琉球布紀行 澤地久枝:著 新潮文庫
首里の紅型・読谷山花織・奄美大島紬・久米島紬・宮古上布・喜如嘉の芭蕉布・八重山上布・琉球藍・与那国織・琉球絣・首里織。
沖縄に住み、琉球大学で戦後史の聴講をする著者が、ちょっとしたきっかけから琉球の布の取材を始める。著者はあとがきで「これほど困難な道程と知っていれば、おそらく私は手をつけなかった」と書いています。
私がこの本を読んでいて感じたことも、たかが布なのに、なぜこんなに深いのだろう、ということです。それはたぶん一枚の布から、その作り手、その人の歴史、その布の歴史、沖縄の女性の歴史へと繋がっていくから。
戦後、全てが消滅した中から「琉球の布」を復活させていった大城志津子の章は、涙が止まりませんでした。1989年になくなった志津子の思い出を語ろうとする教え子が「先生は・・・」と言ったきり絶句し、涙が頬を伝わるまま黙していた、という著述が多くを語っていると思います。
著者は「琉球の布は、もっと愛されるべき」だと書いています。
それは、物を使い捨てることに慣れてしまった私達に、高価でも価値があるものを長く大事に使うという価値観の転換(回帰?)が必要だということではないでしょうか。
沖縄の染織 芭蕉布制作風景(
動画)
喜如嘉芭蕉布事業協同組合 沖縄県大宜味村字喜如嘉1103
読谷山花織事業協同組合 沖縄県中頭郡読谷村字座喜味2974-2
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