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エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

桜桃忌・・・太宰に捧げる10句

2012年06月19日 | ポエム
この13日が桜桃忌であった。
太宰治が逝ってから64年が経った。



ぼくの若かった精神に多大な影響を残した作家である。
ぼくが生れた日から3日目に彼は玉川上水に入水して逝った。

太宰忌の日、ぼくは東村山の北山公園で花菖蒲を愛でていたのである。
いま、改めて太宰忌を詠んだ。
太宰の作品や伝聞を、脳裏に浮かべつつ詠んだのである。

桜桃忌10句である。
破綻している句があったら、御容赦いただきたい。
そもそも太宰自身が無頼派なのだから・・・。







 「太宰忌の暮れなずむ陽の赤さかな」
 「太宰忌の風恥らいて小気味良し」
 「人の世の煩わしさや桜桃忌」
 「太宰忌や俯いたまま歩きけり」
 「海峡や昼でも昏き桜桃忌」
 「太宰忌は二三日前の記憶かな」
 「太宰忌の俄かの雨や濡れそぼり」
 「人を待つ待たせる辛さ桜桃忌」
 「太宰忌や放屁したるも楽しかり」
 「富士仰ぎ何を重ねる桜桃忌」







太宰治の代表作は「走れメロス」「津軽」「お伽草紙」「斜陽」「人間失格」「駆込訴え」などである。
ぼくには太宰治とともに脳裏に刻まれた作家がいる。

田中英光である。
彼は太宰を師と仰ぎ弟子入りする。



最後は太宰の墓前で自哉して果てるのである。
だがしかし、代表作「オリンポスの果実」で彼は今でも生きている。
彼はボート選手としてオリンピックに出場しているアスリートであった。



ぼくは田中英光を思うと滂沱として涙が流れる。



青森にある太宰の生家「斜陽館」である。
かつては旅館として営業していたけれど、今は太宰記念館となっている。
ダダイズムの聖地である。



今夜桜桃(サクランボ)を食べた。
太宰の退廃の味がした。
田中の涙の味がした。

少し悲しかった。





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  荒 野人