弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

LAW&ORDERからみるアメリカ、シーズン15-24

2013年08月10日 | Law&Order

気持ち的に一段落したので、ときどきテレビのチャンネルをオンにしています。

金曜日は久しぶりにLAW&ORDER(シーズン15-24)でした。
訴えたいことは何だろう?

「自己弁護の権利」でしょうか。

弁護人選任の権利は憲法修正5条(起訴前)、6条(起訴後)で保障されていることは
よく知られたことですが、
この権利は放棄することが認められ、法廷で(AT TRIAL)自分で自分を弁護する権利
があるとされています。いわゆるCASE LAWです。
ただし、判事は本人に自己弁護する能力があるかどうか慎重に判断しなければ
ならないのですが、別に法律的知識があることは要件ではないようで、
要は常識的なものでいいようです。
ただ弁護人の辞任を認めるかどうかですが、
このドラマのように補佐する意味で辞任を認めないこともあるようです。
通常は、本人が言いたいことは裁判官が代わりに質問するようですが、
弁護士にさせるという方法もあるのですね。

弁護士としては遣りにくいですね。そこのところはよく描写されていました。

結果がどうだったかは、クレスチョンでしたね。
「INCOMPETENT」な弁護士の場合は辞めてもらった方がいいでしょうが、
この弁護人は適格な訴訟活動をしていたと思います。
結果は違っていたでしょうね。

だた面白いと思ったのは、そもそも訴訟と言うのは生き物ですので、
相手が何を考えているのか、どのような情報を持っているのかなどは
それぞれに推測し、予想し、対応していくのですが、
「弁護士の訴訟活動がうまく進み、本人がうまくいくのでは」と強気に
なり始めたのではないかというような感想をマッコイが述べていたと
思うのですが、
実際、そういうことは民事、刑事を問わず、よくあることなのです。
弁護士の腕が良ければいいほどスムーズに物事が進行するので
錯覚するのです。

海外ドラマのおもしろさは、そういうきれいごとではない、人間のドロドロした
部分を避けないことだと思います。

つい最近死亡したフォンタナ刑事(役の俳優さん)ですが、いつもどうりの彼独特の捜査でしたね。
シカゴの警察官TURN俳優だということですが、
ちょっと信じられない感じです。カッコよすぎですよね。


Law&Orderからみるアメリカ、ソールメイト事件

2012年03月07日 | Law&Order

第22話はソールメイトがキーワードです。

ニューヨーク州知事の高級娼婦事件、イリノイ州知事のわいろ事件
そして南カルフォルニア州知事のソールメイト事件と
州知事をめぐる一連の事件が世間を騒がせていました。
最初の二つについてはLaw&Orderに如何に反映されているか、
既にこのブログで述べました。

さて、南カルフォルニア州知事のソールメイト事件というのは、一言でいえば
不倫です。
クリントン大統領は「不適切な関係」で逃げ切りました。
南カルフォルニア州知事のマーク・サンフォードは、2009年の夏、数日行方不明
になりました(行き先を知らせずに出て行ったということ)。
父の日にも子供にも連絡しないということで大騒ぎになったのです。
アパラッチの山にハイキングにいったらしいといわれていたのですが、
実際はブエノス・アイレスに愛人に会いにいってたということが発覚しました。
最初は否定していたのですが、とうとう居直ったのです。

そのときの言葉が「彼女はソールメイト(soulmate)である。」というものでした。
そして、公式会見の場で涙を流したのです。
(なお、涙といえば、プーチンがこのたびの大統領選挙の勝利宣言のときに
涙をみせましたね。)

通常に使われるソールメイトであれば、心の友達とか魂の友達ですから、
いわゆる清いつきあいで、非難されることはないのです。
ところが、この知事の場合はそうではなく、普通でいえば不倫にすぎないのですが、
それをソールメイトだと言い張ったのです。
ソールメイトと自分でレッテルを貼ったのですね。
同じ言葉を使いながら、実際は違った意味なのですが、こういう場合って
話が食い違ったままになりますね。
みんな話が通じないで、呆れるしかないわけです。

このドラマの女性も同じですね。でも本人がそう言い張る以上、そういう言葉で
進めていくしかないわけです。
彼女が異常なふるまいの女性として描かれているのは、そういうことです。

当時のアメリカでは、ソールメイトというとマーク・サンフォード知事のアルゼンチン
の恋人のことなのです。
ですから、異常なふるまいであるほどおもしろいのですね。
きっとアメリカでは盛り上がったと思います。

この話を知らない日本人には、面白さが分かりにくかったですね。

なお、20年も連れ添った知事夫人のジェリーは、やり切れないですよね。
結局離婚しましたが、彼女は、「stand bay man」は拒否しました。
当然ですよね。
ただ、この知事、辞めずに任期だけは全うしたのではないかと記憶しています
(間違っているかもしれません)。
「ソールメイト」だから問題ないといわれると、確かに言葉だけ聞けば反論できない
わけで、ただ実態を知っているものには、もういい加減にしてよと言いたくなります。

そういう感じはよく出ていましたね。

ただ、言葉って本当に怖いですね。
クリントンの「不適切な関係」も不適切ならやむを得ないかとなり、その後
日本でも「不適切」という言葉が氾濫するようになりました。
悪いと言っているようで実際は悪いと認めないという、責任逃れの言葉に
なりました。
そういえば「想定外」も同じですね。何でも「想定外」というと、責任がないとなって
しまうのです。
要は思考停止させてしまうのです。

マスコミの討論番組に出て、注目を浴び、政治の中核を占めるようになった
民主党の政治家がダメなのは、こういう言葉遊びをして今の地位につくように
なったからです。

今日は、この程度で・・・・・


Law&Orderからみるアメリカ、検察と被告人の知恵比べ

2012年02月22日 | Law&Order

Law&Orderをみていて面白いのは、警察や検察の仕事をきれいごととして
扱っていない、むしろ、ドロドロとした実態を示していることです。

最近の分は、特に、検察もなりふり構わずというところがあります。

被害者も含めて、とりわけ犯人、被告人は如何に罪を逃れるかです。
多くは、犯罪を犯していないというよりは、如何に有罪を逃れるかに
死力を尽くしています。

こういう場合、やはり、「目には目を」でやらなければ、犯罪の証明は
できそうにないと思われます。
やはり、社会にとって一番大事なことは「正義」です。
このあたり、マッコイは明確な使命を持っています。
その前提でのばかし合いはそれなりに面白いです。

日本でいえば、一番、注目されるのは、やはり小沢事件です。
マッコイならどうするのだろうと思いながら、
マスコミ報道等をみていますが、よくわからないですね。
特に、捜査の隠し撮りテープについては、何の問題もないのかわかりません。
また、取り調べをした検事の証言も、理解しがたいところがあります。
そういう意味では、やはり判決がどうなるのかをみるしかありません。

裁判は生き物だということです。
いろんな裁判官がいる、Law&Orderをみていると、なんと偏見に満ちた
裁判官だろうと思われるような判事の描き方ですが、
実際そういうものなんです。

だから、アメリカでは、裁判というのは、そういういい加減なところがある
との前提なんですね。
裁判だけはない、生活のあらゆる分野で、そうなんですね。
だから、いろんな場合に備えての準備があるのだと思います。

今日もまたとりとめのない話になりました。

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   今日は黄色のお花です。元気がでます。

 お花の名前を書いてくれてあります。「モカラ」というのがありました。
 消去法でいくと、黄色のお花のようです。
 よくみるお花ですが、モカラという名前は初めてでした。
 ネットで調べてみました。

   実際は花弁が肉厚な感じです。
  今日は、新しいお花の名前をひとつ覚えました。
  そして元気ももらいました。


Law&Orderからみるアメリカ、内部告発と菊川氏らオリンパス陣逮捕

2012年02月17日 | Law&Order

ようやく、オリンパスの旧経営陣が逮捕されました。

そもそものきっかけは、ウッドフォード氏の内部告発(と言っていいでしょう)
です。
内部告発制度は、内部の巨悪な犯罪にはきわめて有効な制度といえましょう。

さて、シーズン20の第8話は内部告発報奨金をめぐる争いからの犯罪でした。
ドラマの中にもありましたが、ファイバー製薬会社の内部告発の報奨金を巡る
訴訟で巨額な報奨金を支払うことで和解(settlement)が成立したばかりでした、
このドラマはそれに刺激されてものと思われます。
回収金の1~3割といいますから、莫大な金額になります。

本来、内部告発は、悪を改めることにあります。
内部告発すれば、当然、身分は失うことになります。
内部告発を容易にするために、報奨金をというのは、意味のある制度です。
身分を失っても経済的に困ることはないからです。
女性の方は、社会正義に動かされたので、報奨金は全部寄付するというものです。
ところが、男性の営業部長はというと、ただ便乗するだけにもかかわらず
それでは困るというわけです。
それじゃ止めればいいのですが、莫大な金額が目の前にぶら下がっているわけ
ですから、やめるわけにはいきません。
これって横取りするようなものですよね。
人間というのは、本当に、ずうずうしく、欲張りな動物なんですね。

さて、オリンパスの逮捕劇、これで何かがかわるのでしょうか。

話はかわりますが、8話では、マッコイが製薬会社のCEOに
捜査協力(パソコンの引き渡し)に出向きます。
アメリカでは地方検事は選挙で選ばれますが、
マッコイはこの会社から政治献金を受けていたし、選挙のときに支援をうけて
いたのですね。
マッコイは、当然、受けた政治献金を返還するのですが、
地方検事を選挙で選ぶという制度である以上、こういうことは避けられない
問題です。
マッコイは、献金を返還するということで、筋を通し、その後の捜査でも
筋を通しました。
どのような制度にもプラス・マイナスがあります。
一番大事なことは、やはり、それを動かす人間の方にあるように思います。

内部告発、そしてその報奨金制度も同じです。
妻を殺された夫の最後の結論、

殺した男性部長には20年の実刑、報奨金は、まず他の被害者の遺族に
残りは全額、寄付に

というのは極めて良識的です。
カッターは20年には不満のようでしたが・・・

Law&Orderは、これを見ずしてアメリカを語れないドラマということです。
なんだかんだと言ってもアメリカはきわめて健全な国だということでしょう。

日本もまだまだ良識的で健全な国であることを願いたいものです。

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ちょっとお遊びです。

       

なんか雰囲気似ていませんか?私には同類のようにみえます。
口から出まかせです。

 


Law&Orderからみるアメリカ、ネット利用の新しい犯罪

2012年02月12日 | Law&Order

相変わらず、インフルエンザはなおりません。
朝目覚めると、汗いっぱいです。
にもかかわらず、熱っぽいですし、のどの痛みも・・・
1年間の緊張が緩んだところに、折からのインフルの猛威に
やられたのでしょう。
我慢。我慢。

ネットに無責任な投稿をしたことがきっかけでの殺人?でしたね。
ただの不用意な投稿ではなく、犯罪を煽ったというので、
例によってカッターは新しい挑戦です。
確かにネットの世界は不責任になりがちです。
ツイターやフェイスブックの威力はアラブの春(1年になります)で実証されました。
表現の自由との関係が法律的には一番難しいことだとは思います。
ネットの世界と現実の世界がうまく結びつけば、犯罪の立証も可能なわけです。
ただ、ネットの世界はあっという間に、労なく繋がりますが、
現実の世界はそうはいかない、はずです。
確かに、現在のように希薄な人間関係しかなければそうですが・・
ただ、今も昔ながらの緊密な人間のつながりは、そう、中国人の世界では
今も生きているということです。
今回は、新旧の人間のつながりの勝負のようなところがありました。

Law&Order を見ていて思うのは、発想あるいは問題提起の重要性です。
「ネットに無責任な投稿をしたことがきっかけでの殺人?」と表現しましたが、
それは警察や検事は事件をそうとらえるべきだと考えたからです。
そのうえで、そうだとすれば、何が必要か、何があるはずだと遡って辿っていくことで
「殺人」という構成ができるのです。
普通の凡人、正義感に欠ける人はこういう発想はしません。
Law&Order が面白いのは、まずどの犯罪か、という発想ではなく、
ちょっとおかしいんじゃない、放置したり、無視するわけにはいかないなじゃないという
人間としての素朴な正義感がまず生まれ、それでは、この目の前にある
不正義、不条理をいかに犯罪として料理するか、料理できるのか、という
逆からの発想があると思います。
今回のネット犯罪もそういう逆発想から生まれています。
おもしろいですね。

新手の犯罪がどしどし生まれてきます。
その中で、遅れずに正義を実現するためには、このような柔軟な発想と
強い使命感が絶対に必要だと思います。

なお、最後はmanslaugher として司法取引したとのことですが、
一番妥当な結論です。
manslaugher というのは故殺と訳されますが、要は、人の命に対して
reckless ということです。
ようやく、殺人としてのmanslaugher の考え方がしっくりとくるようになりました。

警部補のアニタ・ヴァン・ビューレンが癌治療を受けることになりましたが、
この意味はよくわかりません。
彼女はマッコイよりも誰よりも出演が長く、シーズン20以降は出演しないことを
明らかにしていたからでしょうか。
ただ、そもそもLaw&Orderはこのシーズンを持って終了することになりました
(派生番組や単発的なものは別にして)。
彼女の髪型ですが、最初からウイグです。
今の髪型の方が自前ではないかと思うのですが・・・