N響(NHK交響楽団)の金沢公演に出かけた。N響は1926年に結成されていて、今年で創立90周年になる。年間54回の定期公演(NHKホール、サントリーホール)をはじめ、全国各地で120回余りの演奏活動をこなしている。時折、NHK教育のクラシック・アワーで聴くが、やはりコンサートホールの方が胸が高鳴る。11年前にサントリーホールで聴いて以来だったので、今回の金沢公演を楽しみにしていた。
マエストロは高関健氏。1977年にカラヤン指揮者コンクール・ジャパンで優勝し、カラヤンのアシスタントを務めたことがあるベテランだ。開演でメンバーが入場、中でもコンサートマスターの篠崎史紀氏がバイオリンを持って入ってくると拍手が一段と大きくなった。演奏曲目はスメタナ「歌劇~売られた花嫁~序曲」、グリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調 作品16」、ドヴォルザーク「交響曲 第8番 ト長調 作品88」。
よく知られるグリーグのピアノ協奏曲。ピアノを担当した児玉桃氏は赤いドレスで現れた。ティンパニーのクレッシェンドから雪崩落ちるようなピアノのフレーズで演奏が始まる。この出だし、映画やテレビドラマで主人公が絶望の淵に追いやられたときの効果音としても有名ではないだろうか。そして、ピアノが音階を駆け上がり、そして駆け下る。壮大に全楽器で演奏されて圧倒的なクライマックスで全曲を終える。
この曲を聴いていて、映画で何度か視聴した松本清張の推理小説「ゼロの焦点」のシーンと曲のイメージがかぶってきた。児玉氏の赤いドレスが私の想像をたくましくさせてくれたのかもしれない。男は過去の記憶を消すことが出来ないが、女は上書き機能付きの記録回路を持っていて、割り切りで記憶をコントロールしてしまう。現在と過去が交差しない女と、過去の愛と現在の愛が両立してしまう男の欲望と執念の愛憎劇。北欧ノルウエーの作曲家の感性と、北陸の能登と金沢を舞台にした映画のロケーションが妙に合っているように思えてならない。
ところで、第一楽章の真ん中あたりから、体内から「メロディ」が鳴っているのに気がついた。胃の上ありで、キュルキュル、グーグーとまるで曲に合わせるかのように腹鳴(ふくめい)がするのだ。普段でも腹鳴はめったにしないし、空腹でもなかった。そして不思議なことに、雪崩落ちるようなピアノのフレーズが三連符で表れて決然と曲を閉じて第一楽章が終わると、腹鳴もピタリと止んだのだ。
⇒28日(日)夜・金沢の天気 くもり
マエストロは高関健氏。1977年にカラヤン指揮者コンクール・ジャパンで優勝し、カラヤンのアシスタントを務めたことがあるベテランだ。開演でメンバーが入場、中でもコンサートマスターの篠崎史紀氏がバイオリンを持って入ってくると拍手が一段と大きくなった。演奏曲目はスメタナ「歌劇~売られた花嫁~序曲」、グリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調 作品16」、ドヴォルザーク「交響曲 第8番 ト長調 作品88」。
よく知られるグリーグのピアノ協奏曲。ピアノを担当した児玉桃氏は赤いドレスで現れた。ティンパニーのクレッシェンドから雪崩落ちるようなピアノのフレーズで演奏が始まる。この出だし、映画やテレビドラマで主人公が絶望の淵に追いやられたときの効果音としても有名ではないだろうか。そして、ピアノが音階を駆け上がり、そして駆け下る。壮大に全楽器で演奏されて圧倒的なクライマックスで全曲を終える。
この曲を聴いていて、映画で何度か視聴した松本清張の推理小説「ゼロの焦点」のシーンと曲のイメージがかぶってきた。児玉氏の赤いドレスが私の想像をたくましくさせてくれたのかもしれない。男は過去の記憶を消すことが出来ないが、女は上書き機能付きの記録回路を持っていて、割り切りで記憶をコントロールしてしまう。現在と過去が交差しない女と、過去の愛と現在の愛が両立してしまう男の欲望と執念の愛憎劇。北欧ノルウエーの作曲家の感性と、北陸の能登と金沢を舞台にした映画のロケーションが妙に合っているように思えてならない。
ところで、第一楽章の真ん中あたりから、体内から「メロディ」が鳴っているのに気がついた。胃の上ありで、キュルキュル、グーグーとまるで曲に合わせるかのように腹鳴(ふくめい)がするのだ。普段でも腹鳴はめったにしないし、空腹でもなかった。そして不思議なことに、雪崩落ちるようなピアノのフレーズが三連符で表れて決然と曲を閉じて第一楽章が終わると、腹鳴もピタリと止んだのだ。
⇒28日(日)夜・金沢の天気 くもり