自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆海流がさらす「ロシアの不埒」漂着ゴミ

2022年04月30日 | ⇒ニュース走査

   能登半島の沖合には北朝鮮の木造船がよく流れ着く。大陸側に沿って南下するリマン海流が、朝鮮半島の沖で対馬海流と合流し日本海側の沿岸に流れてくる=写真・上=。とくに能登半島は日本海に突き出ているため、近隣国の漂着物のたまり場になりやすい。このところ問題になっているのが、ロシアからの漂着ゴミだ。

   とくに目立っているのは大量の注射器と注射針だ。地元紙によると、能登半島の先端の珠洲市の海岸で今月27日、市と県の職員、建設業協会のメンバーが海岸線を巡回して回収したところ、新たに1377本の注射器と注射針が見つかった。注射器の長さは約10㌢で、針のついているもの、針だけ包装されているものもあった。ロシア語で「医療用」と表記されている(28日付・北國新聞)。注射器や注射針は輪島市の海岸でもこれまで625本が見つかっている(3月4日付・同)。

   能登半島だけでなく、島根や鳥取、兵庫、京都府の海岸でも注射器が見つかっている(2月28日付・共同通信Web版)。以下は憶測だ。これだけ大量のものが投棄されるということは、時期的に新型コロナウイルスのワクチン接種で使用したものではないだろうか。ロシア、あるいはロシアから提供を受けた北朝鮮が沖合で廃棄したものかもしれない。漂着したものはごく一部で、まだ膨大な量の注射器と注射針が海を漂っているに違いない。

   ことし1月には同じ珠洲市の海岸に、船体の全長が50㍍ほどある鉄製の船が海岸に流れ着いた=写真・下=。船体にはロシア語が書かれていた。能登海上保安署は、ロシアで射撃訓練の際に「標的船」として使われる船に似ているという(1月4日付・朝日新聞ニュースWeb版)。では、ロシアはなぜ、どのような理由で射撃訓練を日本海で行ったのか。実に不気味だ。そして、標的船を回収せずにそのまま海に遺棄する感覚に不埒さを感じる。

⇒30日(土)夜・金沢の天気    はれ

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★国連事務総長が語るべき「地獄の黙示録」

2022年04月29日 | ⇒ニュース走査

   ロシアを26日訪れ、プーチン大統領と会談した国連事務総長のグテーレス氏は28日、ウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領と面談した。その夜、キーウで2回にわたって爆発音が響いた。ロシア軍のミサイル2発が撃ち込まれた。このため、グテーレス氏はウクライナ政府の建物に数時間にわたって足止めとなった(29日付・NHKニュースWeb版)。

   BBCニュースWeb版(29日付)によると、その後のインタビューにグテーレス氏は「私が訪れているキーウに2発のミサイルが着弾してショックを受けている。私たちは絶対にこの戦争を終わらせる必要がある」と述べた=写真=。グテーレス氏はウクライナでの「地獄の黙示録」を目の当たりにした。

   グテーレス氏は、ゼレンスキー氏との会談で、「ロシアによる侵略は明らかな国連憲章違反だ」と厳しく非難したうえで、マリウポリに取り残されている市民の避難に向け国連として全力を尽くすと強調した。その後、キーウの北西にあるボロディャンカの町を実際に訪れ、攻撃によって破壊された建物の前で、ロシアによる侵攻を「absurdity in the 21st Century(21世紀の不条理)」と呼んだ。さらに、マリウポリでは、「マリウポリは危機の中の危機だ」と述べた。「何千人もの民間人が命を救う支援を必要としており、その多くは高齢者で医療を必要としているが、移動が制限されている。彼らには黙示録からの逃げ道が必要だ」と語った。

   グテーレス氏が語った言葉だ。「I am here to say to you Mr President, and to the people of Ukraine, we will not give up」(意訳:「私はゼレンスキー大統領、そしてウクライナ国民に、私たちはあきらめないと言うためにここにいます)

   そもそも、グテーレス氏は行く順番を間違えた。まずウクライナの現場を見て、それからプーチン氏と語るべきだったのではないか。ならば、もう一度、ロシアに行くべきだろう。そして、「absurdity in the 21st Century」を訴えるべきだ。国連安保理は常任理事国のロシアによる拒否権の発動で機能不全に陥っている。崖っぷちに立っているのはむしろ国連ではないか。

⇒29日(祝)夜・金沢の天気   あめ

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☆ところ違えば重宝される「花はハス」 

2022年04月28日 | ⇒トピック往来

   庭に「アメリカハッカクレン」が咲き競っている。ちょっと見ただけでは、どこに花があるのか分からない。ハスのような葉の下方に花を付けているので、近くで観察しないと分からない。漢字で表記すると「亜米利加八角蓮」。「八角蓮」は読んで字のごとく、八角形をしたハスの葉という意味のようだ。

   毎年この時節にアメリカハッカクレンを床の間に生ける。普通の生け方ではない。何しろ「蓮」なのだ。尊い花という意味合いの生け方になる。耳付き古銅の花入れ、そして敷板は真塗の矢筈板だ。掛け軸は『柳緑 花紅』(やなぎはみどり はなはくれない)、11世紀の中国の詩人・蘇軾の詩とされる。緑と白が浮かび上がり、凛とした感じで床の間を彩る。

   ハッカクレン はアジアでは中国や台湾が原産とされ、花は赤褐色。アメリカハッカクレンは名前の通り、北アメリカが原産で花の色は白い。学名は「Podophyllum peltatum」。英名で「May apple」。メイアップルは、5月に咲くこの花の後に付く実がリンゴの形に似ているので名付けられたようだ。さらにネットで調べる。ウィシスコン大学マディソン校の公式サイトで以下の説明があった。アメリカでは、山野草として扱われる。アメリカの先住民たちは根茎や根をポドフィルム根といい、下剤や除虫薬として重宝していた。別のサイトによると、悪性リンパ腫などの抗がん剤として研究も進んでいるようだ。   

   アメリカハッカクレンは他の八角蓮とは違って、葉の形がそれほど大きくないことから、茶花として重宝される。ふと思った。北アメリカでは単なる山野草なのだろう。しかし、日本では仏教の花「蓮」として格式高く扱われる。床の間の様子を北アメリカの人々が見たらとても不思議に思うかもしれない。メイアップルは日本では「聖なる花」なのだ、と。

⇒28日(木)夜・金沢の天気       くもり

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★「コケの一念」プーチン 「コケにされた」グテーレス

2022年04月27日 | ⇒メディア時評

   よい表現ではないが、「人をコケにする」という言葉がある。コケの意味を国語辞典で調べると、「こけ(虚仮)」は「愚かなこと」「愚かな人」を意味し、例文として「人をこけにする」は「人をばかにする」の意味。慣用句として「こけの一念」があり、「愚か者が、(たとえ笑われようとも)一つのことをやりとげようと専念すること」。「こけの一念岩をも通す」もある(三省堂『現代新国語辞典』)。

   さらにネットで「虚仮」を検索すると、鎌倉時代の仏教書『歎異抄』の一文が出てきた。「道場にはりぶみをして、なむなむのことしたらんものをば、道場へいるべからず、なんどということ、ひとえに賢善精進の相をほかにしめして、うちには虚仮をいだけるものか」(第十三条)。現代語で「念仏の道場に、禁止事項を書いた紙を貼り、このようなことをした者は、道場に入ってはならない、などということは、ただただ外見には真面目な念仏の行者を装って、内心には虚偽をいだいている者ではないのか」(親鸞仏教センター公式サイト)。

   コケの意味を調べようと思ったきっかけは、国連のグテーレス事務総長が26日、ロシアによる軍事侵攻が始まってから初めてロシアの首都モスクワを訪れプーチン大統領と会談した。話し合いは例の20フィート(約6㍍)離れて向かい合って座るテーブルで行われ=写真、27日付・BBCニュースWeb版=、肝心の停戦については協議にも至らなかった。「平和の使者」であるグテーレス氏はプーチン大統領にコケにされたのではないかとの印象だった。

   念のため、国連公式サイトでグテーレス氏とプーチン氏の会談内容をチェックする。「The President agreed, in principle, to the involvement of the United Nations and the International Committee for the Red Cross in the evacuation of civilians from the Azovstal plant in Mariupol.」(意訳:大統領はマリウポリのアゾフスタル工場地下の民間人の避難に国連と赤十字国際委員会が関与することに原則的に同意した)などと掲載されているものの、停戦交渉についての記述はまったく見当たらない。グテーレス氏はこれまで、ロシアの軍事侵攻は一方的な措置で国連憲章に反していると繰り返し述べてきた。それが、会談ではプーチン大統領に完全に無視されたということだろう。

   話は冒頭に戻る。現在のプーチン大統領のやり様をメディアで見る限り、まさに「コケの一念」ではないだろうか。そして、歎異抄にもあるように「外見には真面目な念仏の行者を装って、内心には虚偽をいだいている者」のようにも思える。ここで、ロシア帝国崩壊の一因をつくった人物の一人とされる「怪僧ラスプーチン」をイメージしてしまう。単なる言葉の連想ゲームではある。

⇒27日(水)夜・金沢の天気     くもり

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☆やっかいな黄砂 めぐみの黄砂

2022年04月26日 | ⇒トピック往来

    黄砂の季節だ。気象庁公式サイトの「黄砂情報」をチェックすると、あす27日午前中から日本海に黄砂が張り出して、午後3時ごろには北陸などが覆われる=写真=。日本から4000㌔も離れた中国大陸のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠で、風で砂が舞い上がり、偏西風に乗って極東アジアにやってくる。黄砂と同時に大陸の工場などから排出されたPM2.5(微小粒子状物質)も飛散してくるからやっかいだ。

   この時季、野外の駐車場に車を停めておくと、フロントガラスが白くなり、ガソリンスタンドで列について洗車をする。洗濯物も部屋干し。そして、外出してしばらくすると目がかゆくなることがある。黄砂そのものはアレルギー物質になりにくいとされているが、黄砂に付着した微生物や大気汚染物質がアレルギーの原因となり、鼻炎など引き起こすとされる。さらに、黄砂の粒子が鼻や口から体の奥の方まで入り、気管支喘息を起こす人もいる。

   黄砂はやっかいだが、こんな側面もある。黄砂に乗って浮遊する微生物、花粉、有機粉塵などは「黄砂バイオエアロゾル」と呼ばれる。金沢大学のある研究者は発酵に関連する微生物がいることに気づき、採取したバチルス菌で実際に納豆をつくり、商品化した。この納豆の試食会に参加させてもらったが、日本の納豆文化はひょっとして黄砂が運んできたのではないかとの解説に妙に納得したものだ。

   また、大量の黄砂が日本海に注ぐことになる。3月、4月に「ブルーミング」と呼ばれる、海一面が白くなるほど植物プランクトンが大発生する。黄砂の成分といえるケイ酸が海水表面で溶出し、植物プランクトンの発生が促されるのだ。それを動物プランクトンが食べ、さらに魚が食べるという食物連鎖があるとの研究もある。地球規模から見れば、「小さな生け簀(す)」のような日本海になぜブリやサバ、フグ、イカ、カニなど魚介類が豊富に獲れるのか、いろいろ要因もあるが、黄砂もその役割を担っているのかもしれない。

⇒26日(火)夜・金沢の天気     あめ

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★背景に「参院無用」論 そっぽの低投票率 

2022年04月25日 | ⇒メディア時評

   「夏の参院選の前哨戦」と位置づけられ、各党首らが続々と応援に駆け付けた石川選挙区の補欠選挙の投開票がきのう行われ、自民の前の参院議員で公明推薦を受けた宮本周司氏が、立憲民主や共産など野党の新人3人を破って当選した=写真、24日・NHK金沢「開票速報」より=。宮本氏は2013年の参院比例区で初当選し、2期目の途中で今回の選挙区補選に鞍替え立候補し、3期目の当選を果たした。森喜朗元総理のかつての選挙地盤だった能美市出身の51歳。

   今回の選挙で予想していたことが当たった。投票率の低さ。これまで最低の29.9%(前回2019年参院選47.0%)だった。先の知事選(3月13日)は61.8%だったので、その半数にも満たない。今回の市町別の投票率で一番低いのは金沢市の22.9%だった。この投票率の低さをどう読むか。

   先日、知人たちと喫茶店で話していて、「どうせ今回の選挙は、選挙のための選挙だろう」と冷めた言葉が耳に残った。確かに、今回の選挙は知事選に立候補した自民前職の辞職に伴う補選で、制度ありきの選挙だった。選挙戦も内容が希薄だった。立民の女性候補は「ジェンダー平等と格差是正」、共産の候補は「平和と暮らし守る」、NHK受信料を支払わない国民を守る党の候補は「NHKスクランブル放送の実現」などそれぞれ訴えていたが、コロナ禍における中小企業の新興策を具体的に訴えた宮本氏とは争点になるほど熱気は帯びなかった。知人は「単なる補欠選挙になぜ有権者が日曜日に駆り出されるのか」とも。

   知人らとの議論は深まった。投票率の低下の背景にはもっと大きな理由があるのではないか、と。少子・高齢化で生産年齢人口が減少し、そのうちシニア世代を支える年金制度や社会保障制度がグラついてくる。人口減少が急速に進むローカルではすでに道路や橋梁などインフラが荒廃しつつある。そして、国・地方の長期債務残高が1200兆円に膨らんでいる。自国通貨建ての国債は財政破綻の懸念はないとされるものの、この先、かなりのインフレも懸念される。

   つまり、政府が向き合うべき日本の課題や論点が定まってきた。この先、スピード感を持っての対応が必要だろう。ところが時間がかかる。国会での法案は衆院と参院でそれぞれ賛成多数で決議しなければ成立しない。与野党はこれまで参院で過半数を得るために、タレント議員を増やすなど躍起になってきた。ところが、予算案など重要案件で衆院と参院で判断が分かれた場合、衆院の判断が優先する。いわゆる「衆院の優越」だ。

   出た話の中で「ならば、はたして参院は必要なのか」と。議会制民主主義は国家の基本なのだが、「参院無用」論が飛び出した。「いやいや、腹の底ではそう思っている連中(有権者)も多いよ。オレもその一人」と先の知人。

   7月10日にも投開票が見込まれる参院選。2016年に改正公選法が施行され、選挙権年齢は20歳から18歳以上に引き下げられた。あれから6年、日本の選挙に若者の息吹は感じられるか。先の知人は「親も行かない選挙に子が行くか」とまたもや冷めた言葉が。茶飲み話はここで終了となった。

⇒25日(月)夜・金沢の天気     はれ

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☆「おそい、まずい、高くつく」国連事務総長のプーチン直談判

2022年04月23日 | ⇒ニュース走査

   けさこのニュースに触れた多くの人は、「おそい、まずい、高くつく」と感じたのではないだろうか。NHKニュースWeb版(23日付)によると、国連は、グテーレス事務総長が今月26日にロシアの首都モスクワを訪問し、プーチン大統領と面会すると発表した。報道官は「グテーレス事務総長は、プーチン大統領とラブロフ外相の双方と話をする。銃声をやませ市民を助けるために、いま、どのような措置がとれるのか、議論したいと考えている」と述べた。ウクライナ側ともゼレンスキー大統領との個別会談を調整している。 

   国連のグテーレス事務総長がモスクワに行くべき時期は遅きに失しているのではないか。ロシアが軍事侵攻に踏み切った翌日の2月25日の安全保障理事会で、ロシアのウクライナ侵攻を非難する決議案を採決したが、ロシアが拒否権を行使したため否決された。本来ならば、この時点で行くべきではなかったか。首都キーウ近郊ブチャなどで多数の市民の遺体が見つかり、また、東部ドネツク州クラマトルスクの鉄道駅が弾道ミサイルで攻撃され、避難民ら50人が死亡するなど、多数の民間人が犠牲になっている。このような事態に、むしろ国連の存在意義が問われている。

   「まずい」のは、ロシアとウクライナの停戦交渉が難航する中で、国連トップによる仲介が入ったとしても、ロシア側は優位な条件でないと認められないだろう。プーチン大統領は国連がすでに機能不全の状態に陥っていることを理解している。グテーレス氏がロシア寄りの仲裁案を出さない限り、譲歩は引き出せないだろう。おそらくグテーレス氏のモスクワ滞在中もロシア側の軍事攻撃は止まない。

   グテーレス氏はこれまで、ロシアの軍事侵攻は一方的な措置で国連憲章に反している繰り返し述べてきた。ならばなぜ、国連はウクライナに平和維持軍を派遣しないのか。安保理理事国15ヵ国のうち9ヵ国が賛成すれば、平和維持軍の創設は可能だが、常任理事国5ヵ国(中国、ロシア、アメリカ、フランス、イギリス)の1ヵ国が反対すれば否決される(国連広報センター公式サイト日本語)。つまり、グテーレス氏はプーチン氏に「お願いします」としか言えないのだ。

   仮にグテーレス氏の仲介で停戦協定が結ばれたとしても、問題はウクライナの復興だろう。BloombergニュースWeb版日本語(4月22日付)によると、キーウ経済大学の推計では戦争によるウクライナのインフラ損害額は4月11日時点で800億㌦に達し、経済的損失の総額は5640-6000億㌦と見積もっている。アメリカやヨーロッパはロシア制裁の一環として、ロシア中央銀行の外貨準備6400億㌦の半分程度を凍結しており、これを復興費用に充てるべきという意見もある。

   ウクライナの復興コストはそれを使えばよいと思うが、おそらくロシアは停戦の条件として制裁解除を盛り込んでくるだろう。結局、ロシアは復興には手を出さない。そのコストはアメリカやヨーロッパ、日本が負うことになる。「高くつく」とはこのことだ。

   話は冒頭に戻る。NHKニュースWeb版によると、国連はグテーレス事務総長が26日にモスクワを訪問し、ラブロフ外相と会談するほか、プーチン大統領が開くレセプションに出席すると発表している。つい、そのレセプションそのものにリスクはないのかと勘繰ってしまう。

(※写真は、国連安全保障理事会の会議室。バックの壁画はノルウェーの画家ペール・クロフが描いた「灰から飛び立つ不死鳥」=国連広報センター公式サイト日本語より)

⇒23日(土)午後・金沢の天気   くもり

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★追悼・柳生博氏「確かな未来は、懐かしい風景の中に」

2022年04月22日 | ⇒ドキュメント回廊

         きょう未明、就寝中にグラグラと揺れた。時計を見ると、1時36分だった。スマホで地震速報をチェックすると、震源地は金沢市内で深さ10㌔、マグニチュード(M)3.4、震度2だった。このブログ(4月11日付)で紹介した、地震予測の研究グループは今月中にも「北信越地方周辺でM6.0±0.5の地震」と発表している。揺れが再び来るのではないか、そんなことを考えると寝付けなかった。

   話は変わり、訃報を。きょうの朝刊によると、NHKのドキュメンタリー番組生きもの地球紀行のナレーションをつとめ、名脇役として知られた柳生博氏が山梨県北杜市の自宅で亡くなった。85歳だった。 自身も一度だけだが、柳生氏と対面で話をさせていただいたことがある。

   2011127日に東京の経団連ホールで開催された、三井物産環境基金特別シンポジウム「~がんばれNPO!熱血地球人~」に参加した。基調講演で、日本野鳥の会会長の柳生博氏は「森で暮らす 森に学ぶ」をテーマに、35年前に八ヶ岳に移り住んで森林再生を始めたきっかけや、環境問題に関する人々の意識の高まりについて、山中の生活者目線で話された。

   印象に残ったのが「確かな未来は、懐かしい風景の中にある」という言葉だった。人間が生きる自然環境は「懐かしい風景」だ。田んぼの上を風が吹き抜けていく様子を見た時、あるいは雑木林を歩いた時、そんな時は懐かしい気持ちになる。超高層ビルが立ち並び、電子的な情報が行き交う都会の風景を懐かしい風景とは言わない。「懐かしい風景」こそ、人々の「確かな未来」と見据えて、自然環境を守っていこうという柳生氏のメッセージだった。

   シンポジウムの事例報告として、自身は「能登の自然学校から広げる未来可能性~地域と大学のクロスカップリング~」と題して、里山里海に恵まれた能登半島の生物多様性を守る金沢大学の人材育成について話した。すると、講師控室で柳生氏が「渡り鳥にとって、能登半島は大切な場所だよ」とミゾゴイやサシバの話をされた。そして、「鳥たちだけでなく、人間の子孫のためにも、里山の風景を取り戻しましょう」とあの笑顔で語られたことを覚えている。

   柳生氏はことし2月中旬以降、体調が悪化したものの病院には入院せず、大好きな八ヶ岳の森に囲まれて家族らに見守られながら穏やかな最期を迎えたという(21日付・FNNプライムオンライン)。鳥の鳴き声、風の音を聞きながらあの世へと旅立たれたようだ。

⇒22日(金)午後・金沢の天気     はれ

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☆ICBMをぶっ放す「悪の枢軸」

2022年04月21日 | ⇒ニュース走査

   まさに「悪の枢軸」とはこのことだ。NHKやCNNニュースWeb版(21日付)によると、ロシア国防省は日本時間の20日午後9時すぎ、北部アルハンゲリスク州にあるプレセツク宇宙基地の発射場から新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」を発射し、およそ5700㌔東のカムチャツカ半島にあるクーラ試験場に向けて目標に命中したと発表した。BBCニュースWeb版は「Russia releases video of intercontinental ballistic missile launch」と題して、ロシア国防省が撮影した「サルマト」の発射映像(43秒)を公開している=写真=。

   読売新聞Web版によると、このICBMは射程1万1000㌔以上、重量200㌧を超える重量があり、10以上の核弾頭の搭載が可能とされる。弾頭部分をマッハ20(時速約2万4500㌔)で滑空飛行させ、既存のアメリカのミサイル防衛網での迎撃は困難とも指摘される。ロシア大統領府の発表として、プーチン大統領は「ロシアの安全を確保し、攻撃的な言動でロシアを脅かす人々に再考を迫るだろう」と述べ、ウクライナ侵攻を受けて対露制裁を科している米欧をけん制した。

   CNNニュースWeb版日本語によると、「サルマト」についてはプーチン大統領が2018年の演説で新型兵器として言及し、これでNATOの防衛は「完全に使い物にならなくなる」と誇示していた。

   NATOだけでなく、東京も射程距離に入る。さらに、この射程1万1000㌔以上のICBMをロシア極東に配備すればほぼアメリカ全土が射程距離ではないだろうか。北朝鮮が3月24日に発射したICBM「火星17型」も首都ワシントンほかアメリカ全土がほぼ射程距離内とされる。北朝鮮の労働新聞Web版(3月25日付)は、金正恩総書記が「もし誰かがわが国家の安全を侵害しようとするなら、彼らはその代償を払うこと、そして我々の国防能力はアメリカ帝国主義との長期的対決に徹底的に備える強力な軍事技術を持っていることを明確にしなければならない」(意訳)と述べたと伝えている。

   「悪の枢軸」を最初に唱えたのは、アメリカの第43代大統領のジョージ・W・ブッシュ氏だった。2002年1月の一般教書演説で、「States like these, and their terrorist allies, constitute an axis of evil, arming to threaten the peace of the world. 」と激しく、当時、アメリカがテロ支援国家と呼んでいたイランとイラク、北朝鮮を名指しした。

   そして今、「悪の枢軸はどこの国」と世界の人に問えば、多くはロシアと北朝鮮と答えるのはないだろうか。ウクライナを侵攻して、ICBMをぶっ放すロシア、アメリカを標的にICBMを繰り返す北朝鮮。この先の世界の歴史はICBMが飛び交う悲劇なのか、和平の落としどころあるのか。

⇒21日(木)夜・金沢の天気    あめ

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★庭に咲き競う「白花の妖精」たち

2022年04月20日 | ⇒トピック往来

   庭にイチリンソウ(一輪草)が白い花をつけている=写真・上=。いつの間にと思わせるほど一瞬に姿を現わし、可憐な花をつける。「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」と称されるのもうなづける。花言葉は「久遠の美」。素朴な花の姿は昔から愛でられてきた。ただ、可憐な姿とは裏腹に、有毒でむやみに摘んだりすると皮膚炎を起こしたり、間違って食べたりすると胃腸炎を引き起こす、とか。その経験はないが。

   木陰ではシャガ(著莪)も白い花を咲かせている=写真・中=。花には青色の斑点がいくつも入り、中心部分が黄色く色づいている。ネットで調べると、原産地は中国東部からミャンマーといわれ、古くに日本に持ち込まれた帰化植物のようだ。もともと根茎は薬草で、生薬名は「シロバナシャカン(白花斜干)」と呼ばれている。喉に痛みが生じる扁桃腺炎などを抑える作用があるようだ。意外なことだが、花言葉は「反抗」。葉先は鋭い剣のよう、そして日陰に花を咲かせる姿にちなんでそのように言葉が付されたようだ。

   スノーフレーク(鈴蘭水仙)もスズランのような釣鐘型の白い花を咲かせている=写真・下=。雪がちらちらと落ちる様子にも見えるので、「snowflake」(雪片)と名付けられたのだろうか。原産地は東ヨーロッパだ。葉など外観がニラと似ているため、ニラの近くではスノーフレークを栽培しないように呼び掛けている自治体もある(広島県公式サイトなど)。有毒なアルカロイドを含有しているため、誤食すると吐気や下痢などの症状が出るようだ。花言葉は「純潔」「汚れなき心」。庭に咲き競う花を愛で、きょうという日を楽しむ。

⇒20日(水)午後・金沢の天気     はれ

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