
今村金網工業の前の道をアウトレットの方向に進み、次の交差点で右折しました。かつて海岸線であった辺りの道に入りますが、まもなく右手に戦車のシルエットの看板が見えてきます。

ガルパンファンの間では有名な、田口理容店の看板です。店主の北見さんは北見工芸という看板や装飾関係のメーカーを運営しておられるので、こういった看板作りは本職であるわけです。理容店のほうは、奥様の実家の商売であると伺いました。

店内には「曲松商店街」のポスターがあります。田口理容店は大貫商店街に属しますが、北見さんの北見工芸は曲松商店街にあるので、このポスターも配布されたのでしょう。このポスターは、かつての「曲がり松」があった位置を意識しているのか、山戸呉服店の前の交差点あたりを舞台としています。

こちらにお邪魔するのは二度目ですが、しばらく行かないうちにステッカーが倍以上に増えていました。キャラクターのシルエットも充実しつつあるようです。ホシノはありますか、と聞きましたが、それはまだ作っていない、との事です。大洗の住民の方が「大洗一速い女」をまだカッティングしていないとは、本末転倒のような気がします・・・。

各チームのマーク、校章もほぼ出揃ったようです。重要なのは、これらが全てバンダイの版権許可を得た公式商品であることです。これらが認可されているために、ファンや同人サークルなどが類似のステッカー類を作って配布しようとしても、許可がおりないどころか、逆に違反になってしまうという点です。それで、ファン発の多くのステッカー案がボツになったようです。
そういった事情を、北見さんが実際にファンの方が作ろうとしたステッカーの案件資料などを見せながら語って下さいました。大洗の各店舗に寄贈されているファンアートにイラストや写真類が多くてステッカー類が少ない理由が、ようやく理解出来ました。

大洗のカッティングシート、といえば本来はガルパン戦車のそれでした。年宝菓子店で初めて見かけた時は大洗女子学園の戦車ぐらいでしたが、今回は対戦校の戦車もほぼ出揃っていました。プラウダチームのRF-8武装スノーモービルまでありますよ・・・。

戦車カッティングシートのカタログも見せていただきました。一枚680円、色やサイズはお好みで選択出来るそうです。しっかりアンツィオチームの戦車もフォローしてありますし、有名なバトルシーンの再現もありました。やれることはみんなやっている、という感じです。

戦車だけでなく、劇中に登場した各チームの車輌まで揃っています。九五式小型乗用車や九六式六輪自動貨車まできちんと再現されていて感動ものです。この流れで、帝国海軍連合艦隊の各艦を出してもらいたいものですね・・・。
実は、以前にこのお店で買ったポルシェティーガーのシートを、アニメイベントにて艦隊これくしょんのファンの方々に見せたところ、こういう側面観のシルエットは軍艦の方でも普通に使われているので、軍艦のカッティングシートというのもアリじゃないか、という話で盛り上がりました。艦これのグッズ類は沢山開発されて販売されていますが、軍艦のカッティングシートというのは、まだ出ていないからです。ステッカー類もあんまり見当たらないので、缶バッジの多さが余計に印象に残るわけですね。

こちらには、キャラのセリフや戦車の番号や劇中の意匠なども並べてありました。もう、何でもありのガルパンステッカー商品群ですね。ここまでやっちゃうと、もう、作るものが無くなってしまっているのではないでしょうか。それを聞いたところ、「まあそうだね、大体は出しちゃったね」と笑っておられました。

北見さんも、曲松商店街の方ですので、店主さんパネルにもなっています。床屋の室内なので、パネルの背後には鏡がありましたが、それにパネルを撮影する私の姿が写り込んでしまっています。
今回は散髪もしていただいたので、頭がスッキリと坊主頭になりました。あと、自作ガルパン缶バッジも寄贈させていただきました。数ある中から北見さんが選んだのは、あんこうチームと黒森峰チームのマーク、Ⅳ号戦車Hタイプの3個でした。

一時間余り、色々と楽しい話を聞かせていただきました。ガルパン商品の版権に関する問題、大洗発ガルパン缶バッジの未来像、イベント等に集まってくるガルパン常連ファン層に関する見解、など多彩にわたっていて、とても参考になりました。
退出して後、再び外の看板を見ました。秋山優花里がデザインされているのは、「理容店の娘」繋がりでしょう。現に散髪とシート購入の特典として秋山優花里オリジナルバッジをいただきましたが、その背景デザインが床屋の三色ねじり棒を表しています。さらに台紙が北見さんのこだわりによって、独自のデザインにまとめられています。
しかし、何よりも特筆すべきは、ここまでガルパン世界をカッティングシートでとことん表現してしまう北見さんが、ガルパンファンでは無い、という事実です。ファンでは無いけれど、大洗がここまでガルパンのブームで盛り上がってしまったのだから、それに応じた商品開発と販売を展開しなければお店の運営も難しくなる、ということでガルパンを真剣に取材し分析し、商品としてのカッティングシート群を生み出してきた、という流れなのだそうです。企業がアニメブームにならって商品開発と販売を行うのと同じパターンですね。

大貫商店街を北へ進みました。途中で幾つかのお店、それも大部分のガルパンファンが立ち寄らないような所を三ヵ所訪ね、お店の方と色々話をしました。三ヵ所とも、他では品切れになっている缶バッジの在庫をかなり持っているので、事情を聞いたところ、ガルパンのお客さんに渡したくても機会があんまり無かった、バッジを販促品にしろと言われてるがガルパンのお客さんに売ってあげられるような品物がウチには無いからどうにもならない、というような答えをいただきました。なるほど、と考えさせられました。
確かに、お店によっては「なんでこの缶バッジがあるの」とびっくりさせられるようなものを在庫として抱えているところが少なくありません。イベント時に限定で配布される缶バッジすらも大量にあったりして、それを普通に購入特典またはお店での交流の御礼として渡しているケースが少なくないものですから、私のように限定スタンプラリーや誕生日イベントなどに参加したことが無いにもかかわらず、その限定配布缶バッジを貰えてしまう機会も少なくありませんでした。
本来ならば有り得ないことでしょうが、それが有り得てしまっているところも、大洗の魅力の一つであるように感じられます。

梅原屋に立ち寄りました。ガルパンのポロシャツはありますか、と訊ねた私に、店主の梅原さんは「汗だくになってるから着替えが必要なんでしょ」と笑ってサイズを測り、適したサイズの品をすすめてくれました。購入特典としてお店のガルパンオリジナル缶バッジをいただきましたが、自作缶バッジのほうも寄贈させていただきました。
「こちらには38t戦車のパネルがありますので、つながりでカメさんチームの5個セットを贈らせていただきたいと思います」
「あっ、三人揃ってるじゃない、これ呉れるの?わあ、どうもありがとう、こっちのバッジも好きなだけ持って行って下さい」
「では、同数で適当に頂戴いたします」
ということで、お店のガルパンオリジナル缶バッジをさらに2個、および大貫商店会EDバージョンのアリクイとレオポンとカモをいただきました。
上画像は、梅原屋の店内にある缶バッジ陳列ボードです。こちらも次第に充実してきていますね。

遅い昼食は、久しぶりに新三郎の常陸屋でとりました。大洗に行ったら一度は蕎麦を食べないと、なんだか忘れ物をしたような気持ちになってしまうのです。

ざる蕎麦です。蕎麦が大好きな私には、このシンプルな食事が一番の幸せであります。

何度見ても、常陸秋蕎麦の素朴かつ柔らかい質感と、淡い色調がいいですね。西日本の蕎麦はつなぎに芋とかを使うのでモチっとした食感がありますが、常陸秋蕎麦をふくむ東日本の蕎麦は、だいたい十割蕎麦なので、蕎麦そのものの風味を存分に味わえます。なので、大洗にある蕎麦屋のハシゴをやってみたいなあ、と思います。
たとえば、常陸屋で食べて、大進で食べて、あんばいやで食べて、武山でシメる、というような感じですが、普段の食事量が少ない私には無理じゃないかと思います。 (続く)