夜の12時頃になると体が熱くなってくる。汗がでる。もう秋だというのに、またエアコンを27度でこの夏ずっときたのに、この、2、3日、一時間ほど24度にして寝ている。どういうことかと医者にたずねても、血圧も、血中酸素も正常ですから、と相手にしてくれない。
僕の代謝に普通ではないことが起きるのだろう。自律神経系なのだろうか。あるいは頸椎からくるものだろうか。よくわからない。
この時期、掛け布団に困る。毎晩、「明暗」を読んでいて、今日ぐらいには終わる。「続明暗」が待っている。困った話の明治の時代の先端的な人間たちのわずか10日間ほどの話である。そして現代の僕から言えば、結婚した妻に、以前好きだった人がいて、振られたんだ、といえばよいだけの話である。それを津田という男が言わないばかりに物事がもめていくのである。
本を読むときは必ずベートーベンの後期の作品である弦楽四重奏10番から最後の大フーガまでをかける。しばらく本を読んでいると、顔が熱くなってくる。掛け布団を真夏のものにーすると足が冷たく感じられる。「明暗」は夫婦、友人、妹、仕事先の夫人との議論と議論中の心理で成り立っている。見事にいろいろな人間の代弁を漱石はするものだと思う。
結末は漱石が死んだため、未完となっている。ところが漱石はところどころに、伏線を張っている。延子が死んでしまうのは、現代という時代からみれば違うと思うのだが、水村早苗は「続明暗」で死なせてしまう。
またほってってくるといけないので、涼しい内に本を閉じ、眠ることにする。