自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★建築家・谷口吉生氏が描いた禅の研究者・鈴木大拙の「スーッとやるんだ」

2024年12月21日 | ⇒ドキュメント回廊

  館内に入ると「内部回廊」と呼ばれるうす暗く静かな廊下があり、展示室へと伸びている。そして、小さな展示室を抜けると、鈴木大拙館の「水鏡の庭」「外部回廊」「思索空間」のエリアの広がる=写真・上=。水鏡の庭は、コンクリートのプールに水をはったもの。プールには白を基調とした「思索の空間」の建物が映え、風になびく水面に心が打たれる。少しの風でも水面がなびくように設計されているのだろう。

  そして、「思索の空間」の建物には能登でよく見かける白壁の土蔵をイメージする。中をのぞくと、外の風景とまったく別世界の空間が広がる。薄暗い正方形の部屋に木製のベンチが置かれ、畳が敷いてある=写真・下=。どうぞ座禅を試みてくださいと言わんばかりのしつらえなのだ。

  鈴木大拙がよく使った言葉の一つに、「スーッとやるんだ」という短い言葉がある。この場に立つと、その意味がなんとなくわかる気がする。とくに哲学的な意味はないのだろう。風が抜けるようなすがすがしさを感じる心地よい言葉だ。それを谷口吉生氏が建物として具現化したのだろうと感じた。

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☆来年元日に輪島で二重災害の犠牲者追悼式典 防災力強化へ地域担当を配置

2024年12月20日 | ⇒ドキュメント回廊

  きょうも能登半島の一部が揺れた。気象庁によると、午後0時39分ごろ、能登半島の西方沖を震源とするマグニチュードは3.5の地震があり、海側にある志賀町では震度2が観測された。先月11月26日にはマグニチュード6.6があり、志賀町で震度5弱、金沢は震度3だった。このときは不安が走った。揺れの中心にあたる震央が志賀町にある志賀原発と向き合っている位置にあり、津波は大丈夫か、原発施設への被害はないかと案じたからだ。

  地元紙のきょうの夕刊で、元日の能登半島地震の関連の記事いくつかあった。地震の発生1年となる来年元日に、輪島市で開かれる石川県主催の犠牲者追悼式典に石破総理が出席する、とのこと。式典は午後3時35分開会で、地震発生時刻の午後4時10分に出席者が黙祷をささげる。9月の記録的な大雨による犠牲者も合せて追悼する。地震による犠牲者は今月19日時点で、直接死が228人、災害関連死(県関係者)が270人となる。豪雨による死者は16人となる。514人の死を弔う。

  もう一つの関連記事。政府はきょう、2026年度中を目指す「防災庁」創設を見据え、全閣僚が参加する「防災立国推進閣僚会議」の初会合を総理官邸で開いた=写真、20日付・総理官邸公式サイトより=。47の都道府県を担当する職員として「地域防災力強化担当」を配置し、平時の対策や災害時の情報収集に取り組む方針を確認した。議長の石破総理は「政府一体で本気の事前防災を進める」と強調した。

  内閣府防災部門の定員は現在110人で、災害対応力の強化に向けて、平時は備蓄促進や防災訓練、ボランティア参加などに関して自治体の対応を促す。そして、災害発生時には直ちに現地に駆けつけて災害状況を把握し、避難所の環境の改善など進める。都道府県側にも連携する担当職員の配置を要請する。

  能登半島地震では自治体の対応に関してさまざまな批判が出ていた。住んでいた自治体と避難先の他自治体との相互の情報伝達がなく、被災者に仮設住宅の開設の情報が十分伝わらなかったという事例もある。新設される防災力強化の地域担当には、ぜひ、自治体間のコーディネーター役も期待したい。

⇒20日(金)夜・金沢の天気    くもり  

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☆両陛下が3度目の能登見舞いに 輪島で豪雨犠牲者の冥福祈る

2024年12月18日 | ⇒ドキュメント回廊

  天皇・皇后両陛下はきのう(17日)16人が亡くなった9月の能登の記録的な大雨による被災者を見舞うため、輪島市を日帰りで訪問された(18日付・メディア各社の報道)。午前中に特別機で能登空港に到着。マイクロバスで輪島市役所を訪れ、坂口市長から豪雨の被害や被災者の現状について説明を受けた。この後、塚田川が氾濫し、住宅4棟が流され、14歳の少女ら4人が犠牲となった同市久手川町を訪れ、濁流で流され木々や押しつぶされた自動車など被災の傷跡が残る現場で10秒ほど頭を下げ、冥福を祈られた。

  両陛下は豪雨で30世帯51人が避難生活を送る輪島中学校を訪れ、イスに座る被災者と対面し、中腰になって「お体に気を付けて」と声をかけられた。また、両陛下は県警や消防署、自衛隊関係者とも対面し被災者の救助と支援の労をねぎらった。豪雨被害は輪島市と隣接する珠洲市と能登町でもあり、泉谷珠洲市長と大森能登町長がそれぞれの被災状況を説明した。

  両陛下の能登訪問は元日の能登半島地震の見舞いに訪れた3月22日、4月12日に続いて3度目となる。輪島市は地震と豪雨の二重被害が集中した地域。元日の地震では震度7、その復旧・復興の途上の9月21日に輪島市は48時間で498㍉の記録的な豪雨に見舞われた。両陛下は3月に輪島を訪れた際に、店舗や住宅など200棟が焼けて焦土と化した朝市通りで犠牲者の冥福を祈られた。そして今回の豪雨被害による輪島訪問で現地の二重被害の状況を実感されたのではないだろうか。

  石川県危機対策課がまとめた12月17日時点での地震による死者は469人で、そのうち、家屋の下敷きになるなどして亡くなった直接死は228人、災害による負傷の悪化や避難生活での身体的負担による疾病で亡くなった関連死は241人となった。避難者は仮設住宅などに移り、53人となっている。また、豪雨による犠牲者は16人、避難者は400人余り。災害直後からその数は大きく減っていない。輪島では仮設住宅のうち584戸が豪雨で床上浸水などの被害を受け避難所に入っていたが、復旧作業が進み、住民が戻り始めている。

⇒18日(水)午後・金沢の天気   あめ

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★能登の「ニューヨーク」全線通行へ 地域の復旧・復興の加速を期待

2024年12月16日 | ⇒ドキュメント回廊

  能登半島をめぐる幹線道路の国道249号は元日の能登半島地震、そして9月の記録的な大雨により一部区間で不通が続いているが、今月27日午後1時から全線で通行が可能になる。国土交通省能登復興事務所公式サイトの発表(今月13日付)によると、全線で通行が可能になるのは輪島市門前町浦上から半島尖端の部分の珠洲市若山町の53㌔で、一部区間は1車線となり、当面は地元住民や緊急車両に限って利用できる。国の名勝の輪島の白米千枚田の近くを通る249号は1車線から2車線となり、一般車両も通行可能となる。

  能登の地元では国道249号のことを数字をもじって「ニューヨーク」と呼ぶ人もいる。それほど地域に密着し、生活に欠かせない道路なのだ。そして観光ルートでもある。千枚田を縦貫し、名所の窓岩がある曽々木海岸を通り、珠洲市の揚げ浜式塩田へとつながっていた。それが、元日の地震でニューヨークがズタズタに寸断されていた。年末も近くになりようやく全線で通行が可能になるので、地元の人たちにとってはほっと一息つくような話ではないだろうか。

  先日(今月5日)その寸断されていた地域の輪島市町野町大川浜の249号の状況を見に行った。町野町に住む人にとって国道249号は輪島市中心部と往来する幹線で車で30分ほどの時間だった。ところが、地震による土砂崩れで249号が埋まり、山道を遠回りすることになり、所要時間が1時間ほどかかっていた。冬場の山道は雪が多いところを通ることになるので、本格的な降雪期を前になんとか間に合った。(※写真は、今月5日に通行が可能になった輪島市町野町大川浜の249号。1車線で、通行は地元住民や緊急車両に限られる)

  このほかにも、9月の豪雨でトンネルの出入り口が土砂で埋まった249号の迂回路として県道と市道を活用。また、千枚田近くの道路も土砂崩れで埋まったが、地震で隆起した海岸に迂回路を設置することで通行の再開にこぎつけた。249号の全線開通で地域の復旧・復興の加速を期待したい。

⇒16日(月)夜・金沢の天気    あめ

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☆両陛下ことし3度目の能登訪問へ 漁業の先細りどう防げばよいのか

2024年12月13日 | ⇒ドキュメント回廊

  ニュース速報によると、天皇・皇后両陛下は今月17日に輪島市を訪問されることが、きょうの閣議で報告された。9月21日に能登地方を襲った記録的な大雨で輪島市などは甚大な被害を受けている。両陛下は被災状況を視察し、被災者や災害復旧に携わった人と面会される。能登訪問は3月22日、4月12日に続いて3度目となる。

              ◇

  ズワイガニ漁が解禁(11月6日)となってから、このブログでカニのことを何度か取り上げているが、周囲から話を聞くと意外なことを耳にする。「殻から身を出すのがめんどうだ」「カニカマの方が酒のつまみ合う」「以前はよく食べたけど、最近は手が伸びない」など。カニだけではない。寒ブリについても「ブリは年がら年中ある。寒ブリだから食べたいとも思わない」といった声だ。「日頃は魚を食べないのか」と質問を振ると、「たまに回転ずしに行って食べるくらい」とのこと。日頃の家庭料理は野菜と肉が中心で魚はめったに出ないようだ。

  上記の話が気になったので、ネットで調べてみる。以下、水産庁公式サイト「水産物消費の状況」から引用。魚介類の1人1年当たりの消費量は減少し続けている。農水省の「食料需給表」によれば、食用魚介類の1人1年当たりの消費量は、平成13(2001)年度の40.2㌕をピークに減少傾向にあり、令和2(2020)年度には23.4㌕となっている。一方で肉類の1人1年当たりの消費量は増加傾向にあり、平成23(2011)年度に初めて食用魚介類の消費量が肉類の消費量を下回りその傾向はいまも続いている。(※写真は、輪島漁港での魚介類の水揚げ=11月15日撮影)

  ではなぜ、魚介類の消費が減少しているのか。農水省「食料・農業及び水産業に関する意識・意向調査」(2019年12月~2020年1月調査・消費者モニター対象)によると、肉類と比べ魚介類をよく購入すると答えた人の理由は「健康に配慮したから」が最も多く、次いで「魚介類の方が肉類より美味しいから」となっている。他方、肉類と比べ魚介類をあまり購入しない人の理由は「肉類を家族が求めるから」が最も多く、次いで「魚介類は価格が高いから」、「魚介類は調理が面倒だから」の順となっている(水産庁公式サイト「水産物消費の状況」)。

  さらに気になるデータがある。2022年時点で約12万人いた漁師が2050年代には7万人まで減少すると予測されている(水産庁公式サイト「水産をめぐる事情について」令和6年10月)。就労者数が減る背景には、漁業は他業種に比べ労働環境が厳しいということがあるようだ。このため、若年層の漁業離れが進み、高齢化が進んでいる。

  上記のデータから日本の漁業は急速に縮小していることがくっきり浮かんできた。消費者の魚介類離れ、若手の漁業離れは単に産業としての漁業に留まらず、たとえば能登では地域経済に深刻な影響をおよぼすのではないかと将来を案じる。何しろ石川県内にある69の漁港のうち66漁港は能登半島に集中しているのだ。

  石川県は能登半島地震の復興プランとして、「13の創造的復興リーディングプロジェクト」を進めている。地域の経済や社会の視点から包括的な対策を講じることを目的としている。この際、漁業者の生活が安定し、次世代に引き継ぐ持続可能な漁業モデルを能登で構築してはどうだろうか。政府から震災復興の支援の手が差し伸べられている今がチャンスなのかもしれない。余りにもざっくりとした話になってしまった。

⇒13日(金)夜・金沢の天気    あめ

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☆能登の二重被災地で労災多発 冬場の悪天候JPCZを迎え「二次災害」への懸念

2024年12月11日 | ⇒ドキュメント回廊

  冬の季節になると、「JPCZ」という言葉を天気予報でよく聞く。シベリアから寒気団が日本海に向かって流れてくる際に朝鮮半島北部の白頭山によっていったん二分されるが、その風下で再び合流し、雪雲が発達しやすい収束帯(ライン)となって北陸地方などになだれ込んで大雪をもたらす。それをJPCZ(Japan sea Polar air mass Convergence Zone)、日本海寒帯気団収束帯と言う。JPCZを印象付けたのは2017年12月に降った大雪で、金沢市内で積雪が30㌢に達した。

  日本気象協会「tenki.jp」による最近の解説で「JPCZ」が出ている。今月9日の発表によると、11日に日本海にJPCZのラインが発生する見込みで、JPCZの先は北陸付近にかかり、12日にかけて山陰まで南下。大雪となるおそれがある。さらに、13日夜から14日にかけてもJPCZが発生し、さらに発達した雪雲が流れ込む見込み、とある。いよいよ冬将軍がやってくるのか、と思うと同時に元日の能登半島地震の復旧工事の現場は大丈夫かと不安も連なる。

  降雪時は現場が見えにくくなり、事故が起きやすい。また、積雪のため現場の作業員が思いがけずに滑って転んでけがをするということもある。とくに屋根に上がっての作業となると危険度が増す。それでなくても、公費解体など復旧工事の現場では労災事故が多発している。地元メディア各社の報道によると、奥能登2市2町(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)を所管する穴水労働基準監督署は今月6日、「重篤労働災害多発警報」を発令、石川労働局も関係団体に安全対策の徹底を求める緊急要請を出したと発表した。(※写真は、輪島市中心部での公費解体現場=11月15日撮影)

  それによると、復旧工事での労災件数は10月末時点で39件に上り、9月から3ヵ月連続で死亡者が出る事態になっている。9月の奥能登豪雨で輪島市の国道249号中屋トンネル付近で、50代の作業員が土砂崩れに巻き込まれて亡くなった。11月には、珠洲市内の被災した木造家屋の解体現場で、油圧ショベルの先端のフォーク部分が作業をしていた岩手県の70代の作業員の頭部に接触し、頭蓋骨骨折で死亡している。

  石川県が今月6日に発表した被災家屋の公費解体の進捗状況(11月末時点)によると、累計の解体棟数は1万1020棟となり、解体見込み棟数の34%となっている。県では解体作業にあたる「解体班」を増やすなどして、来年度末の2026年3月には終了する予定だ。ただ、北陸の冬は長い。現場では悪天候が予想されることから、「二次災害」への懸念が広がっているのではないだろうか。

⇒11日(水)午後・金沢の天気    あめ

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☆「防災」「減災」「備え」こそ大切 能登の被災地を訪れた両陛下の実感と想い

2024年12月09日 | ⇒ドキュメント回廊

  元日の能登半島地震の被災地を天皇、皇后両陛下は2度見舞いに訪れている。3月22日は輪島市と珠洲市に、4月12日は穴水町と能登町を。このとき両陛下は避難所を訪れ、被害に苦しみ悲しむ人たちの声に耳を傾け、思いをじかに受け止めておられる様子をテレビ報道で拝見した。被災者にとって癒やしと慰め、そして励ましになったのではないだろうか。

  皇后さまがきょう(9日)、61歳の誕生日を迎えられた。そのお気持ちを文書で感想を公表している。宮内庁公式サイトに「皇后陛下お誕生日に際してのご感想」として掲載されている。その冒頭で「道路の寸断によるアクセスの困難さや長く続く断水など、被災された方々が、冬の厳しい寒さの中でどれほど多くの困難と御苦労を抱えながら避難生活を送られていたか、想像するに余りあるものでした」と、2度の訪問での感想が述べられている。その能登について、「私自身、学生時代に友人との旅行で能登半島を訪れたことがあり、楽しく、大切な思い出の詰まった能登の地で、多くの人々がこのような大きな試練に直面していることに、心が締め付けられる思いが致しました」とつづられている。(※ 写真は、3月22日に天皇、皇后両陛下が多くの犠牲者が出た輪島・朝市通りを訪れ黙礼をされた=宮内庁公式サイト「被災地お見舞い」より)

  震災後に奥能登を襲った9月の記録的な大雨について述べられている。「状況の少し落ち着いた3月から4月にかけて、お見舞いのために能登の被災地を訪れ、被災された方々が安心して生活できる日が一日でも早く訪れるよう、復興が一歩一歩進んでいくことを心から願いましたが、その復旧・復興への歩みを進める中、9月下旬に、今度は大雨による被害が発生したことにも心が痛みます」。被災者が追い打ちをかけられた状況に、皇后さまは「心が痛みます」と心境を明かされた。

  今後の自然災害に向けて提案もされている。「来年の1月には、能登半島地震から1年、そして、阪神淡路大震災から30年の節目を迎えます。当時の被害の大きさを改めて思い起こし、犠牲となられた方々を追悼するとともに、被災された方々への支援や、今後の防災・減災について考え、備えていくことが大切なのではないかと思います」。今後の災害に向けた「防災」「減災」「備え」のキーワードは被災地を実際に訪れた両陛下の実感と想いではないだろうか。

⇒9日(月)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

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★燃えるような紅葉の那谷寺 青空に映える冠雪の白山

2024年12月03日 | ⇒ドキュメント回廊

  久しぶりに石川県小松市にある名刹、那谷寺を訪れた。「石山の石より白し秋の風」。江戸時代の俳人、松尾芭蕉が那谷寺で詠んだ『おくのほそ道』の俳句だ。奇岩がそびえ立つ景観で知られる那谷寺は紅葉の名所でもある。境内ではモミジや、カエデなどが赤々と燃えて、見事な景観だった=写真・上、2日午前11時37分撮影=。

  境内を巡っていて、「紅葉良媒(こうようりょうばい)」という言葉を思い出した。見学に訪れている人たちを見ると、男女のカップルが多いことに気づき、この四字熟語が脳裏に浮かんできた次第。紅葉を見に行くことがきっかけとなって良縁が結ばれることを意味する言葉だ。さらに、奇岩がそびえ立つ那谷寺はパワースポットとしても知られ、若い人たちにとっては人気がある。「奇岩良媒」かもしれない。

  展望台から臨んだ「奇岩遊仙境」(国名勝指定)。ここから遊仙境を眺めると、寺でありながら赤い鳥居と稲荷社が点在するのが見える。パンフによると、奈良時代に創建された白山信仰の寺院とのこと。確かに、那谷寺の周辺からは白山が見える=写真・下、2日午前11時24分撮影=。青空に映えた冠雪の白山、じつに神々しい。

  「風かをる越しの白嶺を国の華」。これも芭蕉が詠んだとされる句。白山のまわりには、さわやかな風が吹き渡っていて、まるで国を代表するような山だ、と解釈する。白山は北陸3県ほか岐阜県にまたがる標高2702㍍の活火山で、富士山、立山と並んで「日本三名山」あるいは「三霊山」と古より称される。奈良時代には禅定道(ぜんじょうどう)と呼ばれた登山ルートが開拓され、山岳信仰のメッカでもあった。

  その白山を源流とする手取川は加賀平野を流れ、日本海に注ぎこむ。去年2023年5月にその白山と手取川がセットになって、ユネスコ世界ジオパークに認定された。遠方から白山を眺めると、白山には長く厳しい冬が訪れている。その名のとおり「白い山」となり、山容は穏やかでやさしい。芭蕉が讃えたように「国の華」のようだ。

⇒3日(火)夜・金沢の天気      くもり時々あめ

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☆冬の訪れは雷鳴と氷あられ  子どものSNS環境めぐり規制の動き

2024年11月29日 | ⇒ドキュメント回廊

  けさ雷鳴とともに叩きつけるような氷あられが降ってきた。屋根にあたる音がバシバシと強烈だった。しばらくして雨になった。氷あられが降ったのは午前6時すぎ、その後、午前9時40分ごろに自宅の庭に出ると、氷あられがところどころに残っていた=写真=。見ると、1㌢四方の大きさのものもある。午前6時に降ってきたのはそれより大粒だったろう。歩行者にけがはなかっただろうか、農家のハウスは大丈夫だったのか、などと考えてしまった。その後も金沢では雨が降り続き、いまも大雨警報が出されている。

  話は変わる。NHKニュース公式サイト(29日付)によると、オーストラリアの議会は、16歳未満の子どもがSNSを利用することを禁止する法案を可決した。アルバニージー首相は29日朝、記者会見を行い「今回の法律で親と子どもの会話が変わり、その変化はオーストラリアの子どもたちにとって害を少なくし、より良い結果をもたらすことになる」として、子どもと保護者のための法律だと述べた。この法律は、SNSの運営会社に16歳未満の子どもが利用できないような措置を講じることを義務づけるもので、違反した場合は最大で4950万オーストラリアドル、日本円でおよそ49億円の罰金が科される。保護者や子ども自身への罰則はない。

  オーストラリアでは近年、子どもたちがSNSにのめり込み、日常生活や心の健康に悪影響が出ることへの懸念が高まっているほか、悪質ないじめにあったり、性被害にあったりする事態が相次ぎ、保護者を中心に規制を求める声が高まっていた。

  オーストラリアだけでなく。フランスではSNSの運営会社に対して、保護者の同意がないかぎり、15歳未満の子どものアクセスを制限するよう義務づける法律が制定している。また、アメリカの一部の州でも、未成年のSNS利用を規制する法律を制定していて、ユタ州などでは未成年がSNSを利用する際には保護者の同意が必要となる(29日付・NHKニュース)。

  一方、イギリスBBC公式サイト日本語版(11月7日付)によると、オーストラリア最大の子供の権利擁護団体のひとつ、「オーストラリア子供の権利タスクフォース」は、この禁止措置を「あまりにも乱暴な手段」と批判している。同団体は10月に政府に公開書簡を送付。100人以上の学者と20の市民団体が署名したこの書簡はアルバニージー首相に対し、禁止措置に代えてSNSに「安全基準」を課すことを求めた。同団体はまた、国連の助言を引用し、オンライン空間を規制するための「国家政策」は、「子供たちがデジタル環境と関わることで利益を得る機会を提供し、その安全なアクセスを確保することを目的とすべきだ」と指摘した。

  政府が子どもたちのSNS環境そのものを規制するのか、あるいは規制せずにSNSに安全基準を課すことでアクセスを確保するのか。デジタル化が進む世界の情報環境にあって、争点として浮上している。

⇒29日(金)夜・金沢の天気     あめ

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★震源は能登半島を南下してくるのか 連動する活断層の不気味さ

2024年11月28日 | ⇒ドキュメント回廊

  前回ブログの続き。今月25日付のブログ『☆能登地震による液状化で電柱同士が接触し発火 これはレアケースなのか』を読んでくれた金沢の知人から、きのうメールがあった。「(26日の)震度5弱の地震で傾いて今にも倒れそうになっている電柱が内灘にある。危なっかしくて道路を通るのも不安になる」と。知人は内灘町の企業に勤めている。きょう現地を見に行った。

  危なっかしい電柱がある場所は内灘町室地区の県道沿い。同町では元日の能登半島地震による震度5弱の揺れと液状化被害で全半壊の住家が686棟にも及んでいる。今月25日付ブログは、傾いた道路の電柱が地盤の液状化でさらに傾き、隣接する工場敷地内の電柱との電線が接触して発火したと書いた。危なっかしい電柱は発火した電柱と同じ県道沿いにあり、わりと近い。その傾き加減は素人目線で15度から20度はあるかもしれない=写真=。傾きが以前より大きくなったのは、ここ数日の雨と26日の地震の影響なのだろうか。この周囲の電柱もこれほどではないが軒並み傾いている。このまま倒れば人身事故になりかねない。

  それにしても気がかりなのは、今月26日の震度5弱の揺れなど、このところ能登で頻発している地震の震源が元日の半島尖端から南下していることだ。地元メディアの報道によると、地震学者のコメントとして、元日の地震で動いた断層とは別の「羽咋沖西断層」が震源の可能性があるとしている。元日の震源は半島尖端の珠洲市だったが、このところの地震は半島の真ん中の羽咋市の沖に位置する。さらに南下すると金沢に限りなく近いづいてくる。

  金沢には「森本・富樫断層」がある=図=。国の地震調査研究推進本部の「主要活断層」によると、切迫度が最も高い「Sランク」が全国で31あり、その一つが森本・富樫断層だ。断層は全長26㌔におよび、今後30年以内の地震発生確率が2%から8%とされる。金沢市の公式サイトに掲載されている「平成24年度(2012)被害想定調査結果」によると、この森本・富樫断層で金沢市内中心部に直下地震が起きた場合、マグニチュード 7.2、最大震度7と想定されている。地震は連動する。連動しながら南に降りてくるのか。じつに不気味だ。

⇒28日(木)夜・金沢の天気    あめ 

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