自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★庭での出来事

2016年06月30日 | ⇒ドキュメント回廊
  庭に無数の穴を開け、ハチがブンブンと音をたてている=写真=。調べてみると、地面に穴を掘るハチのうち、黒くて細長い体つきをしているのがジガバチやアナバチの仲間。地下に巣を作るスズメバチは、少しズングリとした体型とある。やっかいなスズメバチかと思い、観察してみると体系はスリムなので、ジガバチやアナバチではないだろうか。

   この仲間は比較的大人しい種類が多いとされ、直接手でつかんだりしない限り刺される心配はない。現に飛び回る現場に分け入っても刺されなかった。たとえ刺されたとしても、ジガバチやアナバチの毒は攻撃用ではなく、幼虫のエサとなる虫を動けなくする麻酔薬程度なので、毒性は比較的弱いらしい。とはいえ、何かの拍子に刺されれば痛そうなので、ハチ駆除用のスプレーを購入して、プシュー、プシューと吹き付けた。

   数日してその場に行くと、ハチが数十匹固まりになって死んでいた。まるで団子にようなカタチをしていて、異様だった。ここからは推測だが、スプレーの駆除剤で死んだハチを仲間が食べに来た。すると、その死骸を食べたハチが死に、さらにそれを食べたハチが、というように何度か繰り返されたのではないか。駆除剤の効き目には驚いたが、その「死の連鎖」からポピュリズム(populism)という言葉を連想した。

   ポピュリズムを大衆迎合主義と解釈する向きもあるが、むしろ、民衆主義が当てはまるのではないだろうか。プロの政治家(政治エリート)や権力者が政策を立案して、国民を率いていくエリート主義と違って、民衆(有権者)の情緒的な支持を煽って、カリスマが民族主義的な政策を推し進める政治運動とも言える。

   ポピュリズムのシンボル的な事例として旧・ナチス政権がよく引用される。民衆に直接政策を問い、国民投票を何度も繰り返す。その結果として、とんでもない国家主義が醸成される。今回のイギリスのEU離脱もなんとなく、そんな匂いがする。テレビのインタビューで離脱支持者たちの「大英帝国の誇りが取り戻せる」「すべてを支配したがるEUにはうんざりだ」などの声が紹介されていて、ハッとした。こんな民衆の声はヨーロッパでは決して少数派ではないことが、今回イギリスが証明してくれたのではないか。次はひょっとしてアメリカなのか、などと。

   ところで団子のようになったハチの死骸からポピュリズムを連想した理由。ナチス政権がそうであったようにポピュリズムの末路は、民衆同士の憎しみによる死の連鎖だった。駆除剤をまいた本人が言うのも何か矛盾に満ちているが…。

⇒30日(木)午前・金沢の天気    くもり
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☆EU離脱ショックと参院選

2016年06月25日 | ⇒トピック往来

   イギリス発で世界に激震が走った。数字的には日本の東証株価は1286円(7.9%)下げ、アメリカ・ニューヨークのダウ工業株価も610㌦(3.4%)下げた。日本は時差と週末だったということもあり、国際情勢が株価に敏感に反応した。それほど、イギリスのEU離脱はショッキンだった。一方で、参院選に突入した日本、このイギリスのEU離脱が参院選にどのような影響を与えるのか考察してみる。

      昨日(24日)午前11時30分、スマホでニュース速報が入った。「イギリス172ヵ所の開票所の集計終了、離脱支持が51.2%でリ-ド」と。さらに15分後の速報で「円相場が2年77ヵ月ぶり1㌦=99円台」と。そして正午ごろからはアジア外国為替市場でイギリス通貨ポンドが急落、東証株価が1000円下げなど次々と。このとき、「日本は参院選どころではなくなった」との思いが脳裏をかすめた。と同時に、伊勢志摩サミットでリーマンショックの再来を「予言」し、消費税増税を再延期を打ち出した安倍総理の先読みはある意味で正解だったのかもしれない、と。このニュース速報を見た多くの有権者は「先行き不透明な、混沌とした世界情勢に政治も経済も外交も突入していく。ならば、現政権で踏ん張ってもうらしかないのでは」との思いを共有したのではないか。

    さらに、EU離脱ショックと参院選との関わりを具体的に読み解いてみる。25日付の新聞各紙の参院選関連の扱いは一面も社会面もほとんどない。テレビ各局もほとんどイギリスのEU離脱が占めている。午後4時20分すぎ、イギリスのキャメロン首相の辞意が伝わり、EU離脱に関するニュースの時間どりがさらに増えた。週明けもさらにEU離脱ショックの記事が新聞やテレビ、インターネットを覆うことになる。つまり、メディアのニュースや情報番組で参院選はローカル扱いになってしまうのだろう。

    参院選の焦点の一つとなっているアベノミクス、正確に言えば安倍政権の経済政策に関する評価に関しては、円高、それにともなう株価下落が示すように前途多難であろうことは想像に難くない。ただ、大きな動きがあった。午後9時15分すぎに、G7(先進7ヵ国)の財務相・中央銀行総裁会談による緊急の共同声明を発表し、「国際市場の流動性供給のための手段を用いる用意がある」と強調した。つまり、為替市場を含む金融市場の安定に向けての財政出動など共同歩調を確認したのだ。

    これは、伊勢志摩サミットで議長だった安倍総理が、2008年のリーマン・ショック並みの危機(クライシス)が再発してもおかしくないほど世界経済が脆弱化する前兆があると説明し、G7各国に財政出動などの実施を共同声明に盛り込んだことがベースとなっている。G7が足並みをそろえて経済混乱に素早く対応できる態勢と整えることができたのも、安倍総理の功績として評価されよう。

    私は5月27日付のブログで、「リーマン・ショック並みの危機」を持ち出した安倍総理の行動を「☆救世主かほら吹きか」とのタイトルで皮肉った。今となっては正解だったと率直に認めたい。今後アベノミクスがこの経済危機にどのように対応していくの見極めたい。ちなみに、サミットのとき、「いわゆるクライシスとまで言うのはいかが」と発言したのはキャメロン首相だったとされる。これは歴史の皮肉かもしれない。

    最後に結論を。イギリスのEU離脱が日本の参院選に与える影響、それは自民に有利に働くということ。その理由は世界の大幅な経済減速が懸念される中、危機管理として現政権に政権運営を託するしかないとの思いが有権者の共有されたものと判断する、からだ。

⇒25日(土)朝・金沢の天気   くもり

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★アップグレードの強引さに違和感

2016年06月12日 | ⇒トピック往来
  最近うんざりしているのが、PCを立ち上げると出てくるマイクロソフトが最新の基本ソフト「Windows10のアップグレード」通知画面だ。親しい友人から「Windows7が使い勝手がいいので、どうすればよいか」と最近相談を受けたこともある。身近な問題であり、世間でも問題になっている。

  苦情でよく耳にするのは、「Windows10へのアップグレードの通知画面が執拗に出る」「Windows10へのアップグレードの通知画面でバツ(×)を押したのにアップデートされてしまった」「勝手にアップデートされてしまい、それまで使用していたフリーソフトが使えなくなった」など。

  私のPCはWindows8なので、10をダウンロードしてもそれほど操作感に違和感はないかもしれないが、それでもアップグレードを見送っている。そもそも、いくら無料だからといって、アップグレード開始日時を自動的に決めて勝手にアップグレードが始まる。それで気に入らなければ1ヵ月未満であれば元のOSに戻すことは可能という姿勢が「強制的」だ。この問題は国会でも取り上げられたようだ。

  メディアによると、マイクロソフトは今月10日に、Windows10に関する記者説明会を開いた。マイクロソフト側の発表はWindows10の優れた点を紹介し、アップデートの通知の操作を説明するものだったようだ。これに対し、記者からは、「強制」問題に集中した。マイクロソフト側は「強制ではない。キャンセルする手順があり、アップデートしても1か月間は元に戻す手段を提供している」「通知のしくみは全世界統一で、日本だけ変更するのは難しい状況。日本語の表記がわかりにくいことは社内でも把握しており、改善の検討は行っている」

  ユーザーが腹を立ているのは、アップグレード通知画面でバツ(×)を押してもキャンセルにはならず、アップデートが実行されることだ。ほとんどのユーザーは、ウィンドーの右上にある「×」をクリックすれば、実行されずにキャンセルされるものだと考えている。しかし、マイクロソフト側では、バツ(×)は、その画面を閉じるというだけの操作で、キャンセルではないと主張していることだ。ここにユーザー側との決定的な認識の違い、ある種の「作為」を感じる。

  Windows10は優れた製品なのかもしれない。ただ、それを「無料だ。ありがたく思えよ」と言わんばかりに、強引にアップグレードさせることに違和感を感じるのだ。

⇒12日(日)朝・金沢の天気   はれ
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☆ヤエドクダミの可憐な花

2016年06月11日 | ⇒ドキュメント回廊
   昨日(6月10日)金沢地方気象台がアジサイの開花宣言を出したとテレビニュースで報じられていた。我が家でいま咲き誇っているのはドクダミの花、それもヤエドクダミだ=写真=。

   ドクダミの花は普通、一重で十字の白い花のイメージだが、ヤエドクダミは八重の花が咲く。3年前にわざわざ植えたものだ。日陰が繁殖によいされ、塀に接する影の部分をその場所に選んだ。葉のカタチも独特な臭いも、一重のどくだみと同じ。ただ、ドクダミの一重の花は、真ん中の黄色い部分(これが本当の花)が目立つが、八重は全体が真っ白に見えてなんとも可憐な印象だ。

   じつは、八重咲きの白い花びらのように見えるのは「総苞片(そうほうべん)」と言って、花びらではない。総苞片というのは、花を抱く葉なのだ。苞葉とも言われている。我が家の庭には一重のドクダミも咲いているが、このところ毎日、このヤエドクダミを眺めては悦に入っている。

   ドクダミ、ネット検索で調べると「毒痛み」と漢字で書いてるものもある。その生命力と繁殖力には驚かされる。地下茎を伸ばし、地上に芽を出して群生する。裏庭にスギゴケを繁殖させよと草むしりをしているが、一重のドクダミが顔を出して、抜いても抜いても根気よく生えてくる。この生命力を見ていると、人はドクダミには勝てないなと思ってしまう。葉はハートのカタチをしていて、かわいくもあるが、独特の臭気がある。

   においのもとになっているのがデカノイル‐アセトアルデヒドという精油成分。これがペニシリンをしのぐといわれるほど強力な殺菌作用があるらしい。黄色ブドウ球菌や肺炎球菌、白癬菌などの細菌や、ある種のウイルスの活動を抑える力があり、傷口の止血や再生にも効果があるとされる。小さいころ、「擦り傷にはドクダミの葉をこすればよい」と言われた覚えがある。古くから民間治療薬として用いられてきた。最近では、抗カビや抗菌作用に、さらに独特の臭いは白アリなどにも予防剤としても使われているようだ。

   そういえば、金沢市内の居酒屋でドクダミの天ぷらを食べたことがある。マスターに「においが全然しないね」と問うと、一度高温でゆがくとにおいが抜けると話していたこと思い出した。

   花言葉を調べると、「白い追憶」「野生」とある。その生命力から「野生」、そして、ツンとくるにおいが忘れられないから「白い追憶」なのだろうか。

⇒11日(土)朝・金沢の天気   はれ
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