どうする、SUZUKI

 2009年にVWと資本・業務提携したSUZUKIだが、VWの経営への介入姿勢が当初の予想を大きく上回り、独立性を脅かされることを懸念したSUZUKIは予てより国際商業会議所国際仲裁裁判所にVWとの資本・業務提携の解消を訴えていた。4年の年月を経てようやくこれが認められSUZUKIは近くVWが所有するSUZUKI株を全て買い戻し独立を回復することになる。

 VWは2010年にSUZUKI株1億1,161万株(19.9%)を約2,288億円で取得していたが、現在の市場価格は4,600億程度と云われており、VWは労せずして2,312億円の利益を得ることになる。しかし、トヨタと世界一の座を争うVWとしては、わずか1/8の規模の日本の「中小企業」に大いに恥をかかされたことになる。まぁ、SUZUKIとしても随分と高い授業料を払う事になる訳だが。

 さて、そのSUZUKI、これからどうする。これからの自動車産業は省燃費エンジンの開発、更には電気自動車や燃料電池車、自動運転化とこれまでとは比べものにはならないほど開発費用がかかるために、世界中の自動車メーカーは、なりふり構わぬ程の勢いで資本提携、技術・業務提携を繰り広げている。勿論VWとSUZUKIの提携もその一つであったはずなのだが、結局は上手く行かなかった。

 日本国内においては軽自動車のトップを常に争い、発展途上国に強く特にインドのマーケットでは50%のシェアを持つとは云っても、日本の中小企業が世界においても中小企業であることに変りはない。あのホンダでさえGMと業務提携したのだから、SUZUKIがこれからも独立独歩でやって行けるとはとても思えない。

 しかし、視点を変えれば「わずか」4,600億で、超小型車においては優れた技術を持つメーカーを買う事が出来るとすれば、これは良い買い物かもしれない。トヨタ、日産-ルノー、プジョー-シトロエン、フィアットなどがSUZUKI争奪戦を繰り広げることになるかも知れない。SUZUKIの独立性を認めながら美味しい所を取り合うと云う意味では、スバルで味を占めたトヨタが、真っ先に二匹目のドジョウを狙いにくるような気がする。

 中国の企業なんぞに買われることを考えれば、トヨタ傘下に入り、スバルがそうであるように一定の独立性を保ちながら、互いの持ち味を生かして行くのが良いように思えるが、どうするかは鈴木修会長の考え次第と云う事になるのかな。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、信州・安曇野の蕎麦の花。

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