不思議な位置にあるシャッターボタン


 昨日に続いてニコンFフォトミックFTnのお話しです。上の写真をご覧になられて何か気が付くことはありますでしょうか。

 当たりまえの話ではありますが、現代のデジタルSLRにはない、フィルムの巻き上げレバーがあります。そのレバーにプラスチックの指当てカバーが付いていませんので、Fの中でも古いモデルである事が判りますが、ここは、シャッターボタンの位置に注目頂きたいのです。

 シャッターボタンが、撮影者寄りにあるのにお気づきでしょうか。人の手指の構造からは、刻印されたNikonの「o」辺りにあるべきシャッターボタンが随分と後ろ、つまり撮影者側にあります。このカメラを初めて使う方は、いざ撮る段になって、あるべき場所に内シャッターボタンがない事に気づいて戸惑われることでしょう。

 「F」の設計に当たり、既存のSPの資産を有効活用する前提条件があったため、その方針に従って設計した結果、巻き上げレバーとシャッタースピードダイヤルそしてシャッターボタンの位置はSPと同じものとなったのでしたが、ならば何故、SPのシャッターボタンが人間工学的に不自然な位置にあったのかについて書かれた文献は、少なくとも郷秋<Gauche>は知りません。さすがに使いずらいために、12年後に登場したF2では、あるべき位置に移されております。

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