4/5付の記事でM65,M66銀河というのを紹介しました。
で、このM**っていう天体の呼び名は何なのか?
SFの世界でも、例えばウルトラマンの故郷である「光の国」が
あるのはM78星雲という設定になっていて、M**が出てきたりするので、
気になりますよネ。
この "M" はメシエというフランス人の頭文字なのです。
フルネームはシャルル・メシエといい、18世紀に実在した天体観測家です。
少し前に「ルーリン彗星」というのが話題になりましたが、
そのような「彗星」という天体をメシエさんは熱心に探していました。
おそらく長い尾をたなびかせる姿に魅せられたからなんでしょうネ。
あるいは発見すると自分の名前が付いて有名人になれるためだったかも?
ところで、その時代には写真技術がまだありませんでしたから、
現代のようにカメラで夜空を撮って彗星を探すといったことはできず、
自ら望遠鏡を覗いて夜空を丹念に捜索していました。
ちなみに、メシエさんがよく使っていたのは口径19cmの反射望遠鏡と
言われています。その性能は、今の技術レベルに比べれば劣悪で、
現在市販されている口径9cm程度の屈折望遠鏡に匹敵するらしいです。
さて、彗星というのは望遠鏡で見てもボーっとしたイメージにしか
見えないことが多いのですが、それと似たようなイメージに見えて
しまう「星雲」や「星団」あるいは「銀河」といった天体が
空のあちこちにあって、彗星捜索者を惑わすことになります。
そのような彗星と紛らわしい天体が見えた際に、天空上での位置を
正確に記録しておけば、次に同じ天体に出くわしても迷わなくて済む
ということで、メシエさんは彗星と見間違いそうな天体の精測位置を
記録したリストを作りました。それをメシエ・カタログといいます。
メシエさんは概ね発見順でカタログ登録天体に番号を付けていきました。
で、個々の天体はメシエの頭文字と番号をもってM**と呼ばれてます。
例に挙げたM65,66はカタログの65,66番目に登録されたしし座の銀河、
M78は78番目に登録されたオリオン座の反射星雲(実在天体です!)
にあたります。
M78星雲(山梨県北杜市にて2006年撮影)
メシエ天体は1~110番までありますが、位置の記録ミスや二重登録等
により不明・欠番とされているものが2,3個あったりします。
それから、前回紹介した銀河にNGC3628というのもありましたが、
この"NGC"については、別な機会に解説しましょう。