きのう30日付の新聞各紙の社説を読めば上記のことが見えてくる。読売は「中露は圧力強化の責任を果たせ」との見出しで、中国とロシアが北朝鮮の制裁強化に消極的で、とくにロシアは北朝鮮から発射された中距離弾道ミサイルでICBMではないと強弁しているとして、「中露は実効性のある新たな受け入れるべきだ」と論を展開している。朝日も「中国とロシア 北朝鮮の抑制に動け」との見出しで、「北朝鮮が本当に危機感を抱くのは、日米韓に新たに中ロが加わり、行動をともにする時である。核とICBMは国際社会全体を脅かす以上、中ロも安保理の新たな決議に同調すべきだ」と両国に結束を訴えている。
確かに、国際社会の中で北朝鮮に文句をつけているのは日米韓の3ヵ国だけで、ほかの隣国(中国とロシア)はさほどではない、と言い切ってしまえば、世界の関心事からは離れてしまう。北朝鮮はそのコンセプトでとくにロシアとの絆(きずな)を太くしているのかもしれない(5月から万景号による羅津港とウラジオストクの定期便化)。こうした北朝鮮のしたたかな動きを踏まえての両紙の論調だと読むことができる。
ところが、同じ30日付の社説で意図をはりかねたのが毎日だった。「北朝鮮の弾道ミサイル 看過できないミサイル技術の進展」の見出しで、「いつでも、どこからでも、より遠くに届くミサイルを発射できるようになった可能性がある」と北朝鮮のミサイル技術を看過できないとしながら、ではどのような事態の打開策があるのか示唆や方向性、提言が見当たらないのである。社説の末尾を「不適切な防衛省人事に起因する防衛省・自衛隊の混乱とミサイル発射が重なったことを、安倍晋三首相は深刻に受け止めるべきだ」と結んでいるが、政権批判の転嫁に終始したとしか思えてならない。
新聞の社説の論調は多様であるべきで、読者をもっと刺激してよいと常々思っている。今回ICBMの脅威に対応するため、マスメディアは先見性や具体性を持ってもっと論を張るべきではないか。31日付の紙面ではすでにICBM関連の記事は極めて小さくなっている。ニュースは流れるものかもしれないが、脅威は心にとどまる。(※写真は、ことし3月、北朝鮮の弾道ミサイルが能登半島沖に落下したことを報じる紙面)
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