弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

NATOについて

2014年11月22日 | 日記

The Changing Global Order の5週目はNATOについてでした。

安全保障や武力行使の考え方が大きく変わっていることや、最近各国の首脳が直接会談することが多くなっている背景等が要領よく述べられていたと思います。

世界は大きく変わっています。グローバルな視点に立って日本の政治を考える必要なあると思います。

 


衆議院解散

2014年11月18日 | 日記

ほぼ任期半分を残しての衆議院解散よくわかりませんね。
解散は首相の専権事項といわれていますが、やはり理由は必要です。
国民の信を問うというけれど責任逃れではないかと思うことが多いです。

今回は消費税の再引き上げの経済状況にないということですが、
そもそも最初から消費税の引き上げをできるような状況でなかったと思います。
掛け声だけで景気は良くなるはずがありません。

富裕層は回復の兆しといいますが、そもそも富裕層はどんな時にもどうにかなるものです。

庶民の懐具合が問題です。

バブルの時は社会全体に活気があった。政治の世界も活気があった。
社会が大きく変わるのではないかとの期待があった。

今は、政治の世界も停滞しています。
メンバーも代わり映えはしない。
経済の成長期も過ぎてしまったと思う。

先進国はどこも同じ問題を抱えています。

掛け声だけでない、誰もが納得できる政策を示してこそ、信を問うことが出来るのではないかと思います。

     

 


MOOCSで学ぼう

2014年11月17日 | 日記

北京で開催されたAPECからブレスベンで開催されたG20までフォローしましたが、今後の世界情勢に大きな影響があるように思います。
あまりにも不責任というか無頓着な気がします。

ローマ法王がG20の議長国オーストラリアのアボット首相あてに書簡を送ったということです。
一人ひとりの個人の保護(人権、幸福など)の緊急性・重要性を訴えています。
国家は崩壊することはあってもそこに住む人たちが消えるわけではありませんし、土地もなくなる訳ではありません。人は自然環境・社会環境の違いにより、考え方も生活の仕方も異なります。
キレイ事の原則論ではなく、具体的な事実に基づく政策でなければ、意味はないし、逆に不正はより大きくなるだけです。

国際関係は「力」で動きます。
力のあるものに迎合する度合いは直接の利害関係が問題になる国内政治の場よりも遥かに大きいように思います。
しかし、大きな枠組みを造る国際関係は世界の国々に影響がある訳ですから、本当は国内政治よりももっと大事なのだと思うのですが。

自分自身の意見を持つためには、身勝手な個人の考えだけでは意味がありません。
政治家・専門家としてでなくとも、ある程度はきちんとした学問的根拠に基づくべきと考えます。

インターネットで学べるMOOCSはそういう要望を満たしてくれるものです。
Couseraはコースも多く充実しています。主としてアメリカの、超一流の大学の教授たちの講義を受講できるので、大変有用です。
EU関係の講義などいろいろ見ましたが、
今は「The Changing Global Order」を視聴しています。これはアメリカではなくオランダのライデン大学のものです。
米欧のほかにロシアそして中国が重要な担い手になっています。
特に中国は隣国ですから、国際社会での力関係の大きな変化にはきちんとした知識と理解を持つべきと思います。
中国を理解するに当たってpsychologically and politically 大変重要なこととしてつぎのよう述べられていました。
「Chinese word for China, Zhong Guo, literally transletes to middle country, the country at the center of the world. So, China's rise is about reclaiming what it sees as its rightful place in history. 」

        


マルグリット

2014年11月16日 | 日記

チューリッヒ美術館展に行ってきました。

マルグリットの月の絵が一番心に残りました。
実際にはあり得ないにもかかわらず、
私が見る月はこのように見えます。

        

実際に撮影した写真はこのような感じにしか撮れません。

      

 

月を写真撮影するときは状況をいかに含めるかが重要だと思うようになりましたが、
そうだとすると環境・状況を背景のように描き、月をまん真ん中に配置する
マルグリットの絵は理にかなっていると考えるようになりました。

チューリッヒ展にはありませんが、
夕日についても同じです。

写真で撮るとこんな感じ。

      

マルグリットの絵はこんな感じ。

      

実際に私が見る夕日はマルグリットの絵の感じです。
不思議ですね。

     


The Lincoln Lawyer (リンカーン弁護士)NO.4

2014年11月15日 | 日記

結局、弁護士は依頼者に最も有利にを目的、目標として行動すべきであり、最初から裁判とか司法取引だけに限定して目指すものでないと思います。
司法取引はいつでも可能ですが、裁判は最初から用意周到に準備しなければ、途中から軌道変更はできません。ということは、常に裁判を前提として、あらゆる場合を想定し、準備することが大事なのだと思います。
そのためには、裁判になった場合の見通し・見込みをきちんと立てることができる能力がなければなりません。
さて、依頼事件ですが、途中で何度も司法取引の可能性が試みられています。
最初の起訴時の罪名
1 aggravated assault with GBI(great bodily injury)
2 attempted rape
ハラー弁護士は常々「cases go in like a lion and come out like a lamb」と言っています。ということは何もしなくてもある程度の結果は得られるのかもしれません。無能、怠惰な弁護士は何もしなくてもそれなりの結果が得られるので、成り行き任せにするのかもしれないですね。
起訴後裁判前の証拠開示の段階
検察から開示された証拠ファイルがあまりにも薄いのでハラーは驚きです。
凶器のナイフの写真(Louis のイニシャル付き)が調査員の収集した証拠写真と違う(イニシャルなし)ことにハラーは気づきます。最初のEX(検察官)からこの新任の検察官ミントンの”きたない”やり方を聞いていたので警戒するようになります。
こういうやり取りがあって検察側からのオファーは
1 ADW(assault with a deadly weapon)
2 attempted sexual battery
3 実刑7年
1については負傷なしの罪名に、2については強姦未遂から性的暴行未遂になっているので、かなり軽くなっています。
いい加減な弁護士ならこれで大喜び、取引を考えるかもしれません。というのは、Louisから聞かされていないイニシャル付きのナイフの証拠を突きつけられたら、弁護士は動揺して自信をなくする可能性があります。それがミントン検察官の狙いでもあるのです。
Louis は無罪を主張しているのでこのような条件では飲めないのですが、司法取引をするかどうかは依頼者の専権事項とされているので、弁護士は必ず本人に伝え確認する義務があります。
ハラーはナイフの件についてLouis に問い詰め、今後隠しごとをしないよう警告するという新しい仕事が出来ました。
検察側の立証終了直後
1 aggravated assault with GBI
2 実刑4年
検察側からのオファーです。性犯罪関係部分がドロップされました。
性犯罪者については、地域社会に情報提供されますので、この部分がドロップされたことは大きなメリットがあります。
ハラーは勝てる自信があるので、司法取引には応じません。
弁護側の立証終了直後
1 simple assault
2 6月(刑務所の混雑状況により早く出られる可能性あり、実質2月とか)
検察側からのオファーです。
arravated assault とかいろいろ出ていますが、日本の制度とは異なっており説明が難しいので省略しますが、要はsimple assault というのは「ナイフの使用」、「負傷」の部分がなくなり、単に「脅した」ことだけになったのです。最初の犯罪事実は「ナイフを使用し重傷を負わせた、強姦未遂もあった」というものですから、検察側が如何に譲歩したかわかると思います。実質、検察側の完敗ですが、無罪ではないので、検察側は一応メンツを保てるというわけです。
弁護側立証終了時に、ジャジがミントン検察官に「Does the state have rebuttal ?」と質問していますので、裁判官は立証できていないとの判断をしていることになります。勿論、判断は陪審員の役割ですが、要は誰がみても到底有罪でないことは明らかな状況だったのです。
検察にはrebuttal するチャンスはあるのですが、できれば出したくない証拠かもしれないし、いずれにしても厄介ないことはしたくないという気持ちなのでしょう。
勝てるのであれば弁護士サイドに司法取引するどのようなメリットがあるのか、と疑問に思われるかもしれませんが、検察側は手の内を見せていませんから、どのような証拠が出てきるのか、疑心暗鬼になります。
ここが、重要なところです。ハラーのような優秀な弁護士は徹底的に調査、検討し、準備していますから、検察側が提出するであろう証拠の予測もでき、対応もしているのですが、大抵はそこまで準備しませんから、むしろ応じる弁護士の方が多いと思います。
ハラーは応じませんから、検察側はやむを得ず rebuttal の証人尋問をすることになるのですが、問題証人で結局、検察側の決定的なミスになるのですが(次回以降に詳細を)、その収拾策を協議中に、ジャジはこの条件に応じなかったことに驚いています。
検察のイレジュラーが判明した後
ところで、明らかな偽証工作等の違法行為があることがわかると、アメリカの裁判所は厳しく、進行を止めてしまうものです。でも、終了のさせ方にもいろいろ方法があります。
ハラー弁護士はここでも依頼者のためにこだわります。
Mistrial 
まず、検討されるのがMistrial (審理無効)です。手続きに違法があったので、それまでのすべてが無効、なかったことにするものです。ジャジが宣言し、陪審員も解放され、被告人も裁判から解放されます。一切終了したように見えるのですが、問題は検察が再度裁判を起こすことが可能なのです。つまり、一事不再理の適用がないのです。時効が完成するまでは再び起訴される可能性が残ります。
この件では、ジャジは常道に従って真っ先にMistrial をハラーに提案していますが、ハラーは上述の危険が残るのでお断りしています。Louis のファミリー弁護士のDobbs はハラーがMistrial を拒否したと知って驚いていますが、いかにハラー弁護士が異色かわかると思います。ハラーは無罪(完全に開放されること)に拘っています。
Jury or Directed verdict
次の方法は判断しかありません。その判断を陪審員にさせるかあるいはジャジがするかです。ジャジがする場合をDirected verdictといいます。Directed verdictは提出された証拠からは誰が見ても合理的な判断は一つしかないという場合に、ジャジは陪審員ではなく自分で判断できるのです。あえて陪審員に判断させるまでもないからです。どちらにするかはジャジの裁量になります。
陪審員は素人ですから、どのような判断をするか予測できないところがあるので、その危険を避けるため、Mistrialの選択もあるのです。ジャジはDirected verdictを約束していません。しかし、ハラーは仮に陪審員が有罪判決をしても控訴すれば勝てると踏んでいるので、完全無罪の可能性に賭けることにしているのです。
最終結果はDismiss with prejudiceで終了となりました。
書かれてはいませんが、おそらく、ジャジと検察の間で事前交渉があったはずです。
ジャジとしては無罪判決をすることは決めているのですが、判決をするとなると理由を考えなければなりません。煩わしいですね。そもそもジャジを煩わせるようになったのは、検察側のミスによるもので、考えようによってはその尻拭いをさせられるわけです。検察が取り下げれば、事件はなくなり、裁判官も判断する必要がなくなります。ただ、ハラー弁護士は無罪に拘っているので、単に取下げでは応じるはずありません。Dismiss にはwith prejudice とwithout prejudice があるのですが、要するに再度起訴する権利を留保するかどうかです。ハラーはMistrialを拒否しているわけですから、再度の起訴はなしでなければなりません。というわけでDismiss with prejudiceしかないのですが、検察としては選択の余地なしだったと思います。
陪審員の選任をし、2日間の証拠調をした段階での取下げには正当な理由がなければ認められないようですが、このあたりのジャジと検事のやり取りはおもしろいです。
J :「 I believe for the record the state needs to offer some of explanation for this motion.」
ミントンの上司検事 「・・in the interest of justice, the charges should be dropped.」
検事としてはミスは認めたくないですね。
J :「 Is that all the explanation you can offer? 」
ミントンの上司検事 「・・there were some irregulations in the investigations and subsequent prosecution. This office is founded upon the belief in the sanctity of our justice systim. I personally safeguard that in the Division and take is very, very seriouly. And ・・・better to dismiss・・・」
ジャジは検察に明確に誤りを認めさせ、今後の約束をさせたところで満足のよう。
「The state's motion is granted, All charges are dismissed with prejudice」「you are discharged and free to go.」と宣言。

おもしろいですね。
いずれにしてもハリー弁護士はいかに手抜きをしない優秀な弁護士か分かると思います。
やたらに司法取引に拘らないこそ、良い司法取引結果が得られるのです。