大晦日の『NHK紅白歌合戦』が令和元年のフィレナーレを飾った感じだった。紅白初出場の竹内まりやの「いのちの歌」が胸にしみた。「生きてゆくことの意味 問いかけるそのたびに 胸をよぎる 愛しい人々のあたたかさ この星の片隅で めぐり会えた奇跡は どんな宝石よりも たいせつな宝物・・・」。人と人の出会いの喜び、命をつなぐことの大切さ、平和の切望、実に生命感があふれていた。
民主主義を死守し、地球環境を叫ぶ、地球の「いのちの歌」
この1年を振り返ってみて、まさに生命感が躍動した年ではなかっただろうか。香港の民主主義は生きている、そう実感した。逃亡犯条例が中国政府と間で成立すれば、中国に批判的な香港の人物がつくられた容疑で中国側に引き渡される。そう懸念した香港の学生や市民が動いた。10月に改正案は撤回されたものの、香港政府はデモの参加者にマスクの着用を禁止する緊急状況規則条例「覆面禁止法」を制定した。顔を出させることでデモの過激化を抑圧する効果を狙ったものだろう。これがさらに学生たちを抗議活動へと動かした。
そして、実施さえも危ぶまれていた香港の区議会議員選挙が11月24日に予定通り行われ、452議席のうち政府に批判的な民主派が80%を超える議席を獲得して圧勝した。あの騒乱の中で投票率が70%を超えて過去最高となり、「香港の躍動する民主主義」を世界に知らしめた。
16歳の環境活動家、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんの活動にも強い生命感を感じる。なんと言ってもパンチの効いたスピーチだ。「You have stolen my dreams and my childhood with your empty words. And yet I’m one of the lucky ones. People are suffering. People are dying. Entire ecosystems are collapsing.」(あなたたちは空虚な言葉で、私の夢を、私の子ども時代を奪った。それでも、私は幸運な者の1人だ。人々は苦しんでいる。人々は死んでいる。生態系全体が崩壊している)=国連気候アクション・サミット2019(9月23日)でのスピーチから引用。
地球温暖化対策に本気で取り組んでいない大人たちを叱責するメッセージだ。「私たちが地球の未来を生き抜くためには温暖化対策が必要なんです」と必死の叫び声が聞こえる。
竹内まりやが歌う「生きてゆくことの意味 問いかけるそのたびに・・・」「泣きたい日もある 絶望に嘆く日も」「この星にさよならをする時が来るけれど 命は継がれてゆく・・」の歌詞を聞いていて、香港の民主主義を守り抜く行動、地球環境を復元させる必死の叫びと重なって聞こえる。まさに地球の「いのちの歌」ではないか、と。
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