受け入れられるに答えたのが61%、ナチス支配の全てが悪かったわけでないと答えたのが42%という結果がでてます
まあ普通の民主国家がナチスに支配されたというならこういう結果はでなかったとおもいます
まあ…カトリックによる国づくりにのせられてドレフスに協力するカトリック教会もなんちゅうか汚い(笑)
実際国教にしてもらってるし
あまりにもナチス一辺倒では当時の時代背景を正確には表していないでしょう