エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

夜の桜花と昼の月を愛でる

2011年04月16日 | ポエム
昼の月である。
淡い感じで中空に浮いている。

まして、いまは桜花の向こうで面映ゆそうでもある。






        昼の月


      昼の月は
      輝くでもなく
      くすむのでもなく
      上空に位置するを
      良しとしているようでもある

      決して邪魔にならず
      威張るのでもなく
      じっと
      輝ける闇を待っているのだ

      昼の月は
      誇示もせず
      目立ちもせず
      じっと
      時間をやり過ごしている

      昼の月の
      そうした生き方こそ
      好もしい

      自ら光を発することもなく
      人の希望を跳ね返してくる
      人の胸に希望を叩き込んでくる
      そうして光る
      昼の月こそ好もしい






高く見えるけれど、実は手を伸ばせば掴めそうである。
羽衣の寓話が現実味を帯びたりする。

月は、物語を紡いできたのである。






        夜 桜


      あえかな光源を吸収して
      一片を浮き上がらせる
      夜桜の
      隠微な輝きに
      バッカスが綻ぶように
      笑った

      バッカスは笑った途端
      ゼウスになるのだ

      夜桜は
      花の中の王であって
      時として女王としても君臨する

      夜桜は
      色彩を変える
      金色に変わると
      夜桜は
      上花となって
      静やかな足運びで
      夜の時間を進める

      バッカスの笑いこそ
      夜桜を引き立てる
      カオスの根源である






夜桜である。
光源は駐車場の街灯である。

昼の月と夜桜は今だけの楽しみである。





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