自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★目の当たりの『戦』この一年 ~その4~

2022年12月31日 | ⇒メディア時評

   北朝鮮は本気、やる気なのだろう。その実戦配備に向けた発射実験だ。防衛省は、北朝鮮がきょう31日午前8時1分と14分、15分に、平壌近郊から北東方向の日本海に向けて計3発の弾道ミサイルを発射、ミサイルはそれぞれ最高高度100㌔程度で、約350㌔飛翔したと推測されると発表した(31日付・同公式サイト)。日本のEEZ外に落下したと推測される。北朝鮮による弾道ミサイルの発射は今年だけで37回、計70発となり、異例の頻度だ。

   ~北朝鮮が実『戦』配備へ 移動可能、すぐ発射の弾道ミサイル~  

   冒頭で「実戦配備」と述べたのは、隣国への脅しの打ち上げではなく、弾道ミサイルの性能向上のための発射実験を繰り返している。今月15日に金正恩総書記の立ち会いのもと大出力の固体燃料エンジンの燃焼実験に初めて成功したと発表している(12月月16日付・労働新聞Web版)。固体燃料ロケットは、北朝鮮がこれまでのICBM発射実験で使用した液体燃料ロケットよりも安定性に優れ、ICBMをより容易に移動することが可能で、打ち上げにかかる時間も短縮できるとされる。北朝鮮は2021年からの「国防5ヵ年計画」で固体燃料のICBM開発を重点目標に掲げており、労働新聞の記事では、「最短期間内に別の新しいタイプの戦略兵器が出現することを見越して彼らを温かく励ました」と論評している。

   さっそく、北朝鮮は固体燃料エンジンのロケット化を進めているようだ。今月23日に日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発を発射。その前の今月18日に偵察衛星開発のための実験と主張し、中距離弾道ミサイル2発を日本海に向けて発射している。そして今回と併せ、矢継ぎ早に3回の固体燃料ロケットの実践訓練ではないだろうか。あくまでも推測である。(※写真は、今月18日、北朝鮮が 発射した中距離弾道ミサイル。最高高度は550㌔程度で、500㌔程度飛翔したと推定されている=19日付・労働新聞Web版)

   日本政府は今月16日の閣議で「国家安全保障戦略」など新たな防衛3文書を決定した。敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有が明記され、日本の安全保障政策の大きな転換となる。「反撃能力」は「敵基地攻撃能力」とも呼ばれる。このため、国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」の改良型の開発・量産や、アメリカの巡航ミサイル「トマホーク」の取得など、防衛力の抜本的な強化策を盛り込んでいる。

   先の北朝鮮の動きと照らし合わせすると、反撃能力はどこまで効果があるのか。固体燃料ロケットの開発でICBMをより容易に移動することができるとなれば、敵基地攻撃は意味を成すのだろうか。分かりやすく言えば、移動したICBMを追尾し、発射前にたたくことはできるのだろうか。北朝鮮の実戦配備に向けた動きは2023年もさらに強まるだろう。日本海側に住む一人としての懸念である。

⇒31日(土)午後・金沢の天気    くもり時々あめ

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☆目の当たりの『戦』この一年 ~その3~

2022年12月30日 | ⇒メディア時評

   「オール・オア・ナッシング」の驚きの事態が中国で顕著になっている。メディア各社の報道によると、ゼロコロナ政策を掲げてきた中国政府が今月7日に大転換し、新型コロナウイルスの感染者数と死者数が急増しているようだ。緩和政策は、それまでの「白紙」抗議デモによる妥協との見方もあるが、変異ウイルスにより感染力が強まって、ゼロコロナ政策そのものが機能しなくなったことや、工場の生産停止などで「世界の工場」の地位が失墜するという経済的な不安の高まりなどが指摘されている。

    ~大気汚染とコロナ感染、中国の『戦』い~

   そもそも中国はゼロコロナ政策になぜこだわってきたのか。2019年暮れに発生した武漢市での新型コロナウイルス感染が、2020年1月の中国の春節の大移動で、日本を含め世界各地にコロナ感染者が拡大したとされる。さらに、その発生源について「2020年2月6日、華南理工大学の肖波涛教授は、このウイルスについて『恐らく武漢の研究所が発生源だろう』と結論付けた論文を発表した。しかし中国政府はコロナの発生源に関する研究を厳しく制限しており、同教授は論文を撤回した」(2021年5月27日付・ウォールストリート・ジャーナルWeb版日本語)。こうした流れから読めることは、ゼロコロナという独自の防疫政策の優位性を誇示し、発生源は中国ではないと言い逃れしたかったのではないか。

   それにしても、中国当局の発表では、政策を転換した今月7日以降の死者数は10人、2020年のパンデミック発生以降の公式な死者数は今月28日時点で5246人、という。メディアの報道によれば、基礎疾患があり死亡した場合はコロナによる死者数にカウントしないようだ。

   以下は、あくまでも憶測だ。コロナ感染で中国で死者が多数出ているとされる、その基礎疾患とは何か。気になる言葉がある。中国のコロナ患者が死亡でキーワードに上がっているが「白肺」だ。肺炎になると、レントゲンでは肺が白く写る。コロナ感染で呼吸系疾患が重症化し、機能不全に陥り死亡するケースだ。中国は大気汚染が深刻で、呼吸器系疾患の患者が多いと聞いたことがある。2012年8月に浙江省杭州市での国際ワークショップに訪れた折、ガイドの女性から聞いた話だ。(※写真は、2008年1月に上海を訪れたときに撮影したもの)

   中国の大気汚染の原因の一つは、石炭火力発電所に先進国では当たり前の脱硫装置をつけるが、中国では発電施設の増強が優先され設置が遅れている。発電施設の増強が優先され、その結果、上海などの大都市やその周辺では、肺がんやぜんそくなどを引き起こす微小粒子状物質「PM2・5」の大気中濃度が高まっているとされる。

   中国では大気汚染でもともと呼吸器系疾患が広まっている上に、新型コロナウイルスの感染で肺炎症状などが悪化、重症化するケースが増えているのだろうか。現在ではPM2・5を排出する工場の稼働率も下がっていることだろう。ただ、呼吸器系疾患を以前から持ち続けている人々にとっては気の抜けない日々と察する。

⇒30日(金)午後・金沢の天気   くもり時々あめ    

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★目の当たりの『戦』この一年 ~その2~

2022年12月29日 | ⇒メディア時評

   もう39年も前、大島渚監督の映画『戦場のメリークリスマス』を観た。太平洋戦争をテーマにしているのに、戦闘シーンがまったくない、日本軍の俘虜(ふりょ)収容所を舞台にした映画だった。いま、この映画のタイトルを思い出したのは、BBCニュースWeb版(今月25日付)のニュース。ロシアによるウクライナ侵攻に対して、ゼレンスキー大統領が国民に呼びかけたクリスマスメッセージだった=写真=。

   ~ウクライナ反転攻勢 『戦』場のメリークリスマス~

「"We will celebrate our holidays! As always. We will smile and be happy. As always. The difference is one. We will not wait for a miracle. After all, we create it ourselves."(意訳:このクリスマス行事をいつものように祝おう! 微笑んで幸せをかみしめよう。いつものように。ふだんとの違いはひとつ。私たちは奇跡を待たない。というのも、奇跡は自分でつくるものだからだ)」

   ウクライナではロシアと同じ1月7日をクリスマスとしてきたが、ロシアによる侵攻への反発から、ウクライナ正教会は12月25日のクリスマス礼拝にシフトした(26日付・NHKニュースWeb版)。ゼレンスキー氏は「 "We endured at the beginning of the war. We endured attacks, threats, nuclear blackmail, terror, missile strikes. Let's endure this winter because we know what we are fighting for.(意訳:戦争が始まって、私たちは耐え抜いた。攻撃や脅しや核の脅迫、テロ、ミサイル攻撃を耐え抜いた。今またこの冬も耐え抜こう。私たちは、自分が何のために戦っているか分かっているのだから)」と呼びかけた(25日付・BBCニュースWeb版)。じつに力強いメッセージだ。

   300日余り経過したウクライナ侵攻の戦況はどうか。ウクライナ軍は、ロシアに支配された領土の奪還を目指して反転攻勢を続けていて、このうちロシア軍がことし7月に全域の掌握を宣言した、東部ルハンシク州では、要衝クレミンナの奪還に向けて攻勢を強めている(29日付・NHKニュースWeb版)。

   戦況はまだ見通せないが、仮にウクライナが白旗を掲げても、ロシアが勝利したと言えるだろうか。「偽旗」を掲げて一気にウクライナの領土に踏み込んだことを世界の多くの人々が認識している。これを国際世論は許すだろうか。ロシアは「ならず者国家」に転落したことは間違いない。

⇒29日(木)午前・金沢の天気     くもり時々あめ   

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☆目の当たりの『戦』この一年 ~その1~

2022年12月28日 | ⇒メディア時評

   毎年この一年の世相を表す漢字一文字が京都の清水寺で発表され、ことしの漢字は『戦』だった。なるほど、この文字を眺めるといろいろなことを思い浮かべる。世情や身の回りの一年を自身の感覚で振り返ってみたい。題して「目の当たりの『戦』この一年」。

   ~近所のドラックストアに見る熾烈なシェア争い、その『戦』略~

   身近に感じる「戦い」がある。ドラックストアがまるで、コンビニのように乱立しているのだ。地元・石川県白山市に本社がある東証上場企業の「クスリのアオキ」が気が付けば自宅に近くに3店舗もある。さらに、同じ「スギ薬局」もいつの間にかできていた。自宅近くの両店舗は距離にして200㍍ほどだろうか=写真=。素人目で見ても、熾烈なシェア争いのように見える。

   アオキは石川県内だけで97店舗ある。さらに愛知県に本社を置くスギ薬局は2020年に金沢に初めて3店舗を開設。2024年2月までに北陸で一気に100店舗を計画している(同社公式サイト)。スギ薬局は店舗数だけでなく、店舗の多様化を強調している。「クリニック併設型店舗の出店や、地域の在宅医療における訪問調剤サービスなど、北陸エリアの地域医療振興にも貢献してまいります」(同)と。

   ドラッグストアチェーンのこうした強気の経営戦略は超高齢化社会を迎えるマーケットの主導権を握る発想かもしれない。スギ薬局の戦略通り、高齢化社会のニーズをビジネスに結びつける対応力と多様性がこの業界にはある。ドラッグストアと食品スーパ-、ドラッグストアと介護・診療施設の併設、あるいはドラッグストアと家族葬を中心とした葬儀場もあり、かもしれない。

   ドラックストア市場は拡大している。市場規模は7兆3千億円で年々増えている(2021年・経産省調査)。業界は、地域を絞って集中的に出店する戦略で、域内の市場占有率を一気に高めるドミナント展開を狙っているのだろう。金沢はその戦場の一つなのだ。

⇒28日(水)夜・金沢の天気    くもり

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★「チャールズ・パッチ」と「金継ぎ」の循環型経済

2022年12月26日 | ⇒トレンド探査

   最近何かとイギリスの王室の話題がテレビの情報番組などで紹介されている。気になった言葉があった。「チャールズ・パッチ」。9月に即位したイギリスのチャールズ国王は皇太子時代から、愛用していた革靴や衣類にパッチを施して使い続けたことから、この言葉が広がったようだ。丁寧な修繕という意味だろうか。靴の場合、ただの革のパッチではなく、張り合わせた革を縫いつけ固定することで、ひび割れなどを隠して補強するという丁寧な補修を指す。

   検索すると、イギリスのメディア「デイリーメール」Web版(2018年4月8日付)に「The penny pinching prince! Charles reveals that he is still wearing a pair of shoes he bought in 1971 - and is holding on to a 50-year-old jacke」の見出しで、チャールズ・パッチのことを紹介している=写真・上=。皇太子(当時)は1971年に購入し、パッチした靴を47年間も履いていて、50年前のジャケットをまだ着ていると話した、と報じている。

   このチャールズ・パッチという言葉を知って、「金継ぎ」という言葉を連想した。陶器のひび割れを漆と金粉を使って器として再生する技術のこと。知人から見せてもらった金継ぎの茶碗は紅葉の絵の抹茶碗に細かく金継ぎが施されている=写真・下=。若いころ茶道を習っていて、茶碗をうっかり落としてしまった。茶道の先生からいただいた思い出のある茶碗だったので修復を依頼したそうだ。

   金継ぎという言葉が世界に広がったきっかけがあった。東京パラリンピックの閉会式(国立競技場・2021年9月5日)でアンドリュー・パーソンズ会長が発した言葉だった。日本の金継ぎの技術について、「不完全さを受け入れ、隠すのではなく、大切にしようという発想であり素晴らしい」と述べて、金継ぎという言葉が世界でもトレンドになった。さらに、金継ぎは一度は壊れてしまった製品を修復するだけでなく、金箔を使うことでアートを施し、芸術的価値を高める。

   もともと、欧州やアメリカでは「kintsugi」が知られていた。その理由の一つが、サステナビリティとサーキュラーエコノミー(循環型経済)を各国が推し進めていることが背景にある。サーキュラーエコノミーとは資源や製品が高い価値を保ったまま循環し続ける社会経済だ。このサーキュラーエコノミー実現において、製品をできるだけ長く使い続けることは特に重要視されており、修繕はその要となる。SDGs「17の目標」とも調和がとれる。

⇒26日(月)夜・金沢の天気   あめ  

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☆世界史に残る ゼレンスキーお馴染みの姿でホワイトハウス訪問

2022年12月25日 | ⇒ニュース走査

   まるでスパイ大作戦のようなシナオリだ。メディア各社の報道によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は今月21日、お馴染みのオリーブグリーンのトレーナーと同色のパンツ姿でホワイトハウスを訪れ、バイデン大統領と会談した。会談後、バイデン氏は新たに地対空ミサイルシステム「パトリオット」や航空機搭載の精密誘導弾などの軍事支援、人道的支援を表明した。(※写真は、会談後の共同記者会見の模様=ホワイトハウス公式サイトより)

   このニュースを見て、多くの視聴者は「アメリカの大統領と会談するのだから、スーツにネクタイではないのか」とちょっとした違和感をおぼえたに違いない。自身もそうだった。軍事支援を得るための依頼の訪問であればなおさらだろう、と。ただ、逆に考えると、スーツにネクタイだったら、戦うウクライナ国民のモチベーションは下がったかもしれない。2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が始まると、ゼレンスキー氏はスーツとネクタイを脱ぎ捨て、ロシア軍と戦っている兵士たちと近い服装に着替えることで、国民との団結を示してきた。その姿勢は侵攻から300日を超えたいまも一貫している。

   そのゼレンスキー氏がスーツとネクタイに着替えてバイデン氏と会ったら、自国民も世界の人たちも「物乞い」の印象を抱いたかもしれない。それにしても、どのようなルートで訪米が可能になったのだろうか。BBCニュースWeb版(23日付)は「How did President Zelensky get to Washington?」の見出しで、その移動ルートを伝えている。以下要約。

   21日未明にウクライナ国境から夜行列車で10㌔のポーランド南東部プシェミシルの駅に到着。アメリカ側が手配した車で90分ほどかけて、ジェシュフ空港に到着した。アメリカ空軍の輸送機ボーイングC40Bに搭乗して、ワシントン近郊のアンドルーズ基地に向かった。アメリカのF15戦闘機が護衛した。北海上空ではロシアの潜水艦からの砲撃を警戒して、NATOの偵察機が監視。離陸からほぼ10時間後、ワシントンの正午ごろに到着した。ホワイトハウスは出国が確認できるまで、ゼレンスキー氏の公式訪問の公式発表を控えていた。

   ヘタに移動すれば暗殺のリスクもあったに違いない。一国の大統領が他国を訪問するために秘密裡に夜行列車に乗り、搭乗した飛行機を戦闘機が護衛するという緊張感にこそ、一触即発のキナ臭さが漂う。そして、お馴染みの服装でホワイトハウスを訪問したゼレンスキー氏の姿は世界史に残るのではないだろうか。

⇒25日(日)午後・金沢の天気   くもり時々みぞれ

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★雪国の美徳「雪すかし」 スコップに見える不都合な真実

2022年12月24日 | ⇒トレンド探査

   前回のブログの続き。まるで二羽の白鳥が雪が降った湖に入ろうか、どうしようか迷っている光景に見えた=写真・上=。白鳥に見えるのは低木に施された雪囲いで、首から頭の部分に見えるのは支えの竹。そして、雪の降った湖に見えるのはコンクリート塀の壁面だ。何気なく眺めていて、ふとカメラのシャッターを押した。雪は気温が上がれば溶けてカタチは変化するので、面白そうに見えた瞬間がシャッターチャンスでもある。

   きょうは朝から雪の晴れ間をぬって、雪すかし(除雪)の作業を行った。町内会でお達しがあったわけではないが、不思議と道路沿いの家々の人たちが一斉に出てきて、雪すかしの作業を行っている。土曜日の朝ということもあり、通勤の車も少なく、自宅前の道路の除雪作業にはタイムリーな時間帯でもある。「よく降りましたね」は、ご近所のみなさんと交わす朝のあいさつとなる。町内の雪すかしは、雪国の住民の「自助・共助」の美しい姿ではある。

   一方、毎年この雪の季節にまったく別の問題を考えてしまう。スコップとマイクロプラスチック問題のことだ。ご近所を見渡すと、スコップの8割がプラスチック製で、2割がアルミ製ではないだろうか。除雪する路面はアスファルトなので、そこで雪すかしをすると、プラスチック樹脂が摩耗する=写真・下=。微細な破片は側溝を通じて川に流れ、海に出て漂うことになる。

   粉々に砕けたマイクロプラスチックが海を漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持つとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。

   自身はなるべくステンレス製のスコップを用いるようにしているが、この問題を解決する方法は一つだ。プラスチック製のスコップのさじ部分の尖端をステンレスなど金属にするしかない。これを法令で制度化すべきではないだろうか。

⇒24日(土)午後・金沢の天気     くもり

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☆「顕著な大雪」金沢 庭先をアート感覚で眺めれば

2022年12月23日 | ⇒トレンド探査

   金沢が大雪に。強い冬型の気圧配置の影響で北陸は降雪が強まり、自宅の庭先は30㌢ほどの積雪になっている=写真・上=。午前10時ごろ、自宅前の市道を除雪車が行き交っていた。金沢地方気象台は午前8時16分に「顕著な大雪に関する石川県気象情報」を発表し、短時間に大雪が降り、大規模な交通障害が発生する危険性が高まっていると注意を呼びかけている。気温は午前10時でマイナス1.2度だった。

   あす24日朝にかけてさらに積もり、加賀地方の平野部で60㌢、山沿いで100㌢、能登地方の平野部で30㌢、山沿いで60㌢と予想している。クリスマス寒波になりそうだ。

   きょうの雪は風をともなう吹雪だ。自宅周辺を見渡すと、ちょっとした雪のア-ト作品がある。まるで、「雪自転車」だと思った=写真・中=。粉雪が風に舞って、玄関前に置いてあった自転車が丸ごと雪に包まれた。もともとは赤色の自転車なのだが、雪でペインティングしたようになっている。そして、ご近所の外壁を見ると、雪がまだら模様に貼りつき、まるで壁面アートのようだ=写真・下=。下には拙宅のツバキの雪囲いなどがあり、手前が立体、バックが壁面の芸術作品のようだと思った。

   「なんでもアート」と見てしまう感覚は、足しげく通った奥能登国際芸術祭(珠洲市主催・2017年、2021年開催)に影響されているのかもしれない。身近なテーマや日常の風景に加飾を施すことで、芸術作品のように見えてくる。インドの作家スボード・グプタ氏の作品「Think about me(私のこと考えて)」は衝撃的だった。能登の海岸に流れ着いたプラスチック製浮子(うき)やポリタンク、プラスチック製容器などのごみを集めて創った作品で、大きなバケツがひっくり返され、海の漂着物がどっと捨てられるというイメージの作品だった。

   やっかいで除雪も大変な雪なのだが、アートとして眺めるとそれはそれで楽しくもある。

⇒23日(金)午後・金沢の天気    ゆき 

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★白山と手取川  ユネスコ世界ジオパークへの流れ

2022年12月22日 | ⇒トレンド探査

   加賀平野から見渡す白山は北陸3県ほか岐阜県にまたがる標高2702㍍の活火山であり、富士山、立山と並んで「日本三名山」あるは「三霊山」と古より称される。奈良時代には禅定道(ぜんじょうどう)と呼ばれた登山ルートが開拓され、山岳信仰のメッカでもあった。その白山を源流とする手取川は加賀平野を流れ、日本海に注ぎこむ。40万年前から火山活動が始まったとされる白山による噴出物によって大地がつくられ、その大地を手取川が削り、峡谷や扇状地などの地形となって今にいたる。

   冬の白山は雪に包まれ、雪解けとともに水を貯える=写真・上=。その水が手取川の源流となる。手取峡谷にある落差32㍍のダイナミックな綿ヶ滝は見る人を圧倒する=写真・中=。さらに下流では、人々が手取川の水の流れと扇状地を賀の穀倉地帯につくり上げた=写真・下、石川県庁公式サイト「くらし・教育・環境」手取川扇状地より=。白山と手取川を眺めると、まさに「大地の公園」のようだ。

   ユネスコが定める世界ジオパークに、「白山手取川ジオパーク」が認定される見通しとなった。日本ジオパーク委員会公式サイト(16日付)によると、今月7日から専門家によるユネスコ世界ジオパーク・カウンシル セッション(評議会)で審査され、白山手取川ジオパークを世界ジオパークに認定することを勧告することが決まった。来年5月10日に開催予定の第216回ユネスコ執行委員会で承認されれば、ユネスコ世界ジオパークの認定が決定する。

   白山手取川ジオパーク公式サイトによると、白山と手取川流域の自然や地形が2011年9月に日本ジオパークに認定され、その後、2020年10月に世界ジオパークへ認定申請。ことし10月にはユネスコから地質の専門家らが訪れ、現地調査が行われていた。国内の世界ジオパークは、洞爺湖有珠山、アポイ岳、糸魚川、伊豆半島、山陰海岸、隠岐諸島、室戸、阿蘇、島原半島の9地域があり、白山手取川の認定が決まれば10番目となる。

   白山と手取川が世界ジオパークの国際評価を受けると、世界からジオパーク愛好家やインバウンド観光客が続々と集まってきて、ジオツーリズムといった新たな動きが出てくるに違いない。一方で、手取川は「暴れ川」の側面と歴史があり、下流域は自治体のハザードマップで赤く染まっている。治水対策は永遠のテーマでもある。ジオパークをリスクの視点で考察する格好の事例になるかもしれない。

⇒22日(木)夜・金沢の天気   みぞれ

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☆雪道のスタックにEVはどう耐えうるか

2022年12月20日 | ⇒トレンド探査

   強い冬型の気圧配置が続いていて、日本海側を中心にきょうも断続に雪が降っている。とくに、北陸と新潟県では帯状の雪雲をつくり出すJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)の影響で、局地的に大雪となっている。金沢では雨混じりのみぞれで積雪は10㌢ほどにおさまっている。が、雨混じりの湿った雪はクセものだ。

   なにしろ、車の「スタック」現象が起こりやすい。英語で「stuck」、「立ち往生」のことだ。湿った積雪の多い道路では、道路の雪のわだちにタイヤがはまり、前にも後ろにも進めなくなる。わだちでの立ち往生は冬場では当たり前の光景だったが、「スタック」という言葉が3年ほど前から出始め、意外な効果もあった。

   この言葉が報道などで用いられるようになると、金沢市の除雪作業本部では2021年12月から除雪計画を見直し、それまで15㌢以上の積雪で除雪車を出動させていたが、10㌢以上積もれば除雪作業を行うことにした。市内幹線の雪道の安全度は確実に高まったのだ。(※写真は、路面凍結で車が立ち往生し、周囲の人たちが車を後ろから押して助けている様子)

   一方で懸念することもある。普通タイヤからスノータイヤへの履き替えのこと。以下は私見だ。毎年タイヤの交換をディーラーの整備工場に予約しているが、近年は待たされることが多くなった。ことしは1週間待ちで今月14日に交換ができたので積雪までには間に合った。タイヤ交換が間に合わなかったドライバーも相当いるのではないかと想像する。かつてはタイヤ交換を自ら行っていた人も多かったが、いまではほとんどが整備工場任せではないだろうか。

   もうひとつの懸念は雪道でのスタックの列に巻き込まれたEV車はバッテリーが持つのだろうか。JAFは、スタックしたEV車の効果的な防寒対策について実証試験を行い、結果を公式サイトに掲載している。その検証は、テスト車1はオートエアコン25度で常時稼働、テスト車2は電気毛布(電源ソケット使用)のみ、テスト車3はシートヒーターをHi、足元に電気フットヒーター(電源ソケット使用)、テスト車4は毛布、寒く感じたときにエアコンON、寒くなくなったらエアコンOFF、の4パターン。外気温はマイナス8.1度、運転席には1名が乗車し、時間は午後7時から午前8時までを想定した。

   すると、テスト車1は午前4時30分ごろにバッテリー残量が10%となり、テスト途中で終了。テスト車2から4は午前8時まで電力を保ったものの、テスト車4はオートエアコンに切り替えたことも影響して25%まで低下。一方で、テスト車2と3はテスト終了時で電力は50%以上残ったと報告されている。端的に言えば、EVでは電気毛布を1枚備えておけば、マイナス8.1度下のスタックでもなんとかしのげるということか。

⇒20日(火)夜・金沢の天気  くもり

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