郷秋<Gauche>の「写真撮影ワインポイント・アドバイス」

 28日に掲載いたしました、山百合の写真について、「夜、ストロボを使って撮ったのですか?」というお尋ねのDMを頂きましたのでご参考までに、少しだけ解説いたします。

 撮影は昼間です。ストロボも使っていません。日差しが一番強い午後1時頃の撮影です。種明かしと言うほどの事もなく、実は簡単。バックに暗いものを持ってくるだけのことなのです。

 28日に掲載しました山百合の写真について云えば、モデル(主役)の山百合は陽の光の当たる場所にすっくと立っています。その山百合の周りを360度ぐるりと回り、山百合の向こうに暗い物あるいは暗い部分がないかを探します。

 この写真の場合は、陽の当っていない、森が暗い部分としてありました。暗い森をバックにして、その前に山百合を立たせます。というか、山百合の向こうに暗い森がバックに来る位置に自分が立ちレンズを向けます。絞り優先の自動露出にセット。露出はオート状態、マイナス1から1.3くらいの露出補正をセットします。

 そして、静かにシャッターボタンを押し込みます。モデルとなる山百合に対してほぼ適正露出となると、バックの暗い森に対しては大幅なアンダー(露出不足)となります。つまり、森が黒く写るわけです。

 このように、暗めのバックを選び、更にマイナスの露出補正をすることで、黒バックの写真を撮る事ができます。補正量をどのくらいするのかは、勘と経験がものを言いますが、デジタルカメラの場合にはすぐに確認できますから便利です。マイナス1.0くらいから始めて2.0くらいまにセットして何枚か撮り、その中から主役が適正露出でかつバックが黒く落ちたものを選んでプリント(利用)します。

 「露出補正を制する者は写真を制する」と言うくらい露出補正は重要かつ効果的なテクニックです。さぁ、あなたも露出補正をマスターして、ひと味違った写真をモノにしましょう!


 今日の一枚は、上でご説明したテクニックで撮った、臭木(くさぎ)の花。気の毒な名前は、葉を千切った時の匂いから。
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