">”新芽を摘みました!!”
暮れも押し詰まった12月30日の朝、横須賀の海苔養殖漁師の知り合いから
”新芽を摘んだから今日、よかったらどうぞ”という電話があった。
毎年冬の初めころ、生海苔を煮込んで佃煮を作る。
生海苔は、海苔漁師のもとを訪ねなければ手に入らない。
走水の景色 この浜の沖合いが海苔養殖場がある
横須賀走水の漁師さんにいつもお願いしている。
先日電話をしたところ、今年はもう摘まないから、新芽は来年になるという
ことだった。年内はダメかと諦めていたところに突然の電話だった。
新芽が生育したのだろう。新芽にこだわって知らせてくれたことが嬉しい。
海苔養殖の詳しいことは知らないが、海苔の生育にしたがって新芽、二番、三番
と摘む由。当然新芽は柔らかくて繊細だ。二番、三番とこわくなる。
生で食べたり、佃煮にしてもこの新芽の方がよいことは素直に分かる。
それを教えてくれたのが海苔養殖のFさんだ。
出会いがあってから5年になろうか。偶然地元漁協のイベントで知り合った。
生産者を知ることが、その食材のことを知る一番の方法だ。
”食材の源流を訪ねる”ことを旅歩きのテーマにしている。
米、味噌、醤油、酢生産者をはじめ、野菜、果物農家、養蜂家、北海道のイカ釣り漁
の網元、しらす漁師の方など、沢山の知り合いが出来た。
二つ返事で了解し、車を走らせる。
横須賀走水は、東京湾口で地名の通り、潮の通りがよいところで良質の海苔が獲れる。
摘みたての新芽の生海苔をわけていただく。
ザルに洗い上げた生海苔
これを煮て佃煮を作る。
濃い目のかつお出汁と、醤油・味醂を調味して煮る。煮詰めるまで2~3時間、ゆっ
くりと煮詰める。隠し味に蜂蜜を加える。今回は海苔の香りを生かすため砂糖は使わ
ないことにした。上々の出来栄えに満足する。出来上がったのは深夜、ことし最後の
食づくりとなった。
鍋に出汁・調味料を加えて時間をかけて煮る 煮あがった海苔の佃煮
いま、瓶詰めの佃煮は冷蔵庫に眠っている。何日かすると味が馴染んでまろやかな
旨味を醸す。発酵させるわけではないが、煮物が時間を経て旨味を増すのは発酵作用
に似ている感じがする。甘味料の加わった市販の瓶詰め海苔佃煮とは全く違った旨さ
が手作りで味わえる。
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