デジタルカメラ不振、もしくはフィルム時代への回帰

 ニコンが国内従業員の一割にあたる1000人を削減することが報じられたのは先週のことでした。ニコンの場合はカメラ事業のみが不振なのではなく、半導体露光装置の不振が続いていることの影響もありダブルパンチと云うことになる。

 カメラ事業に限って云えば特にニコンだけが不振なわけではない。CIPA(一般社団法人カメラ映像機器工業会)によれば2016年1~9月のデジタルカメラ全体の総出荷台数は16,649,730台で前年比63.1%、金額では485,552,369千円で同72.9%となっている。
http://www.cipa.jp/stats/documents/j/d-201609.pdf 

 カメラのタイプ別に見るとレンズ一体型が8,581,645台、前年比51.3%、レンズ交換型が8,068,085台(83.5%)となっているから、レンズ一体型(その多くは廉価なコンパクトタイプ)の不振が顕著。デジタルカメラ市場が最大となった2010年のレンズ一体型と交換型の比率は8:1ほどだったと記憶しているので、それに比べるとコンパクトタイプが激減していることがわかる。

 デジタルカメラ市場自体が、ピークとなった2010年の1億2千万台から1/5程度に縮小しているわけだけれど、フィルムを使うコンパクトタイプやレンズつきカメラ(「写ルンです」等)のユーザーがこぞってコンパクトタイプデジタルカメラを買った結果拡大した市場が、その層がスマートフォンで写真を撮るようになり、つまりコンパクトタイプデジタルカメラを買わなくなりマーケットが一気に縮小した。デジタルカメラのバブルは終わってフィルム時代の市場規模に戻ったということになるのか。

 ちゃんとしたカメラで写真を撮りたい人の数はフィルムの時代と同じと云うことになるわけだけれど、フィルム時代には写真を撮らなかった、カメラを持たずに必要な時に「写ルンです」を買っていた層がスマートフォンで写真を撮るようになった。「写真人口」は増えたけれど、「カメラ人口」は変わらずと云うことだね。急激な市場の縮小への対応は大変だと思うけれど、Nikonにはなんとしても頑張ってもらわないと困る郷秋<Gauche>であるぞ。


 今日の一枚は、例によって記事本文とは直接の関係はないけれど、一応ちゃんとしたDSLR(デジタル方式一眼レフ)で撮った近所の公園の紅葉葉楓(もみじばふう)、だったでしょうか。

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