夏も終わり。。。

2020-09-20 08:04:53 | 日記
夏も終わりそうですね。。。

涼しいのはありがたいですが、

最近は、一気に暑くなったり寒くなったり、私が子供の頃のような秋らしい時期や春らしい時期の期間が少なくなった気がします。…寂しいですね。




だけど、もう少し夏を楽しみたいと思います。

次回ももう少しコワイ話しを紹介しますね。

候補者23

2020-09-19 08:17:10 | 日記
微かに線香のにおいがする中、見えてきた景色は、着物ハンガーに掛かった、黒い着物。

線香のにおいもその着物からする。

あとは、何もない…。

暗闇に浮かぶ着物を見ていると、袖に腕が通り、前を合わせて…と、誰かが着物の中に入り込み、膨らみ…、今にも動きだしそうに見えた。

もう、これ以上ここに居るのはやめよう。

着物に背中を向けた瞬間、

ささー…と、衣擦れの音がして、線香のにおいが強くなった。

誰か居る…💦

あわてて部屋を抜け出し、部屋へ戻った。


翌日、義母が屋敷のたくさんある窓やガラス戸を拭くと言うので、手伝いをした。

部屋も多いので、さすがに大変だ。

…例の部屋の前に来た…。

「お義母さん、この部屋は…」

「あ、美枝さんがはじめて来た日に泊まった部屋?」

「そのもうひとつ奥の部屋…」

「何もない部屋でしょ。」

…着物がありしました。とは、言えなかった。こっそり入り込んだのがバレてしまう。

「その部屋は、去年まで仏間だったの。ある人に見て貰ったら、あの部屋を仏間にしておくと、子孫に恵まれない…って言われたから、私たちの寝室の隣に移したの。孫も出来たし、あなたも立派にここの嫁。後でご先祖様に挨拶してね」


美枝さんは、挨拶のため、義母と二人で、新しい仏間に入った。

ご先祖様の写真が鴨居に何枚も奉られている。

そして、ここにも着物が掛けられていた。

…そうか、はじめて泊まった部屋の隣には、ご先祖様の写真がこんな風に奉られていたんだ…。
あの日、私の布団のまわりを歩いたのは、このご先祖様たちだろうか…。

「この、着物は?」

「私の着物。先祖代々、この家の嫁になると、この家の家紋の着物をもらうの。美枝さんにも着物を用意してますよ。」

…元の仏間の着物は、ひとつ前の"嫁"お祖母さんのもの?

「ひとつ前の嫁…、私の姑の着物も飾られていたんだけどね…。前の仏間にまだあるよ。」

…心を読まれたかな?💦

「私は、ここに写真を飾らないでね」

義母はニコッと笑った。

「え?飾らないんですか?」

「もう、そんな時代じゃないよね。もうひとつ前の姑は、写真嫌いで、ここにいないの。だから着物を飾ったの。」

「…そうなんですか…」

「私の時も、飾るのは着物でいいよ。私も写真は苦手。それに、着物を飾る部屋は、前の仏間で。前の姑は、随分嫁姑で苦労したみたいだから、ご先祖様と一緒に飾らないで欲しいと言われてたの。私は、姑に可愛がられてたから、そっちがいいな。」

…いろいろあるんだ…。

「午後には、カーテンを洗うの手伝ってね」

そして、また、たくさんのカーテンを外して、洗うのを手伝った。

「本当に大変だから、手伝ってくれる美枝さんが来たときにやろうと思ってたの」

「もっと手伝いますから、言ってください」

「ありがとう。いい嫁で良かった。美枝さんが嫁に来るのを嫌がったらどうしよう…と、心配だったの」

「そんなことありませんよ」

「…あるのよ。」

義母の顔が急に緊張した顔になった。

「あなたがはじめて泊まった晩…、大変な目にあったでしょ…」

「…え?」

「だいたいあれで、破談になるの」

「………」

「そりゃそうだよね…、あんな怖い思いしてまで嫁に来る人はいないよね」

「お義母さんも…ですか?」

「そう…。私の姑もそうだった…らしい」

「そ、そうなんですか…💦💦」

「いろいろあっても、ここへ来てくれて、ありがとうね」

そして、美枝さんは、その後、二人目にも恵まれて、穏やかに暮らしてますが、写真嫌いになったそうです。

候補者22

2020-09-18 08:46:14 | 日記
あの日、泊まった、怖い部屋にきた。

暗闇の中、雲の間から、すぅーと、月明かりが射した。

歓迎されているんだろうか?

深呼吸をして、例の部屋の扉に手を掛けた。


月明かりが差し込んで部屋の中が見える。

深夜に忍び込んで電灯を点けるわけにはいかない。

月明かりで充分だ。

少しカビくさかった。

あれ以来、この部屋を使ってないんじゃないか…と思われる。

殺風景で何もなく、あの日と何も変わりない。

こそこそと、皆が寝静まった部屋に忍び込むとは、何と思われるか…。

もうやめよう。

部屋を出ようとした時、

『ギシッ…』

襖を隔てた隣の部屋からだ。

…そう言えば、謎の何者かは、襖を開けて、隣の部屋から入ってきた…。

美枝さんは、襖に手を掛けた。

すーっ。

音もなく開くと、月明かりは届かず、漆黒の暗闇だ。

そして、さらにカビ臭さが強くなる。

…ん?

カビ臭さの中に線香のにおいがする。

目が馴染んできて、暗闇の部屋の様子が見えてきた。

候補者21

2020-09-17 07:28:55 | 日記
その夜は、敬さんと、赤ちゃんと、3人で就寝。

赤ちゃんがグズりだして、夜中に起きた。

夜泣きもしないいい子だが、それでも、夜中に一度は起こされる。

オムツを替えて、ミルクをあげて!

これで、安心して寝れる。

おそらくこれで、朝までぐっすり寝てくれるだろう…。

敬さんは、久しぶりにお酒を飲んだせいで、寝返りもうたないほど、深い眠りの中だ。


トイレ…。

この屋敷のトイレは苦手だ。

昔ならではの造りの屋敷なので、トイレは家の一番外れだ…。

昔ならではの住まいは、トイレは不浄のものとして、家の外にあったり、離れにあったりする。

この家は、離れ…というほどでもないが、建物の一番隅…、皆が休む部屋からは離れている。


春だというのに、寒い…。


トイレを済ませて部屋に戻った…つもりだった…。

あれ?💦

なんと、はじめて泊まった時の、あの怖い思いをした部屋の前に来ていた。


…寝ぼけてるのかな?💦

いくら大きな家とは言え、家の中で迷うとは💦💦

戻らないと💦

…と、思ったが、

なぜか、あの日に泊まった部屋が気になった。

時間帯も、あの怖い思いをした時間帯だ…。

暗闇の中、そっと例の部屋の扉に手を掛けた。


候補者20

2020-09-16 07:24:59 | 日記
あらためて、嫁として、守り神である神様が奉られている祠への挨拶をすませた。

しばらくぶりに訪れると、静まり返える沼には、沼の主には少し小さいと思われる魚が泳いでいる。

今思うと、あの日の怖い出来事は夢だったんじゃないかと思う。

祠の周囲は、あの時と空気も違うと感じるくらいに、清々しい。



「ギシ……」

…え?

例の音だ。


祠から母屋に戻ろうとしたとき、突然、樹木が軋む音が聞こえた。


……気のせい?


「ギシ……ギシ……」


気のせいじゃない。


祠から聞こえてくる。

この『ギシ…ギシ…』から始まった恐怖…。

この音は、家の中にまで入ってきた💦💦

…ダメだ💦💦

もしも、祠からの音であっても、それを確認したくない。

嫁となって、これからこの祠を奉っていかなければならないだろう…。

だから、この音の出どころの確認したくはない。

聞こえなかったふりをして、急いで母屋に戻った。




「ミルク、必要なら言ってね。オムツは買ってあるからね」

お義母さんは孫のことを一番に考えて、いろいろ準備をしてくれていた。

今夜泊まる部屋は、広々としていて、襖を開けて隣の部屋まで使っていいと言われている。

襖を開けると、さらに広々とした部屋だ。

とにかく、今日は敬さんも一緒だし、穏やかに眠れそうだ…。