元日の地震から間もなく3ヵ月となる。政府は新年度予算で予備費を1兆円規模に倍増し、能登半島地震の被災地のニーズをくみ取り、復興の取り組みを全速力で実行していくと強調している(今月28日・岸田総理の会見)。
石川県も今月11日に2023年度の補正予算案と新年度の当初予算案を成立させ、震災の復旧・復興経費として7830億円を盛り込んだ。道路や河川などの公共土木工事に4142億円、仮設住宅の整備など「災害救助法に基づく応急救助」に2492億円、農地や漁港などの復旧に432億円を充てる。
先日(今月24日)能登空港に行くと、滑走路から離れた多目的用地にカプセル型やコンテナ型の仮設住宅がずらりと並んでいた。目立つのは2階建ての茶色いコンテナハウス=写真=。まだ建設中だったが、作業をしている人に尋ねると、復興支援者向けの仮設宿泊所ということだった。多目的用地の宿泊所を数えると、カプセル型が29室、コンテナ型は1人部屋11室と4人部屋1室の計41室ある。6月末までに250室が新たに造られるそうだ。また、空港に隣接する日本航空学園の学生寮225室も仮設宿泊所として活用されている。震災以降、校舎が損壊したことや道路状況が悪化したため、生徒はオンラインで授業を行っている。
空港の仮設宿泊所は石川県が経費を出して設置。きょう31日から全国から支援に来ている自治体職員向けに提供が始まる。被災地には全国知事会が要請した応援職員128人、石川県庁県職員268人、総務省の応急対策派遣制度で集まった支援職員850人が入っている(石川県まとめ、今月26日現在)。このほか、上下水道や道路などインフラ復旧に当たる事業者は4000人に上る。
じつは能登の復旧・復興に立ちはだかっていたのが、全国から支援に来ている自治体職員や民間の支援ボランティアの宿泊場所だ。輪島市や珠洲市の旅館やホテル、公共宿泊施設などは損壊し、両市ではほぼ全域で断水状態が続いている。このため、支援に来た自治体職員は金沢などで宿泊し、奥能登と往復5時間余りかけて毎日移動していた。あるいは、上下水道も使えない状態で車中泊を余儀なくされていた。このため、宿泊拠点の確保が課題となっていたが、3ヵ月にしてようやく整った。
奥能登の各自治体は民間の支援ボランティアを1月27日から浮け入れを開始し、これまで延べ1万2500人余りが活動しているが、同様に車中泊などが多かった。その宿泊地となったのが、2月26日に穴水町の中学校体育館に開設された「奥能登ベースキャンプ」(収容人数100人)、そして七尾市の公園に設置された「テント村」(同140人)だった。
地震から3ヵ月の節目であり、冒頭で述べたように地域再生に向けてこれから大きく動き出すだろう。一方で、人々の記憶から能登半島地震が徐々に薄らぐ。時の風化が始まる。
⇒31日(日)午後・金沢の天気 くもり