いやだ、いやだ、日本に帰るのはいやだ、日本で仕事をするのは嫌だ。インドネシアの方が過ごしやすいし、ストレスを与えられることはない。
しかし、どうしても、来いと言われて、伸ばし延ばしにしていたが、ついに、先月から、日本の会社へ片足を突っ込むようになってしまった。今でも、色々書いているように日本の会社には居たくない。
それが、どうして、日本で仕事を始めたかと云うと、昨日書いたように技術の空洞化が気の毒に思ったからです。外国人に技術指導をするのと同じように日本人にも技術指導をしてやらなければならないと思ったからです。その準備を勧めているのですが、主役になる人材が,宛がわれなければ意味が無くなるので、装置が出来ても、私はそれを使わないでしょう。
それでは、すでに書いたように、私自身が技術開発するにしても、日本人に教えるにしても、インドネシアでいいじゃないかと云うことになる。その通りです。私はそれを主張したのです。しかし、なぜか、幾ら、口を酸っぱくして頼んでも、とにかく、お前が日本へ来い、という考えは変わらなかった。取りあえず、云うことを聞いて、技術指導をすることにしたのです。だが、私はあきらめてはいない。日本での仕事はほどほどにして、と云うより日本の今の会社での仕事はほどほどにして、インドネシアにこだわることは無いが、東南アジアのどこかで仕事をする。
このままの円高では製造業の生存は危ぶまれる。どうしても、輸出がドル立てになっていれば、円での収入が少なくなる。日本にある企業は円で物を買っているし、円で給料を払っているのだから、円での収入が少なくなれば収益が圧迫されのは当たりまえです。
そこで、会社を外国へ移せば、円で支払う部分が少なくなるし、従業員の給料も少なくて済むし、いいことずくめですから、日本から脱出したくなるのも当然です。
その外国でも、日本の品質を維持しなければなりません。現地の従業員に技術を教えなければならいません。品質管理のことやデリバリーのことなども日本の方法を覚えさせます。また、日本人の中にはわたしのように、一素浪人として、技術を教え込む人もいます。
そういう流れは、階段を下るように、どんどん進んでいます。何十年も前から始まり、急激な円高の度に一歩また一歩と階段を下っています。360円が今や67円です。もうそろそろ階段を下りきって、平らな床に到着しそうです。まさか、ここ数十年の間に、戦前のように一ドル一円とか二円にはならないでしょう。
階段を下りるに従って、技術も空洞化が進みました。海外の日系企業が進出した国の企業は逆に階段を上っているのです。日本が平らな床まで降りた時にそれらの国々は日本が降りた平らな床に登って来て、日本と同じ高さに留まるのです。踊り場にそろそろ到着する。
平均 下り 上り