Starlight Terrace

オリジナル写真で綴る夜空と夜景がメインのブログ
【注目の天文現象】
2/1宵 金星と細い月と土星が接近

次にクロイツ群の大彗星が出現するのはいつかな?

2024-10-30 12:12:26 | 夜空のコラム

昨日、アトラス彗星(C/2024 S1)が太陽のすぐ傍まで近づいたところ
で力尽き、消滅してしまいました。この彗星は太陽をかすめる軌道
を持ったクロイツ群のメンバーで、太陽最接近日の約1か月前の割と
早期に発見されたこともあり、肉眼でも見えるような大彗星になる
だろうと期待されましたが、本体が予想より小さかったのに加え、
途中から崩壊が始まって太陽近傍での灼熱地獄に耐えられなかった
みたいです。

ところで、クロイツ群の彗星は過去に極めて明るく観測されたもの
が数多くあって、「大彗星の超一流ブランド」とでも言いたくなる
ようなステータスがあります。17世紀以降に地上からの観測記録が
ある主なメンバーを調べてみると・・・

出現年   名称          最大光度
 1668 Gottignies        -5等(推定)
 1843 Great March Comet    -7等(推定)
 1880 Great Southern Comet  -4等(推定)
 1882 Great September Comet -17等(推定)
 1887 Thome          1等?
 1945 du Toit          7等?
 1963 Pereyra         2等?
 1965 Ikeya-Seki        -10等
 1970 White-Ortiz-Bolelli    1等
 2011 Lovejoy         -4等
 2024 ATLAS         3.5等?

明るさが肉眼で観測可能なレベルに達したものが多数を占めます。

で、出現年をチェックするとちょっとしたクセみたいなのがあり、
2桁以上の年数の出現間隔が2回続いた後に1桁の出現間隔が2回続く
という奇妙な巡り合わせが指摘されてます。個人的にこの法則(?)
を知ったのは、1965年に大彗星となった池谷・関彗星を発見された
関勉さんの御著書『彗星ガイドブック』(1976年刊)の記述を読んで
のことです。まぁ、単なる偶然なんでしょうけど、1880年以降では
2→5→58→18→2→5→41→13年という間隔になっているのを見ると、
この先10年以内にもしかしたら2つ有望なのが現れるんじゃないか?
なんて淡い期待を抱いてしまいます。なお、太陽観測機SOHO搭載
のコロナグラフでは毎年のようにクロイツ群の小彗星が大量に発見
されてますが、いずれも消滅するなどして地上からの観測が不能な
ものばかりなので、それらを除外した場合の話です。

ちなみにクロイツ群に属する彗星はほとんど同じ軌道を辿っていて
その公転周期は概ね800~900年程度のようですが、この群の起源と
なった彗星は1106年に見られたものとされ、その分裂核がそれぞれ
徐々に離れながらも軌道上でそこそこまとまった範囲に散らばって
次々と戻って来ているとしたら、周期の関係からそろそろ打止めの
年代に入ったりしないものか、素人考えかもしれませんが気になる
ところではあります。

先のことは予測ができませんけど、いつかまた同群のドデカい彗星
が現れてくれることを信じて、楽しみに待ちたいと思います。


1950年以降に出現のクロイツ群5彗星の位置関係(AstroArts社ステラナビゲータにて作成)
※上:1980/01/01
 下:2080/01/01(ATLAS彗星は生き残ったと仮定した場合の位置)


球状星団3態

2024-07-11 12:06:53 | 夜空のコラム

6/7(金)の深夜にCMOSカメラで3つの球状星団を撮影してました。それらの画像がこちら。


【 M4(さそり座)】

 


【 M5(へび座)】

 


【 M13(ヘルクレス座)】

共通撮影データは次のとおりです。
 ZWO ASI585MC+タカハシε-180EDC,F2.8,Gain60・180・300,STARRY NIGHTフィルター,
 総露出時間30分(各Gainで2分×5フレーム,全15フレーム加算コンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
 口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,静岡県西伊豆町にて

いずれもメシエ天体ということで比較的明るく、小型双眼鏡でも存在確認できる対象です。
Wikipedia(英語版)によると、それぞれの光度,視直径,集中度,地球からの距離は次のとおり。

 M4 :5.6等,26',Ⅸ, 6033光年
 M5 :5.6等,23',Ⅴ,24500光年
 M13:5.8等,20',Ⅴ,22200光年

3天体の光度はほぼ同じ。視直径は若干差があるようです。集中度は星の密集具合に関する分類で、
全部で12段階のクラス分けがあってローマ数字Ⅰ(最も密)~ⅩⅡ(最も疎)で表記されるのですが、
M5とM13が同じⅤ(概ね中程度)、比較的近距離にあるM4だけⅨ(疎らな方)となってます。
それらを踏まえて3画像をトリミングして横に並べると・・・

左からM4,M5,M13と並べてますが、相違が分かりやすいかと思います。
光度についてはデータ上で僅かに暗いM13が一番明るく写っている印象です。
実際に双眼鏡を使って眼視で見た際の印象もM13が最も見やすかったりします。
視直径はデータとは裏腹にM5が一番小さいような気がします。M4が大きいというのは頷けます。
集中度はM4がやはり明らかに疎らですね。M5とM13が同じⅤというのはちょっと微妙な感じです。

ちなみにM13は北天最美の球状星団と言われており、口径20cm以上の望遠鏡を用いて高倍率で見ると
無数の星が粒状に分解し、迫力のある見事な眺めを堪能できます。


秋の明け方に見られる光の帯の交差

2022-10-05 18:25:00 | 夜空のコラム

先週末に新潟県南部某所にてこんな写真を撮ったのでした。


【交差する黄道光と天の川】
 キヤノンEOS Ra + シグマ20mm F1.4DG HSM Art,F2.8,ISO6400,
 総露出時間4分(15秒×16コマ,Sequatorにて処理),三脚使用(固定撮影)

2つの光の帯が写ってますが、左側の方は黄道光ってヤツで、右側の方は天の川です。
天の川は銀河系の星々が渦を巻く円盤状になった姿を真横から見ているイメージに相当しますが、
この時期の明け方に見えるのは、銀河系中心方向とは反対の外縁に広がる低密度部分にあたるので、
かなり淡い光芒になります。
一方、黄道光は太陽系内に漂う小さなダストたちが太陽の光を散乱することで見えるものです。
地球から見た太陽の通り道(=黄道)に沿って見えることが黄道光と呼ばれる所以です。
これも非常に淡いので、市街光の少ない場所でないと観測/撮影が困難な光になります。
なお、ダストは主に小惑星同士の衝突で発生したり、彗星が撒き散らしたものと考えられていますが、
最近の研究によると火星が起源になっているとの説も出てきてます。
で、天文シミュレーションソフトで黄道と天の川の中心線を図示すると、
撮影時にはこんな風に交差していたのでした。


 AstroArts社ステラナビゲータにて作成(オレンジ色の線が黄道、緑色の線が天の川の中心線)

太陽系の惑星の軌道面は銀河系の渦巻きの回転面に対してかなり傾いていることになります。
で、今の時期ですと両者が交差する姿は、写真のとおりギリシャ文字のΛ(ラムダ)に似てる感じ。
漢字だと「入」っぽいでしょうか。
ちなみに、1か月前だと交差ポイントが少し低くてX字状、2か月前ならV字状に写ったはずです。
いずれそれらのシーンも撮ってみたいですねぇ。


JWSTの初観測画像発表

2022-07-12 22:01:01 | 夜空のコラム

昨年のクリスマスの日に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による初観測画像
日本時間で今日の6時に公開されました。JWSTはあのハッブル宇宙望遠鏡(HST)の後継機となりますが、
その主鏡の口径は約6.5mと巨大で、HSTと比べると面積比で7倍以上にもなります。
望遠鏡は口径が大きいほど集光力が上がるため、より暗い天体を捉えられるようになるだけでなく、
解像力も高くなります。今日公開された観測画像はその高性能を証明するものとなり、
早速HSTによる撮影画像との比較をまとめた動画がYouTubeに上がってましたので、貼っておきましょう。

いやぁ、歴然とした性能差に驚きました!
で、大きいことはイイことなんですけどね、小天体やスペースデブリの衝突リスクも大きくなるわけで、
実は既に数回の衝突に見舞われ、そのうちの1回は巨大主鏡を構成している18枚の鏡の中の1枚に当たって、
ちょっと心配なアクシデントも発生した模様ですが、幸い致命的な衝突にはならなかったとか。
今後十数年間に渡って様々な発見や成果が間違いなく目白押しになると期待されるので、
大きなトラブルが発生しないことを願ってやみません。


銀河系の中心付近を撮ってみたら・・・

2022-06-11 01:39:51 | 夜空のコラム

1か月ほど前に電波望遠鏡で銀河系中心部にあるブラックホールの姿を捉えたというニュースがありました。
ブラックホール自体は光るわけではないので、その周辺にあるガスなどが発する光が強い重力で曲げられて
できた「光子リング」を捉えたもので、「ブラックホールシャドウ」と呼ばれるイメージなのでした。
以前からその位置には「いて座A*」という電波源があることが知られていて、その実体がブラックホール
であることが確実視されていたそうです。
その銀河系中心部を普通のカメラレンズで撮影したのがコレです。


2015年4月 八千穂高原にて撮影した画像をトリミング

大雑把な写野はこんな感じ。


 AstroArts社ステラナビゲータによるシミュレーション

いて座A*は写野のほぼ真ん中に入っていることになるんですが、天の川の一際明るい部分からは
西にズレていて、むしろ黒っぽいエリアに位置しているんです。その部分は星が少ないわけではなくて、
濃い星間物質が遠くの星たちの光を遮って、暗く見えているに過ぎません。
実は先月、さらにクローズアップした画像を撮ったのでした。


 キヤノンEOS Ra+タカハシε-180EDC,F2.8,ISO1600,ASTRO LPR Type2フィルター,1.6倍クロップ,
 総露出時間48分(4分×12コマ,加算コンポジット),タカハシEM-200Temma2M赤道儀,
 口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド(ステラショット2使用),トリミングあり

いて座A*は写野内の右端寄りのエリアにあるんですが、その辺りは暗く沈んだ地味なイメージで、
銀河系中心部とは思えないほど華やかさに欠ける天域でした。
いて座A*は電波の帯域では明るいんでしょうけど、可視光域では目立った天体が写るようなことはなく、
またつまらぬものを撮ってしまったって感じです。
なお。撮影したのはこんなエリアです。


 AstroArts社ステラナビゲータによるシミュレーション

ちなみに、茶色の線は銀河座標系における緯度・経度線であり、その原点がいて座A*と一致していました。
当たり前と言えば当たり前のことか・・・


夜空に咲く薔薇 新旧画像比較

2019-12-04 23:33:09 | 夜空のコラム

働き方改革のお蔭で今月前半の有休消化を課せられてしまい、とりあえず今日休むことに。
そこで昨日、仕事を終えてから急遽☆撮り遠征を敢行しました。
行き先の選択肢が3箇所ほど浮かびましたが、好天が一番期待できると踏んだ伊豆稲取をチョイス。
ちょっと出遅れたため、現地到着は23時頃になってしまいました。
メインターゲットは彗星2つでしたが、彗星以外で唯一撮影した散光星雲の画像を先に紹介。


【ばら星雲 NGC2237】
 キヤノンEOS60Da+タカハシε-180EDC,F2.8,ISO800,
 総露出時間60分(6分×10コマ,加算平均コンポジット),
 タカハシEM-200Temma2M赤道儀,口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,
 トリミングあり,静岡県東伊豆町稲取にて

コイツを撮るのは2年ぶり。個人的に☆撮りを始める切っ掛けとなった想い入れの強い天体で、
1990年代にはコレをできるだけ綺麗に撮りたいという欲求に駆られていた時期がありました。
その頃はまだ銀塩フィルム全盛の時代で、一コマに数十分もの露出時間を掛けて撮っており、
先般、画像ファイルの整理をしていて、銀塩フィルムでのベストショットが見つかりました。


 キヤノンEF+ビクセンR200SS(初代コマコレクター付),F4,エクタクロームE200(+2増感),
 露出時間45分,タカハシEM-200赤道儀,口径65mmガイド鏡にて恒星オートガイド,
 ミノルタQuickScan35フィルムスキャナーにてPC取込み,長野県川上村にて1999年12月撮影

当時、赤い散光星雲(HⅡ領域)の描写力に定評のあったコダックのリバーサルフィルムを使って
45分露出で撮った画像です。使用望遠鏡は800mmの焦点距離で、35mm判で丁度よく収まるような
画角でした。現在使っている望遠鏡の焦点距離は500mmで、カメラはAPS-Cサイズのセンサーを
搭載しており、換算焦点距離は1.6倍になるため、偶然ですがほぼほぼ同じ写野となってます。
星雲の色合いは画像処理の仕方でも変わったりするんで、ちょっと比較し難いんですけどね、
濃淡の出方の違いなんかは歴然としていて、やはり隔世の感があります。

ところで、☆撮り屋の赤い星雲への憧れは、モノクロ銀塩フィルムの時代から既に始まっていて、
自分が知る範囲では1980年代以前にはコダックの103aEという長波長光が良く写るように作られた
天体撮影用フィルムとR64フィルターという約640nm以下の短波長光を通さないように設計された
シャープカットフィルターとの組み合わせで散光星雲撮影が盛んに行われてました。

半導体光センサー搭載カメラの時代になっても、その様なフィルターワークは通用するんですが、
カメラ自体に内蔵されているカラーバランス調整用のフィルターの特性で写り難くなっていては
あまり意味がなくて、天体撮影専用機などというニッチ市場向けモデルをメーカーが作ったり、
内蔵フィルター換装改造などというサービスを行うショップがあったりする訳です。
この分野だけはスマホの搭載カメラへの対応は難しいでしょうね。需要が考えられないですから。


ふたご座流星群の元となる天体を捉えた!

2017-12-12 22:00:00 | 夜空のコラム

今年もふたご座流星群の活動ピークがまもなくやってきます。
流星群は主に彗星が撒き散らしたダスト粒子の流れの中に地球が突っ込むことで
毎年決まった時期にまとまった数の流星が見られるという天文イベントです。
ふたご座流星群の場合、流星の元になるダスト粒子をばら撒いたのは小惑星登録番号3200番の
「ファエトン」という小天体であることが判明しています。
現在そのファエトンが地球に接近中ということで9日の宵に撮影してみました↓

ファエトン2017-12-09.jpg

 口径18cm写真撮影用反射望遠鏡+冷却CMOSカメラ(ZWO ASI1600MC-cool),F2.8,
 1分露光,中型赤道儀使用,朝霧アリーナにて

矢印の先にある小さな星がそれです。明るさは11等級台ということで、肉眼では見えません。
こんな小さな天体から年間最大の活動規模を誇る流星群が生み出されたとは信じがたいですね。
実はこの小惑星、昔は彗星だったと推定されていて、かつては彗星特有の尾をたなびかせていたと
考えられています。一般に彗星の尾は、本体から放出されたガス成分とダスト粒子から形成される
ということで、その昔ファエトンから放たれたダストの流れがたまたま地球軌道と交差していて、
12月中旬にその流れに地球が通過する時にたくさんの流星が見られるというのがふたご座流星群の
メカニズムになるわけです。
で、ファエトンも太陽系の一員ということで太陽を周回しているのですが、その軌道は楕円形で
最も太陽に近づくところは水星軌道の内側、一番離れるところは地球-太陽間の距離の2.4倍程度の
距離になります。その公転周期は1.4年と短く、頻繁に太陽最接近を繰り返してきたことにより、
物質を放出し尽くしてしまって、ある意味裸の状態になった彗星の成れの果てとも言うべき天体に
なったとされています。
流星群が見られるのは、地球軌道とファエトンの軌道が接近している証拠でもありますので、
ファエトン自体が地球に近づくこともあり、実はちょうど今月が接近時期にあたってました。
で、上の写真をファーストショットにして120コマの連写画像を比較明合成したのがこちら↓

ファエトンの軌跡2017-12-09.jpg

調べたら2時間ほどの短い間に、見掛け上でおおよそ満月の視半径ほど移動していることがわかり、
その軌跡が直線状に捉えられました。さすが接近しているだけのことはあります。
さらに同じ連写画像から動画も作ってみました↓

450倍速相当の動画になっており、実際の動きはもっと遅いので、誤解しないでくださいね。
あまりフォトジェニックな対象とは言い難いですけど、個人的には初めて撮った天体だったんで、
コレクションの一つに加えられただけで満足してます。
明日の夜は流れ星がお腹いっぱい見られることを願ってます。


丸くて古いヤツ 南北対決

2017-05-07 12:00:00 | 夜空のコラム

今年のGWは好天続きで、個人的には☆撮り三昧となりました。
彗星ばかり狙ってましたが、一般天体もいくつか撮ってます。
その中から球状星団(多数の古い恒星が球形に集まった星団)を2つ紹介しましょう。
まずは北天随一と言われるこの星団↓

m013_17.jpg

【M13(NGC6205)】
 総露出時間77.5分(露出8,4,2,1,0.5分の各5コマを加算合成),トリミングあり

ヘルクレス座にある天体です。Wikipediaによると明るさ5.8等、見掛けの大きさ(視直径)23'、
実直径145光年。日本では南中時にほぼ天頂まで昇り詰めるため観測条件が良く、
空の暗い所では肉眼で存在確認できたりします。

次に南天低くに見えるこの星団↓

n5139_17.jpg

【ω星団(NGC5139)】
 総露出時間36分(露出3分×12コマ 加算合成),トリミングあり

ケンタウルス座にある天体です。Wikipediaによると明るさ3.9等、見掛けの大きさ(視直径)36'、
実直径150光年。日本では南の超低空にしか見えないため観測条件が悪く、
空の暗い所でも肉眼での存在確認は困難です。

いずれの画像もトリミングしてますが、縮尺を合わせていますので、そのまま大きさの直接比較ができます。
露出時間はM13の方が長いんですが、明らかにω星団の方が大きいことが分かりますね。
視直径データでもM13の約1.5倍となっており、光度も断然明るいです。
ということで両者の対決はω星団の圧勝ですが、双眼鏡や望遠鏡を使った眼視観測では
M13の方が圧倒的に良く見えます。理由は単純で、南中高度が低いと大気による減光や光害の影響を
受けやすく、ω星団の観測条件が不利なためです。
ω星団はオーストラリアやニュージーランドとかでいつか見てみたいものです。

なお、共通撮影データは次のとおり。
 キヤノンEOS60Da+口径18cm写真撮影用反射望遠鏡,ISO800,F2.8,中型赤道儀使用,
 長野県富士見高原にて5/2未明撮影


グリーゼ581を撮ってみたら・・・

2016-06-05 16:00:00 | 夜空のコラム

太陽系から89番目に近い恒星であるグリーゼ581とやらを撮ってみた画像がこちら↓

グリーゼ581.jpg

 キヤノンEOS60Da+口径18cm写真撮影用反射望遠鏡,ISO800,F2.8,
 総露出時間20分(2分×10コマ),中型赤道儀使用,長野県富士見高原にて5/2未明撮影
 トリミングあり

中央に写っているのがそれで、てんびん座の方向にある光度10.5等ほどの暗めの星です。
ハッブル宇宙望遠鏡の観測支援用のガイド星星表ではGSC5594:593と番号登録されてます。
上の画像のとおり、アマチュアの望遠鏡で撮影しても面白くもなんともない天体であって、
見た目はごく普通の星なんですが、数個の惑星が見つかったことで有名になりました。

ところでこの星、2013年放送のアニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」の第8話に登場しました。
ガミラスのデスラー総統自らのアイデアで送り込まれた生物化学兵器「ガス生命体」が
後方からヤマトを襲うと、沖田艦長は前方にあるグリーゼ581へ向かって進むよう指示。
その結果、追いかけてきたガス生命体はこの星によって焼き尽くされることになりました。
それでヤマトは助かったと思いきや、グリーゼ581の表面から大きなフレアが吹き上がって
前方に立ちはだかります。避け切れないと判断した艦長は波動砲でフレアを撃つよう命じ、
その一撃で形成された開口部を突破することで難を逃れるのでした。

そんなシナリオからすると巨大な恒星という印象を持ちますが、実際には太陽より小さい
赤色矮星であって表面温度は低く、光エネルギー放射の弱い穏やかな星だったりします。
但し、活発なフレア活動を示す一面もあり、その点は物語の設定に生かされている感じです。

さて、この星系に見つかっている惑星には地球型惑星があり、主星からの距離によっては
水が液体状態で存在可能な表面温度になっていると推定されるものもあるとか。
となると、生命の存在も期待されますが、今のところその確証は得られていないようです。


天空のクリスマスツリー

2013-12-24 18:50:00 | 夜空のコラム

皆さんMerry Christmas !
聖夜にちなんで、こんな画像を用意しました↓

クリスマスツリー星団.jpg

【クリスマスツリー星団】
 キヤノンEOS60Da+口径18cm写真撮影用反射望遠鏡,ISO800,F2.8,
 総露出時間80分(8分露出×10),中型赤道儀使用,トリミングあり
 山梨県北杜市明野町にて12/8未明撮影
 ※下が北方向です。

コイツはいっかくじゅう座にある天体です。
細めの三角形の星の並びがツリーを連想させることから名付けられたらしいんですが、
バックにある星雲(NGC2264という天体)も、それっぽくてイイ感じです。
緑色じゃないのが残念ですが・・・
テッペンの暗黒星雲の切れ込みは「コーン星雲」と呼ばれてますけど、
この向きの画像だと海の妖精「クリオネ」の頭っぽいです。