饅頭と借字

画像は柏屋のWebsiteより転載

 饅頭(まんじゅう)を知らぬ日本人はいないだろう。洋菓子に押され気味の昨今ではあるけれど年に二度や三度は口にする、和菓子の代表格である。その正体を簡潔に記せば、小豆(あずき)などの餡(あん)を小麦粉を練って作った皮で包み蒸した菓子、と云うことになるだろうか。中に肉を使った餡が入った中国の饅頭(マントウ)を元にして12〜13世紀に日本で考案されたと云われている。

 ちなみに「饅」の字の訓読みは「ぬた」。魚介の身を分葱などとともに酢味噌で和えた、あの「ぬた」である。中国式の饅頭の餡が肉の餡であったことから使われた「饅」の文字と思われる。

 面白いのは「まんじゅう」の漢字表記で、「饅頭」が正式とされる中で万頭、曼頭、万十などの表記が見られること。「饅」の文字の画数が多いことから、それぞれ意味は違うものの音が同じ文字を借りてきた「借字」であり「万十」に至っては「頭」の文字まで借字である。いずれも、年齢を表す「歳」の字の画数が多いことから意味は違うが音が同じ「才」を使うのと同じ借り方・略し方である。

 世に「日本三大◯◯」と呼ばれるものがあるが饅頭にも、勿論ある。
 塩瀬総本家(東京)の「志ほせ饅頭」、柏屋(郡山)の「薄皮饅頭」、大手饅頭伊部屋(岡山)の「大手まんぢゅう」がそれ。なぜか大手饅頭伊部屋のものだけが「まんぢゅう」と平仮名表記される。

 全国各地に名物饅頭があるが、上記三大饅頭にもれた中で有名なのは「日本一高い、日本一うまい」を謳う花園万頭(東京)だろうか。こちらは「万頭」表記。天保5(1834)年創業の花園万頭は2018年に経営破綻したが、パティスリー銀座千疋屋が子会社化したことにより「日本一高い、日本一うまい」饅頭、元へ万頭を引き続き味わうことができるのは幸いである。

実のところを明かせば、今日は「借字」について書こうかと思い書き始めたのでしたが、いつの間にか「日本三大饅頭」の話になってしまいました。悪しからず。

 と云うわけで今日の一枚は郷秋<Gauche>のふるさと、郡山の薄皮饅頭(画像は柏屋のWebsiteより転載)。福島土産と云えば、何をおいてもこの薄皮饅頭。近頃はつぶあんのものもあるようですが、やはりオリジナルのこしあんが美味しいと思います。また、饅頭を天ぷらにしたものは実は福島の「隠れ名物」で、特に柏屋の薄皮饅頭の天ぷらは絶品ですので一度お試しあれ。ちなみに、天ぷらですのであくまでも「おかず」です。醤油をちょろりとかけてご飯と共にいただきます。日本酒のアテにもいけますよ!

 横浜の住宅地に残された里山の四季の移ろいを毎週撮影しているblog「恩田の森Now」。ただいまは10月3日に撮影した写真を7点掲載いたしております。秋、本番を迎えた森の様子をご覧いだけたら嬉しいです。
https://blog.goo.ne.jp/ondanomori

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#饅頭 #万頭 #まんじゅう #借字 #才 #歳

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