行ってきました、フラメンコの聖地、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラに。といいつつ、実はフラメンコは見なかった。飲んで、食べて、飲んで、寝た、以上、といった感じ。まあ、今回の旅行にありがちなパターンではあったが・・・・。気を取り直し、まずはスケジュールの説明から。
マドリッドからAVE(スペイン新幹線)でセビーリャに入ったノンベエ様ご一行は、無謀にもレンタカーを借り、カディスへと向かった。昼食は地元の人で人気の Joselito(ホセリート)へ。漁業の盛んなカディスは魚介類が新鮮で本当においしかった。特にエビがいい。スペインで食べるエビは生が多く、日本で食べる冷凍エビとは“ぷりっと感”がまったく違う。我々は、運の悪い運転手1名を除き、魚介類と地元の白ワインとを堪能したのであった。
食後はカディス市内を散策。ここのカテドラルはモスクを思わせるドーム屋根がおもしろい。さすがはアフリカと目と鼻の先にあるカディスだ。青い海と青い空、そして照りつける太陽がまぶしい。ときおり路地を吹き抜けるさわやかな風は、心なしかアフリカの香りがするような気がした。
カディスとヘレスは近い。車で1時間も掛からない。が、ホテルに着いたのは17時過ぎだった。Tio Pepeで有名なボデガ(注:ワイナリー) Gonzalez Byass(ゴンザレス・ビアス)の予約は18時。我々は荷物を置いてすぐ出掛けた。
東京では最近シェリー酒を飲ませる店が増えているが、まだまだ知名度というか浸透度は低い。などと偉そうに言っている自分にしても、シェリー酒の主な種類について知ったのは、この3年くらいの話である。それまではシェリー酒をほとんど飲んだこともなかったし、食前酒のイメージしかなかった。
確かに、きりりと冷やした辛口のフィノやアモンティリャードは夏の暑い日など食前酒に最高だ。が、シェリー酒の中には、ペドロ・ヒメネスというブドウから造る甘口のものもある。ウーン、シェリー酒の奥は深い。
話が前後して恐縮だが、そもそもシェリー酒とは、ここヘレスの周辺で作られる酒精強化ワインをいう。つまり、ブドウを発酵させた後、アルコール度数を上げるためブランデーなどを加えたワインである。ヘレス(Jerez)が英語で訛ってシェリー(sherry)になったのである。
シェリー酒は、寝かせた樽を積み上げ、一番下の段の樽からシェリー酒を取っては、中段の樽からその分を補充し、そして中段の樽には上段の樽から補充する、独特の“ソレラ”という方法で造られる。したがって、何種類かのシェリー酒がブレンドされるため、シェリー酒には○○○○年物というヴィンテージはない(もっとも王室向けなど、ごく稀には造っているようだが)。
個人的には、ドライで、青リンゴの香りのするフィノか、フィノを熟成させたミディアムドライでナッツ臭のするアモンティリャードが好きだ。スパイシーでバニラ臭のするオロロソや、甘いクレアムはさほど好きではない。
Gonzalez Byassを見学し試飲した後、夕食へ。案内の方が勧めてくれた Juanito(フアニート)に行った。広場からちょっと路地を入った、わかりにくい場所にある店だ。ここでおもしろい経験をした。流しだ。スパニッシュ・ギター(この人は下手)と、フラメンコのカンテ=歌(この人はとても上手)の二組である。彼が太く、しゃがれた声でフラメンコを歌いあげるのを聞くと、意味はわからないが、どこか切なく、物悲しい感じがした。
ストップ、だめ、そんな感傷に耽る暇はない。気がつけば、目の前の大皿からエビが一尾、また一尾と消えていく。ワインもそうだ。ここでぼんやりしていては我が家の生存競争に負けてしまう。現実に戻らねば。
と、そんなこんなでヘレスでフラメンコを見ることもなく、いつもと同じ夜、「飲んで、食べて、そしてまた飲む」夜が更けていったのであった。フラメンコの歌が遠くでむなしく響いている。ああ、これが人生というものか。
マドリッドからAVE(スペイン新幹線)でセビーリャに入ったノンベエ様ご一行は、無謀にもレンタカーを借り、カディスへと向かった。昼食は地元の人で人気の Joselito(ホセリート)へ。漁業の盛んなカディスは魚介類が新鮮で本当においしかった。特にエビがいい。スペインで食べるエビは生が多く、日本で食べる冷凍エビとは“ぷりっと感”がまったく違う。我々は、運の悪い運転手1名を除き、魚介類と地元の白ワインとを堪能したのであった。
食後はカディス市内を散策。ここのカテドラルはモスクを思わせるドーム屋根がおもしろい。さすがはアフリカと目と鼻の先にあるカディスだ。青い海と青い空、そして照りつける太陽がまぶしい。ときおり路地を吹き抜けるさわやかな風は、心なしかアフリカの香りがするような気がした。
カディスとヘレスは近い。車で1時間も掛からない。が、ホテルに着いたのは17時過ぎだった。Tio Pepeで有名なボデガ(注:ワイナリー) Gonzalez Byass(ゴンザレス・ビアス)の予約は18時。我々は荷物を置いてすぐ出掛けた。
東京では最近シェリー酒を飲ませる店が増えているが、まだまだ知名度というか浸透度は低い。などと偉そうに言っている自分にしても、シェリー酒の主な種類について知ったのは、この3年くらいの話である。それまではシェリー酒をほとんど飲んだこともなかったし、食前酒のイメージしかなかった。
確かに、きりりと冷やした辛口のフィノやアモンティリャードは夏の暑い日など食前酒に最高だ。が、シェリー酒の中には、ペドロ・ヒメネスというブドウから造る甘口のものもある。ウーン、シェリー酒の奥は深い。
話が前後して恐縮だが、そもそもシェリー酒とは、ここヘレスの周辺で作られる酒精強化ワインをいう。つまり、ブドウを発酵させた後、アルコール度数を上げるためブランデーなどを加えたワインである。ヘレス(Jerez)が英語で訛ってシェリー(sherry)になったのである。
シェリー酒は、寝かせた樽を積み上げ、一番下の段の樽からシェリー酒を取っては、中段の樽からその分を補充し、そして中段の樽には上段の樽から補充する、独特の“ソレラ”という方法で造られる。したがって、何種類かのシェリー酒がブレンドされるため、シェリー酒には○○○○年物というヴィンテージはない(もっとも王室向けなど、ごく稀には造っているようだが)。
個人的には、ドライで、青リンゴの香りのするフィノか、フィノを熟成させたミディアムドライでナッツ臭のするアモンティリャードが好きだ。スパイシーでバニラ臭のするオロロソや、甘いクレアムはさほど好きではない。
Gonzalez Byassを見学し試飲した後、夕食へ。案内の方が勧めてくれた Juanito(フアニート)に行った。広場からちょっと路地を入った、わかりにくい場所にある店だ。ここでおもしろい経験をした。流しだ。スパニッシュ・ギター(この人は下手)と、フラメンコのカンテ=歌(この人はとても上手)の二組である。彼が太く、しゃがれた声でフラメンコを歌いあげるのを聞くと、意味はわからないが、どこか切なく、物悲しい感じがした。
ストップ、だめ、そんな感傷に耽る暇はない。気がつけば、目の前の大皿からエビが一尾、また一尾と消えていく。ワインもそうだ。ここでぼんやりしていては我が家の生存競争に負けてしまう。現実に戻らねば。
と、そんなこんなでヘレスでフラメンコを見ることもなく、いつもと同じ夜、「飲んで、食べて、そしてまた飲む」夜が更けていったのであった。フラメンコの歌が遠くでむなしく響いている。ああ、これが人生というものか。