今回の参院選で民主党が勝利を手にした最大の要因は何か。きょう(30日)になってさまざまな分析がなされ、私の周囲でも話題になった。詰まるところ、目なじりを決して投票に行った人は少ない、いや、ほとんどいない。静かに淡々と投票に行ったのだ。その結果が「自民党の歴史的大敗」である。「民主の地滑り的勝利」と見出しをつけた新聞社はなかったようだ。
つまり、これは自民の自失点だろう。公的年金保険料の納付記録漏れ問題や閣僚の「政治とカネ」に絡む疑惑、失言などを背景に、選挙戦を通じて与党には逆風が目立った。きょうの読売新聞インターネット版で、民主党の支持基盤である連合の高木剛会長が記者会見し、民主の勝因について「政治とカネや閣僚の問題発言など自民党の失点があるので、今回は有権者が民主党に票を入れた」と述べ、民主党の勝利は「敵失」だったと分析した、との記事があった。的を得ているのではないか。
そのことは数字を見れば分かる。たとえば、石川選挙区で民主の一川保夫氏が自民の矢田富郎氏に競り勝った。大票田の金沢市(衆院1区)は両氏の地盤ではないので、金沢の票を分析すればある意味で民意が読める。金沢で得た一川氏の票は10万票である。これは前回の衆院選(2005年9月11日)で民主の奥田健氏(落選)が獲得した票とほぼ同じ。つまり民主の基礎票である。それに対して、矢田氏は8万票しか獲得できなかった。前回の衆院選で馳浩氏が獲得した13万票から随分と減らしている。が、金沢におけるもともとの自民の基礎票は民主と同じ10万といわれているので、実質自民の票を2万落としたのである。つまり、民主は基礎票を手堅くまとめたのに対し、自民は基礎票を減らした、という構図なのだ。
だから今回の選挙は民主が勝った理由を分析するより、自民が減らした理由を考えたほうが的確である。それは「敵失」、つまり年金と閣僚のスキャンダル、失言である。これに対し、少々古い言い方だが自民支持層が「お灸を据えた」とでも表現しようか、そんな言い回ししか見当たらない。「お粗末」という言い方もある。
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