自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆新幹線とリスク回避

2015年01月03日 | ⇒トピック往来
  ことし3月14日に新幹線が金沢まで開業する。東京駅から長野駅を経由して2時間28分の予定。現在は東京駅から金沢駅間は在来線越後湯沢経由で上越新幹線に乗り換えて3時間47なので1時間19分の短縮となる。呼称も今の長野新幹線から「北陸新幹線」に統一される。

  金沢市内の文教地区と称される一等地でテナントビルが解体されて空き地になっていたが、年末に「APA マンション・プロジェクト始動」という看板が立った。あのアパグループの帽子の女性社長の顔写真つきだ=写真=。「マンション・プロジュクト始動」との謳い文句なので、それなりに立派なマンションが建設されるのだろう。素人の見立てで、敷地はざっと1000坪ほどだろうか。金沢といえば、マンション需要より戸建て需要が強いのだが、いったい誰が買うのだろうか。

  確かに、北陸新幹線開業にともなってここ数年、金沢駅周辺のテナントや、飲食店向きの物件家賃が上昇しているともいわれる。宅地の地価も2013年前半からプラスに転じるところも出てきて、上ぶれ傾向にある。しかし、金沢駅周辺にはすでに単身向けマンションなど次々と完成していて、好調な販売が続いていると地元紙でも報じられている。地方のミニバブルの様相なのだ。もともとアパグループは、都市開発、建設業を中心に金沢に本社(後に本社・東京・本店・金沢)を構えていたので、金沢を含め北陸の不動産の動きには熟知していて、金沢駅と離れたところでも物件の需要は見込めるのだろう。

  以下、知り合いに不動産業者から聞いた話である。北陸新幹線の金沢開業にともなってのマンションのニーズは、金沢にあるのではなく東京にある。買っているのは首都圏の人たちなのだと言う。相続税対策や投資目的などさまざま。中には、いつかは来るであろう首都圏の震災を意識したセカンドハウス目的もあるという。そうなると購買層は富裕層に限られる。不動産業者は「金沢のマンションを見に来た人は、東京でいざというときに学校の体育館での避難所生活には耐えられないと言っています。金沢は雪は降るけど災害が比較的少ないと思われているので避難場所なんです。それが新幹線でぐっと身近になったということではないでしょうか」と解説してくれた。

  首都圏や関西の人たちとは違い、金沢の人は確かに震災に備えるという意識は薄いのかもしれない。金沢はいま、アパグループに限らずマンションの建設が盛んだ。それが「リスク回避というニーズ」にあるとしたら、そのニーズを今後どのように読んでいけばよいのか。

⇒3日(土)朝・金沢の天気      ゆき   
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