この時期にしては見えてる方かも↓
この後すぐに雲隠れ状態になりました。
これが最終編です。
さて、連続撮影のスタートは中望遠の方が先になります。
タイマーリモコンを使って、30秒のインターバルで連写していき、
後で5分とか3分とかの間隔で撮られた画像を選んで合成しようという魂胆です。
しかもオートブラケッティング(AEB)機能併用で、時間が来るとほぼ適正露出と
アンダー気味とオーバー気味の3画像をまとめて撮ってくれます。
これも良さげな写りの画像を後で選ぶことを考えてのことでした。
構図を決め、6:59から本番撮影を開始。30秒ごとにカシャッカシャッカシャッと
3回のシャッター音が鳴り響きます。この時点では特に問題は無さそうでしたが、
結論を先に言うと、失敗が待っていました(それについては後述します)。
一方、超望遠の方は6:20から10分間隔で順調に部分食を撮り続けてます。
こちらもカメラにタイマーリモコンを装着してますが、部分食撮影は時計を見ながら
マニュアルでリモコンのレリーズを押してました。こちらもAEB機能を働かせてます。
なお、部分食については常にフレームの真ん中に太陽像を据えて撮りたいので、
赤道儀のモーターをONにして追尾状態にしてました。夜のうちに正確な極軸合わせが
できたことが効いて、画角中央からほとんどズレずに7:20まで間欠撮影を続行。
その後はリハーサルでやったフレーム対角線上に太陽像が並ぶ連続写真を撮るための
構図合わせをきっちりやって、ハイライトとなる金環食前後の撮影に臨みます。
この地での食の最大の予報時刻は、事前計算により7:34:14と分かってましたので、
その6分前の7:28:14から10秒のインターバルで連写を開始。
赤道儀のモーターは連写スタートの直前にOFFしました。
ふと周囲を見渡すと、大分暗くなったのが分かります。えっ、もう夕方?みたいな。
空は晴れ渡って、雲が日差しを遮っているわけでもなく、ちょっと不思議な感覚。
気温も結構下がったように感じました。寒暖計があれば何度下がったか分かったかも。
そして7:33ぐらいからついに金環状態に突入。撮影はリモコン+カメラに全て任せて、
双眼鏡での観望に集中します。金環食帯の北限に近い場所なので、リングは同心円に
なりませんが、その代り月が太陽と内接した際に現れる「ベイリービーズ」が
見やすかったようで、その数珠つなぎになった「木漏れ日」ならぬ「月漏れ日」の
変化する様がよーく見えて感動しました。以前に見た皆既日食に比べれば大したことは
ないだろうと考えてたんですけど、これが意外と面白くて、動画撮影機材も用意すれば
さぞかし興味深い映像が残せたんだろうなぁーと思いました。
金環状態の継続時間は、金環食帯の北限に近い場所ということで、短めの約3分でした。
終ってしまうとアッという間の出来事って感じで、すぐ「裏Cの字」になってしまいました。
で、超望遠では写野フレームにかかって像が切れたところで一旦撮影を中断。
その後、再び赤道儀のモーターをONにし、写野中心に太陽像を据えた状態で10分間隔で
各食分の撮影を続けました。その結果は過去の記事にまとめたとおりです。
ついでに超望遠にて10秒間隔で撮った全てのコマを使って、動画も作成してみました↓
元画像は僅か72コマで、各コマの画像間でクロスフェードを掛けて作ったナンチャッテ系の
擬似動画ですけど、意外とそれらしい動きでびっくり! ちなみに11倍速相当になります。
一方、中望遠で連写を続けていたカメラも順調に撮影できていると思って様子をみたら、
なんと・・・・・止まってました。理由はメモリーカードが容量いっぱいになったためでした。
高画質で撮影しようと考えてRawモードに設定したことで、1コマのファイルサイズが
結構大きくなってしまい、撮影可能枚数が少なくなってしまったようです。
土曜日朝の最終リハーサルではJPEGモードでやっていたので容量の問題はなく、
撮影画像は太陽像以外真っ黒なので、Rawモードでもファイルサイズが大きくなることは
ないだろうと考えてたのが間違いでした。
ということで、尻切れ状態ですが、撮れたとこまで合成したのがこちら↓
キヤノンEOS Kiss Digital X+28-75mmズーム(@75mm F8)+ND10000×ND8フィルター,
ISO100 露出1/250秒で撮った9コマをPhotoshopCS3にて比較明合成
金環状態終了以降まで一応撮れてたのは不幸中の幸いですけど、
まとめると対称性のある画像になるはずだっただけに残念無念。んー、一生の不覚だぁ!
1分間隔で撮影してたら・・・とも思います。諸々欲をかいたのがいけませんでしたね。
そんな失敗もあったものの、まぁ雲に邪魔されずに撮影・観望ができてホッとしました。
9時過ぎに機材を撤収し、現地をあとにしましたが、帰る途中で八ヶ岳連峰がよーく見える
場所があったので、ちょこっと立ち寄って撮影してみました。その画像がこちら↓
雲だらけの状況からよくここまで天気が回復したもんだと、あらためて思うのでした。
めでたし、めでたし~。
前回からの続編です。
さあ、あとはその時を待つばかりという状況の中、空模様によっては機材を速攻でたたみ、
さらに移動することも少しだけ頭をよぎりました。
というのも、時間の経過とともに上空の雲が増えだしたからです。
4時近くになると東の空が白み始め、太陽が昇ってくるその方向には
依然として雲が蔓延っています。しかも厚さを増しているような雰囲気。
ここにいて大丈夫なのか? でも、これから移動して、わざわざ雲の多い所へ
行ってしまったなんてこともありそうな話(今まさにその状況かもしれませんが・・・)。
そもそも他にどこへ行ったらいいのやら? 蓼科? 美ヶ原? 松本? 高遠?・・・
あれこれ悩んでいるうちに、日の出の時間になってしまいました。
もはやこの地で心中するしかないと神妙な気持ちになり、
もう運を天に任せようということで、最終的な覚悟を決めました。
しばらくして太陽が姿を見せ始めました↓
こんなに雲が多い状態ですから、こりゃもう雲越しで適当に撮っていくしかなさそうです。
計画していた連続写真はどうも無理みたい。周到なリハーサルまでやったのになぁ。
減光フィルターさえ不要になるかも? もうこれ以上雲が増えないことを願いつつ、
正反対の西天に目をやると、皮肉なことに青空が見えてます。なんだかなぁー。
ってゆーか、コレってまだ晴れる可能性が残されてるんじゃないの?
微かな期待を胸に、もう一台のカメラ+普通の三脚もセッティング。
で、待つこと1時間。なんと雲が消え始め、晴れる兆しが・・・
空を見上げると薄くなった雲の一部が虹色に見えてました↓
「彩雲」ってヤツかと思ったら、弧を描いているんで、どうやら「環天頂アーク」と
呼ばれる珍現象のようです(後で調べたら、これを見ると幸運に恵まれるとか)。
その薄雲もしばらくするとなくなって、西からどんどん青空が押し寄せてきます。
太陽の高度も上がり、東の低空でミルフィーユのように重なる雲の層を越えて、
晴天エリア近くまで昇ってきました。いやー、これは移動しないで正解だったかも!
こうなるとテンションも急上昇です。慌てず急いで観望機材の準備も開始。
ソーラーフィルターを装着した防振双眼鏡で太陽を覗き、黒点群を3つほど確認。
「オマエらが後で月に食われていくのをしっかり見てやるぜぇ。ワイルドだろ~!」
あのスギちゃんが天文ファンだったら、そんな発言をしたかも? などと
くだらんことを考えながら、撮影時の露出条件の検討に入ります。
メインの超望遠レンズ付きカメラは、絞りF8,シャッター速度は1/1600秒中心で
オートブラケッティング機能により±2/3段の露出倍数で三連写できるように設定。
その試し撮りの結果がこちら↓
まだ雲の影響が若干ありますけど、太陽像のエッジはぼやけることなく写ってます。
夜明け頃の絶望的な状況を考えれば、これでも十分って感触です。
ピントはオートフォーカスで一度合わせたら、そのままマニュアルに切換えて
あとは一切フォーカスリングを弄らないことにしました。
ちなみに使用機材はこんなのです↓
さらに中望遠レンズを装着したサブカメラの方も、試写して諸々の条件出しを完了。
それとSPF50+のUVクリームを顔と首筋に塗り、日焼け対策までバッチリ!(←結構大事)
で、6時台突入。太陽はさらに高く昇り、完全にクリアな青空エリアに入りました。
そして6:20、世紀の天体ショーが開幕! こんなに好天になるとは、まるで夢のよう。
超望遠で10分ごとの撮影を始め、同時進行で中望遠での本番撮影の最終準備を整えます。
さらには双眼鏡でちょこちょこ観望と、慌しくなってきました。
(つづく)
月曜日の金環日食が見えていた時間帯に放送中の民放TV番組を2本録画してまして、
それらを今ごろになって見てみました。結構盛り上がってたんですねー。
都心では意外と雲越しに見えたようで、ちょっと驚きました。
その一方で富士山頂からの撮影を狙っていたP社の部隊は厚い雲に阻まれたらしく、
残念な結果となりました。日本最高地点なら晴れると期待してたんですけどねぇ。
個人的には撮影候補地として富士山須走口五合目も考えていたんですが、
ネット上で調べると、どうやら日食の時間帯は雨降りだったみたいです。
熱心な天文ファンの中には、晴れ間を求めて出掛けた人も多かったと思いますけど、
気まぐれな天候に翻弄されて、悲喜交々って感じだったのではないでしょうか。
実はfornax8も、どこで見るかギリギリまで悩みました。
20日夜におけるGPV予報では、朝7時の雲量分布予想はこんな状況でした↓
精度が疑わしいものの、埼玉北部,群馬南部,山梨北部付近で晴れ間が出るとの予想。
一方、通常のメッシュ予報では群馬・栃木両県の北部や長野全域で晴れる予報↓
んー、両者を比較すると、ちょっと相反する予想になってる気もします。
でもまぁ、総合的にみると、北へ向かうのが吉というのは確かな感じ。
ということで、とりあえず関越道で群馬県の藤岡あたりまで行ってみて、
空模様を見ながら、その近辺で適地を探すか、もしくはさらに北か、あるいは西か東か、
最終的に向かう方向を決めようと考えて、20日の23時半ごろに出撃しました。
で、25時過ぎに藤岡JCTから上信越道に入った先にある甘楽PAに到着。
某天気予報サイトAによると、この時間帯は既に晴れてるはず↓
でも実際に夜空を見上げても星など全く見えず、ベタ曇りという状況でした。
別な天気予報サイトBでは曇りの予想↓
どうやらこっちの方が信頼性が高そう。
そこで予報サイトBを信じて、日食の時間帯に晴天が予想される場所を調べたところ、
西の方が晴れる可能性が高いらしいので、そのまま上信越道で長野方面へ向かいました。
すると横川SAの辺りから星がちらほら見え始め、さらに西の空には大きな晴天域が
広がっている模様。これは期待できると思い、迷うことなく西へクルマを飛ばします。
そういえば、この先の東御~上田付近に金環食の北限界線が通っていたような・・・
佐久平PAで再び休憩したところで確認してみると、こういうことでした↓
(青い線が北限界線)
こりゃスリリングな「かすり日食」狙いかぁー、などと考えたものの土地勘が全く無く、
時間は十分にあるとはいえ、これから適地を探すのはちょっとリスクが大きい気もします。
そこで思い浮かんだのが、以前から星撮りでも馴染みのある八千穂高原でした。
そこなら佐久ICで上信越道を降りて1時間もかからないので、まずは行ってみることに。
現地到着は26時半ぐらい。雲量は多めでしたが、南西の空には天の川が覗いてます。
東は雲がびっしり。でも、西から天気が変わっていくとすれば、これから晴れる可能性は
十分にあると踏んで、ここに陣を張ろうと決意。それが吉と出るか凶と出るか、
微妙な空模様の中、超望遠レンズ用の架台として積込んできた赤道儀を組上げました。
その時点では北極星も見えており、正確な極軸合せも可能という美味しい状況で、
メインの撮影機材での迎撃準備が整いました。これでほぼ腹をくくった格好です。
(つづく)
昨日は金環状態前後のハイライト画像をアップしましたが、
撮影はそれだけでなく、欠け始めから食の終了まで続けてました。
部分食はあまり興味がなかったんですが、一応撮ったので、
一連の画像を時系列順に並べてみました↓
キヤノンEOS Kiss Digital X+400mm超望遠(F8)+ND100000フィルター,
ISO100 露出1/1600秒 15コマをPhotoshopCS3にて時系列で並べて合成
※画像クリックで拡大
各食分の太陽像の下に撮影時刻を入れてあります。
見掛け上、太陽の右上から欠け始め、徐々に光球の面積が小さくなっていき、
7:34過ぎに食の最大を迎え、その後は太陽の左下側に月が移動していって、
徐々に復円していったのが分かると思います。
400mm超望遠レンズで撮った食の最大時とその前後の連写画像をまとめました。
仕上がった画像がこちら↓
キヤノンEOS Kiss Digital X+400mm超望遠(F8)+ND100000フィルター,
ISO100 露出1/1600秒 インターバル3分で撮った5コマをPhotoshopCS3にて比較明合成
何度かリハーサルをやっていた甲斐があり、予定通りの撮影ができました。
日食中心線に近い所で撮ったら、シンメトリックなイメージになったはずですが、
撮影地が金環食帯の北限に近かったので、アシンメトリックな画像になったのが残念。
まぁ、雲に全く邪魔されずに撮れただけでも御の字かな。
昼ごろに長野県某所より帰還しました。
取り急ぎ1枚モノを公開↓
下端に月面の凹凸による「ベイリービーズ」らしきものが写ってます。
コマ数は撮りも撮ったり全部で400以上! これからゆっくり処理する予定です。
乞うご期待!
本番まであと2日と迫った今朝、最後の撮影リハーサルを実施しました。
今回は撮影候補地(横浜市某所)の一つに出向き、
当日の金環食の時間にピッタリ合わせて試写。
しかもカメラは2台体制です。
1台は前回のリハーサルと同様、新調した三脚に載せて75mmレンズで撮影。
5分間隔で連写した15コマを合成した画像がこちら↓
キヤノンEOS Kiss Digital X+28-75mmズーム(@75mm F8)+ND10000×ND8フィルター,
ISO100 露出1/500秒で撮った15コマをPhotoshopCS3にて比較明合成
迎撃準備(10)の記事で、フレーミング方法についてごちゃごちゃ書きましたけど、
構図決めは意外にも簡単で、雲台の水準器を見ながらカメラを真横にして水平出しし、
あとは縦方向のアングルと横方向の回転だけでフレームの左下隅に太陽像を入れたら
うまく対角線上に並んでくれました。どうやら難しく考えることはないようです。
もう1台は赤道儀に載せて400mmレンズで撮影。
3分間隔で連写した5コマを合成した画像がこちら↓
キヤノンEOS Kiss Digital X+400mm超望遠(F8)+ND100000フィルター,
ISO100 露出1/2000秒で撮った5コマをPhotoshopCS3にて比較明合成
これまでのリハーサルでも把握していたとおり、5つ並べるとフレームギリギリです。
そこで今回は、日周運動による太陽の移動方向が掴みやすい赤道儀に載せたところ、
構図が決めやすくなり、満足いく結果が得られました。
なお、連続撮影に入る直前に赤道儀の天体追尾モーターはOFFにします。
それから、露出条件は一つだけだと像が暗かったり、白飛びする可能性もあるので、
カメラのオートブラケッティング機能を利用することにより、1回のレリーズで3段階の
シャッター速度でまとめて撮れるようにし、後で最適画像を選ぶことにしました。
コマ数は75mmレンズの場合は15×3=45コマ、400mmでは5×3=15コマとなり、
それほど多くはないので、メモリー不足になる心配はなさそうです。
さて、これでもう準備万端って感じですが、問題はやはり天気。
どこが晴れるのか、見極めるのが難しそう・・・