よしもとばなな:著 新潮文庫
1999年から2005年まで著者が沖縄に通った旅行記です。
今の日本人は、なにか変だ。と感じている著者が、初めて行った沖縄でマブイグミの話を聞きます。
沖縄では、びっくりしたときやショックを受けた時に、マブイ(魂)を落っことすと言われています。落っことしたものは拾わなくてはならないのですが、その拾うための作業をマブイグミと言います。マブイはひとつではないので、拾わなくてもすぐに死ぬようなことはないのですが、ほおっておくと段々精気がなくなって、影が薄くなり、早く死に至るようになるらしいです。
若い頃に東京に住んだことのある沖縄人に「ヤマトにはマブイの抜けた人がいっぱいいて驚いた」と聞いた著者は、「それだ!」と思います。お台場で、渋谷で、電車の中で、店員さんにもよく感じるあの感じ、人間と向き合っているのに、誰もいないような感じは、それなんだ、と思います。
それは、なんくるなく、ない状態じゃない?
(「なんくるない」とは、たいしたことじゃないよ、とか、どうにかなるさ、という意味の沖縄語です。)
垂水健吾氏撮影の心に迫る写真も多く挿入されています。これで590円は安い。
東京育ちとして弁解させてもらうと、マブイのひとつふたつ落っことさないと、東京でやっていくのは難しいのです。ホリエモンやムラカミさんは、5つくらい落としちゃったのかな。今から拾えば間に合う、かも。
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