AKILA's えgo

気まぐれに、ドラムや音楽の気になった事上げとります。

KK’s SLAYER

2024-05-21 01:07:45 | ノンジャンル

2019年にSLAYERが解散をした事で、ヘヴィメタルシーンにとって一つの歴史が幕を閉じた。
そして、その解散からの行動を最も注目されていた男が、5年の沈黙を破る事になった。

ケリー・キングの『FROM HELL I RISE」。
名義としては、彼のソロ・アルバムと言える。

とはいえ、SLAYER一筋と言っても過言ではないキャリアであるケリーが何をするのかと言えば、SLAYER亡き後のSLAYER道を提示していくというのが最も自然であり、周囲もソレを期待していた筈である。

そんなケリーの脇を固めるメンバーは、
マーク・オセグエダ(Vo)
フィル・デンメル(G)
カイル・サンダース(B)
ポール・ボスタフ(Ds)

いずれも1980年代のスラッシュメタルの中でも有名どころと言え、その手練れたちがケリーの下に集まるのは必然とも言える。
特にポールはSLAYERから引き続きであり、デイヴ・ロンバードの後任を正式に務めてきた彼の力量は、ケリーからしたらSLAYER所縁の土台を築き上げるのに必要不可欠なものと判断したのだと思う。

音楽的な内容をざっくり言ってしまえば、SLAYERのラストアルバムである『REPENTLESS』を想起させる雰囲気を纏っている。
曲の中には、ケリーが『REPENTLESS』直後にも書いていたものもあったりするし、そもそもあのアルバムに関しては、ほぼほぼケリーによる「一人SLAYER」な仕上がりになっていた事を思えば、自然な流れではある。

そんな中でキーポイントと言えるのが、ヴォーカルのマークの存在だろう。
DEATH ANGELのヴォーカルで知られるマークだが、この『FROM HELL I RISE』で聴ける歌唱は、トム・アラヤを彷彿とさせる鬼気迫るものを感じさせる。

オレも先行MVで最初に「IDLE HANDS」を聴いたんだが、マークがこんな声でいけるのかというのは正直驚いた。
交友関係からフィリップ・アンセルモという強力なカードを切る事もできたのでは?という噂も上がっていたかと思うが、ケリーのSLAYERに並ぶものをという計画からすれば、フィルはそぐわないというのが相応の意見となる。
マークがケリーのバンドでフロントを務めるというのは誰もが意外に思っただろうが、その佇まいと今回提示した歌唱を照らし合わせれば、納得の一言しかない。

SLAYERのソングライターの一人であったケリーがSLAYER道を進めると言うであれば、それは紛れもなくSLAYER直系。
不穏なアルペジオを織り交ぜたフレーズも、SLAYERっぽいではなく、SLAYERそのままと言えてしまう点は重要。

ケリーがこの音楽を推し進めようと動き始めた事は、SLAYERファンであれば大歓迎だろう。
だが、意地悪な物言いになってしまうが、ケリーは一人で、あの逆さ十字を背負う事を宿命づけられる事になる。
言わば、SLAYERという伝説の怪物と対峙していくワケである。

かつてのSLAYERは、『REIGN IN BLOOD』をリリース以降、自身の創り上げてきた歴史と闘う事をある種運命づけられてきたが、ケリーはSLAYERそのものと闘う事を宿命づけられたと言えるんだよな。

片割れのソングライターであったジェフ・ハンネマンは逝去、SLAYER本来の持つ魅力は半減していると言わざるを得ないのが事実でもあるが、ケリー自身が結局のところどこまでその辺りを重く受け止めているかによるんだよな。
「俺は俺のやれる事をやるだけ。SLAYERでやってきたとおりの事をな」っていうスタンスであれば、ソレはもうどうしようもないからね。

奇しくも、今回のアルバムを発表する直前に、限定的にSLAYERが復活するというニュースが世界中を沸かせる事に。
ケリーは、SLAYERでライヴをする事に関しては前向きではあるが、その先は無いと明言している。

出鼻を挫かれた感が半端ない状態だが、より良いKK’s SLAYER道を進める事を願うよ。



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